スキルの使い方
「っ!危な!」
ステータスを調べてから数週間、ついに実践訓練が始まった。今までは師匠達と1体1で魔法や近接戦を教えて貰っていたが、今は森に住む危険な魔物の討伐や凶暴化した魔獣の鎮静化をしていた。そして現在、スキルだけで魔物を討伐しろという師匠からの命令を実行中だ。
「使っていいのは身体強化と飛翔魔法だけじゃからなー。」
「分かってますよ!」
上から様子を見ている師匠の言葉に、魔物の攻撃を飛翔で避けながら返事する。
(って言っても、この数相手に飛行魔法無しはきついんですが。)
飛行魔法と飛翔魔法の違いは、飛翔は足場が要るということ。いつも飛翔魔法を使う時は空中に結界を張り、連続で飛翔しながら使う。だが今回は飛翔と身体強化以外の魔法は禁止されているため、連続飛翔が出来ないのだ。
(だいたい、本来討伐慣れした3、4人のパーティがようやく一体討伐するような魔物を、スキルだけで二十体程討伐するって地味にキツイんですが!?)
「なぁ、大丈夫なのかスヴィン。あいつのスキルには確か、反撃[カウンター]が無かったと思うが。あの状態で魔法も武器も固有スキルも無しで倒せるのはせいぜい五体とかじゃないか?」
「あやつの固有スキルと魔法は強いからな、制限をつけなければ訓練にならん。それに、魔法が使えなくなる場面がくるかもしれんからな、本当は魔法全て禁止にしたいがまだあやつの身体能力じゃ攻撃をかわすのはちときつかろう。というか忘れたのかキファ、あやつの先天スキルを。大丈夫じゃ。」
「だが、さっきから防戦一方だぞ。」
「何か考えがあるんじゃろ。まぁ見とれ。」
どれだけキツイ状況だろうが、魔物は魔獣や魔族と違って知性が低い。相手が次にこう動くだろうと予想して攻撃してくる事はない。つまり攻撃パターンさえ覚えてしまえば、どれだけ相手の方が多かろうとウルなら勝てるとスヴィンは確信してるのだ。
(新しい攻撃の仕方をしてこないな。出きったか?なら戦い方は決まった。)
身体はでかいが動きは遅い、攻撃の一つ一つは強力で食らったらやばいだろうが当たらなければいいだけの話。
(大柄大振りの奴との戦いはこの前やったばかりなんだよな。)
「師匠、核ごとやってもいいんでしたっけ?」
「あぁ、よいぞ。」
(ふっ、了解。クリエイティブ。)
スキルを使い目の前に短剣を2本作り、それを手に取る。飛翔で一気に敵に近ずき、核の位置を正確に見極め破壊した。一体目の消えかかる死体を足場に飛翔して一度離脱し、今度は大剣を作り出し群れの真ん中に居るやつと自分をトレードする。位置を入れ替えてすぐに威圧を発動し怯ませながら真上に飛翔し、落下の勢いを使いそのまま地面を割る。足場が崩れ、よろけている魔物達の核を長剣で刺した。
(核を狙えば一撃だけど、討伐効率が悪いな。やっぱり全体にダメージを与えて、核だけにしてから壊した方がいいか?)
魔物とは、核を壊さない限り消滅しない生物である。
首を切ったり、大ダメージを与えることで一時的に核だけの状態になるが、魔力を吸うことでまた復活する。冒険者等は討伐証明の為、核だけの状態にした後ギルドに持ち帰り納品し、ギルド側で核を処分する。その為、核を壊さないよう外傷を与えながらの討伐が基本である。だがウルは冒険者ではないし、今回は核を壊して良いと言われていたため、核を壊し一撃で殺した方が早いと思っていたのだ。しかし今回討伐している魔物は体内に核があるため思ったより一つを壊すのに時間がかかっいる状態である。核だけの状態ならもちろん攻撃はされないので、一体一体殺して下がるより一気に落ちた核を壊す方が早い。
(だけど、魔法無しで一気に全体にダメージ与える方法って何!?そんな都合のいいスキル持ってないんだけど!やっぱりカウンター習得しとくべきだった。これが終わったら絶対に取ろ。前世の戦い方も参考にならんしなー。うーん、どうするか。)
「あれ?いい感じだったのに止まっちゃった。どうしたんだろ?」
「どうせくだらん事でも考えとるんじゃろ、今回時間制限はつけとらんと言うのに。あやつはどうも効率を重視する、今は訓練じゃからゆっくり考えてるんじゃろ。」
「魔法なしの状態なら考えるより動いた方が早いと思うけどな。」
(待てよ?さっきからわざわざ攻撃を避けてるけど、そもそもクリエイティブ持ってるんだから閉じ込めれば良くない?なんで敵を拘束できるようなスキル持ってるのに自由にしてるんだろ私。)
「そうと決まれば、クリエイティブ!」
残りの魔物全てを囲う檻が降ってくる。檻は魔物を囲った後徐々に範囲を狭める。クリエイティブで作った物の操作は自由にできるのだ。消す事も、消さない事も、もちろん拡大や縮小だってウルがそうしようと思えばそうなる。
「どうしようかな?このまま一体ずつ刺してもいいけど、それじゃつまんないよね。ちょっと気になってた事があるんだよね〜、魔物ってどこまで潰したら核状態になるんだろう?少しくらいなら、実験しても良いよね!」
檻の上下が段々と狭まり、魔物達は潰されていく。首や足が折れ、完全にぺちゃんこになる前に魔物達は核状態になったが、そのまま核もプレスされ、ウルは残っていた十数体の魔物を一気に片付けたのであった。
檻プレスを上空から見ていた師匠達の様子です。
檻に閉じ込めた後
「おぉ〜、檻に閉じ込めて一体ずつ刺すのかな?」
「ようやく拘束するという発想が出てきたか。」
プレス開始
「え、なんか実験とか聞こえたけど。何する気?」
「何故すぐに刺さんのじゃ、何をする気じゃあやつ。」
プレス後
「えぇ、こっわ!あの子怖い!何、え、笑ってない?怖いんだけど!なんで笑顔で魔物潰してんの?どういうスキルの使い方!?10歳なんだよね!?子供の発想って怖い!!」
「なんか弟子がよく分からん討伐の仕方してるんだけどえぇ怖い、何、無理、怖い。どうしたらあの考え思いつくの。なんか思ってたやり方と違う。こわ。」
「あいつ」「あの子」「「やべぇな」」
スヴィンは威厳を出す為にわざと口調を変えてるので、びっくりしたり焦ると口調が戻ります。




