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制御

 現在やるべき事は竜達の鎮静化、小竜の居場所特定、三人の捜索。

 その中で最も優先度が高いのは竜達の鎮静化だ。

 これ以上暴れられたら困るし、今はまだ一体も谷から離れていないが別の場所に行き始めたらもっと面倒なことになる。

 という説明を二人にし、やって欲しいことを伝える。


「なので、二人は竜の相手をしてください。興奮状態にあるので魔法で眠らせるのは難しいと思います。少し手荒ですがぶん殴って気絶させてもらって結構です」

「ぶん殴るって……それより、この数なら一人で十分だ。俺が竜の相手をするからスヴィンは別のとこにまわせ。無駄に人手を割くのは悪手だ」

「…そうですか。なら師匠はリリーが目を覚まし次第小竜を探してください。後リリーが目覚めるまでのびている男(これ)を叩き起して仲間についてはかせてください」

「尋問はお前がやった方が良くないか?」

「確かに私がやった方が時短ですが、私は雨を制御しながら三人を探します。彼らの魔力量だけですが、分かっているのは私だけなので」


 話し合いを終わらせ各々動き始めた。


 私は獣国に向かいながら雨の制御をする。

 小竜の姿が見えなかった時点で私は獣国に行くことを決めていた。小竜と獣人にある共通点は闇オークションでのレアリティの高さ。

 獣人自体は他の大陸にも居るが、西大陸に居る獣人は魔法が使える者が多いのだ。魔法を使う獣人も小竜もオークションでは高値で取引される。

 娯楽の一環として珍しい種族をペットや奴隷のように扱うやつはいる。どれだけ法で禁じられていても目の届かぬ場所でやる奴はまだ残っているのだ。


「胸糞悪い」


 こんな嫌な考えは辞めて、今は雨の制御を先にやってしまおう。

 キファさ、キファ殿が言うには北大陸まで届いてしまっているらしい。

 何故自分が使っている魔法なのに範囲も把握してないのかと言うと、術式を固定展開して魔力だけしか注いでいないので、言うなれば現在この雨はリードを外されたわんこである。

 このわんこは私が注ぐ魔力量次第でどこまでも走っていけてしまう。そして一瞬怒りによって我を忘れていた私は現在どのくらい魔力が注がれているか把握していない。

 とりあえず一旦リードを繋いで勢いを弱める。勢いが強まったっていいことはない。

 あとはリードを辿って今わんこが何処にいるか、要するに雨の範囲がどこまで広まってしまっているのかを調べる。


「はは、そりゃ魔力の減る勢いがとんでもないわけだ」


 範囲を調べて見るとあらびっくり、大陸全土どころか惑星全土に広まっているではありませんか。

 規模が広すぎてよく分からないのでもう一度確認するがやはり惑星全土。

 別に空を制す能力を持っているので、西大陸とか関係なく天気は変えられるし、文字通り世界中に雨を降らすこともそりゃできますけど。だからって本当に降らさなくてもいいのに。

 流石にこのままではまずいとは思うが、この雨には浄化魔法がかかっている。ならこのまま勢いだけ弱めて降らせておくのもありなのではとも思う。

 今はありとあらゆる場所に瘴気が溢れている。ならばこのまま降らせておくことで少しは他の守護者に余裕が出来るかもしれない。

 そうと決めたら雨は勢いだけ抑え、範囲はこのままにして術式を再固定した。


 雨の制御後、私は獣国に到着し周辺を探知魔術で探る。ちなみに盤面操作は竜の谷で動いているキファ殿と師匠の為に使っているのでこっちでは使えない。

 黒丸が見えないので魔力量だけで見つけるしかないのだ。探知範囲を広げながら一つ一つの魔力反応を見落とさないよう丁寧に、それでいて確認作業を素早く。


「……見つけた」


 探知魔術に引っかかった魔力反応から凡その魔力量を計算すると、世界樹で見た魔力量と一番近いのが今見つけた魔力反応である。

 私は少し離れた場所に転移し、三人が居ることを確認する。


(周りには誰も居ない。奴らも探知魔術は展開してない。今がチャンスだ)


 音を立てず少しずつ近づき、拘束魔術の術式を編む。座標がズレないように、捉えた後魔法が使えないように。

 三人の話し声が聞こえる位置まで近づく。


「なぁ、本当にあいつ一人で大丈夫か?やっぱり今からでも二、二に別れた方がいいんじゃ」

「心配すんなって。貰った呪具の中でも一番強いのを渡してやったんだ。母竜共も暴れさせたし、小竜数匹程度なら一人でいけるって」


("貰った"呪具?)


「俺達も早くしようぜ。なんでか分かんねぇが瘴気が出てきてやがる。とっととこんな大陸離れよう」

「どこの大陸に行っても同じ状況だと思うが」

「なんだ!?」


 会話の続きを聞いていてもよかったが、拘束してからいくらでもはかせればいいだけの話。

 拘束魔術で彼らを拘束後、念の為すぐに彼らの居る場所だけ重量を重くする。

 重さに耐えきれなくなったのか、彼らの顎は地面につき目だけでこちらを見てくる。


「だ、誰だっ」

「自分達で世界樹を汚染したにも関わらず、瘴気が溢れている理由が分かっていないと言うことは、予想はしていたが別大陸の人間なのだろう。西大陸に住むものが世界樹の役割を知らんはずがないからな。言語的に東大陸の人間か」

「瘴気が世界樹の汚染によるものだと、?」

「はぁ、別大陸の人間とは面倒だ。良かったな大罪人共。お前らは世界会議が開かれるまではただ投獄されるだけだ、この場で消してしまいたいが私にはその権利がないしお前らは重要参考人だからな」


 エイディアには干渉制限がある。

 今回のように別大陸の者が自分の大陸で大きな問題を起こした場合、罪人の身柄は罪人が住んでいる大陸の守護者に渡さなければならない。罰をくだすのもその大陸の守護者となる。

 そして今回は事が大きいため世界会議が開かれる。

 世界会議とは各大陸の主要十名以上の同意、またはエイディアによって開かれる。この星に存在する全ての国や種族の長とエイディアが参加する会議のことである。

 だが各地が混乱している今、すぐには開けないだろう。世界会議が開かれるまでの間こいつらの身柄はレソトシアに渡さなければならない。

 とりあえず、一旦こいつらを連れて竜の谷で師匠達と合流し、その後の事は話し合って決めよう。


(それにしても、本当にこいつらが世界樹を汚染したのか?あまりにも呆気なさすぎる。呪具を貰ったと言っていたから黒幕が要るのは確かだが、一体どんな方法で汚染させたのか…世界会議をなるべく早く開きたいものだ)


最近体調が安定しないため少しの間更新が止まります。

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