表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
52/57

竜の谷

 神核の半分を教国に置いていき、大陸の西側へと向かっていた私は先にセズに情報を貰おうと思い、念話をする。


『セズ、竜の谷や獣国に異常はないか?』


 念話で話しかけるが応答がなく少し嫌な予感がする。


『セズ、セズ?おい、何かあったのか?』


 何度呼びかけても応答がない。

 私は風魔法を使って飛行速度を上げ、急いで竜の谷に向かう。

 セズと最後に連絡したのは世界樹が汚染された直後、竜の谷の竜達が暴れたと報告を受けた時だ。

 世界樹が汚染されてからせいぜい二、三十分程しか経っていない。


「いや、そもそもおかしくないか?セズが連絡してきたのは世界樹が汚染されてすぐだ。どんなに瘴気が魔法生物に悪影響を及ぼすとしても、竜達が暴れ始めた時間は早すぎる。……まさか、あの三人だけではなかったのか!」


 そうだ、よく考えればおかしい話だったのだ。

 世界樹が汚染されたら、世界樹を中心として瘴気は濃くなっていく。あんなにすぐ竜が暴れるほど竜の谷に溢れた瘴気が濃くなるはずがなかったのだ。

 それにセズは瘴気については一言も触れていなかった。つまりあの時点ではまだ竜の谷に瘴気が出ていなかったのだ。


「クソッ!最初から狙いは竜の谷だったのか!」


 竜の谷が見えてきた。

 凶暴化している竜に見つからないよう、自分に幻影魔法をかけ背景と同化させる。

 透明系スキルを持っていたら良かったのだが、残念ながらその系統は先天限定スキルなので会得出来ず持っていない。


 できる限り魔力の放出を抑えながら進み、竜の谷に入る。


(この距離ならリリーに繋がるだろうか)


 リアリルと私は名付けによって繋がっている。契約している生物とは違って距離に制限はあるが念話ができるのだ。


『リリー、聞こえるか?聞こえているなら応答してくれ』

『…ウ、ウル?』

『リリー!無事か?何が起こった?』

『ウル、近くに来ているのですね。今は何とか無事ですが、そう長くは持たないです。密猟者達が竜に何かをして暴れさせています。恐らく魔法ではないです。少し違う感じがしました。私は今密猟者に追われていて、逃げているのですが、そろそろまずいかもしれないです』

『負傷しているのか?』

『えぇ、』

『わかった、すぐ助けに』

『いえ、先にガルグ様をお助け下さい。それまで、何とか、耐え』

『リリー?』

『……』

『リアリル!』


 念話が切れてしまった。

 リリーが言っていた密猟者とは世界樹を汚染した奴らの仲間かもしれない。そう考えるとリリーの救出に行きたいが、ガルグを助けろと言われた。

 つまりガルグも何らかの危険状態にあるのだ。


「先にガルグを探すか」


 魔力探知をすれば竜達に見つかってしまう恐れがある。そのため自力で走りながら探すしかない。


 ガルグを探しながらリリーが言っていた事を整理する。

 密猟者が竜に何かをしたが魔法ではないと言っていた。リリーが魔法を使ったのを見抜けなかった可能性もあるが、本当に魔法ではなかった場合候補は二つ。呪術か妖術だ。

 可能性が高いのは呪術の方だろう。妖術が使える人間族は東大陸の最東端にある小さな里の者だけだ。

 あくまで可能性の話なのでどちらも視野に入れとくことに変わりはないが。問題なのは私がそのどちらも専門外ということ。

 呪術なら時間をかければ解呪出来るが、妖術だった場合は無理だ。妖術は妖力を持ったものしか操れない。


「いや、ほとんど呪術で決まりだな」


 妖術なら妖魔であるリアリルが見逃すはずないのだった。


「はぁ、まだまだ知識不足だな。頭の回転も遅い」


 自分の頭に残念がっていると、ガルグをようやく見つけた。


「ガルグ!大丈夫か?酷い怪我だ」

「ウルか…大丈夫、とは言えんな。翼を裂かれ飛ぶことが出来ぬ。それに顔を焼かれたせいで前がよく見えぬのだ。瘴気のせいで回復も出来ん」


 ガルグの翼はボロボロで、美しい白竜の顔も赤く爛れていた。他にも身体に何ヶ所か傷があり、血が出ている。

 暴れている竜達を収めようとしたのだろう。

 周りを見ると何体か気絶している。


「ウル、こんな事態の時に悪いが少し魔力を分けてくれないか。回復したいのだ」

「もちろん構わない。それより、他の竜は」

「凶暴化していない者共には自衛を命じた。その他の凶暴化した者共は出来る限りは止めたが、全ては無理だったな。そこに転がってる者共がそうだ」

「一人で相手にしたのかよ、バケモンか。あいつらを調べてもいいか?」

「構わん」


 ガルグに魔力を供給したまま気絶している竜達を観察する。


(それにしても一人でこの数を倒すとは、さすがは長と言うべきか。他の奴らの力を借りればあそこまでボロボロにはならなかったろうに。多勢に無勢じゃさすがのガルグも…)


「全て母竜だな」

「言われてみれば、確かにそうだな」

「小竜はどうした」

「リアリルが守っているはずだ。そう数は多くないのでな、ってウル!どこへ行くのだ!」


 ガルグの話を最後まで聞き切る前に私は走り出した。


「安心しろ!魔力供給は止めねぇよ!回復するまでそこ動くんじゃねぇぞ!」


 リリーは密猟者に追われてると言っていた。なら黒丸の所へ行けばリリーがいる可能性が高い。

 今竜の谷にある黒丸は一つだ。そこに向かう。

 何故一つなのか、他の奴らは何処にいるかは分からない。

 それに黒丸近くの白丸も一つだけなのだ。


「小竜は何処に行ったんだ。いや、今はリリーが優先だ。あいつが知ってるはずだ。耐えてくれよリアリル!」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ