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目覚め

「う、んん、」

「おや、予定より起きるのが早かったね」


 目を覚ますと近くにキファ様が居た。

 私の声で私が起きたことに気付き、顔を覗かせた。


「きふぁてっどさまぁ?」

「相変わらず寝起きはふにゃふにゃだね。直ぐに起きない方がいいよ。神核とはもう適合したみたいだけど、約三ヶ月間も寝ているんだ身体が上手く動かないと思う」


 確かにこの身体でこんなに長く寝たのは初めてなので、身体に違和感がある。

 腕を少し動かして手をグッパさせているとキファ様が立ち上がった。


「待ってて、食べ物と飲み物を取ってくるから」


 そう言ってキファ様は私の視界から外れてしまった。

 待っている間、とりあえず腕だけ動かし身体を慣らす。しばらくしてキファ様が戻ってきた。


「はいこれ、水と果物。って言っても寝転がってるから食べれないか、食べさせてあげようか?」

「いや、だいじょぶです」


 私は自分の背中と地面の間に板状の結界を作り、その結界を使って身体を斜めに起こした。

 結界だと少し硬いので、起き上がった身体と地面の間に水球を作り、結界を解除して水球にもたれた。


「寝起きでも魔法は完璧なんだ。まだちょっとふにゃふにゃしてる癖に」

「ええまぁ」


 そうして体勢を整えた私はキファ様が持ってきてくれた、果物を食べる。


「食べながらでいいからちょっと聞いてね」

「ふぁい」


 まだ頭は覚醒しきっておらず、少しふわふわしているが話の内容位はちゃんと入ってくるだろう。

 恐らく大丈夫だと思いながらキファ様の方を向く。


「まず、ウルはちょっと起きるのが早かったね。今までも起きる時間に個人差はあったようだけど、早めに起きた人は居ないらしいから驚いたよ。で、多分早く起きた影響なんだろうけど、ウルまだ少し神獣化してるんだよね。頭触ってごらん」


 そう言われて私は食べている方と反対の手で自分の頭を触る。

 すると手が何かに当たった。

 その何かを触ってみると角だ。

 神獣化によって生えた角がまだ残ってしまっているのだろう。

 キファ様は言葉を続ける。


「今触ってもらってる通り、角が生えっぱだ。それに、」

《水鏡》


 目の前に水鏡が現れる、キファ様が出してくれたのだ。

 私は水鏡に映る自分の姿をみて、目を見開いた。


「見ての通り、髪が黒く、瞳も紫だ。少し瞳孔の形も変わってるね」

ふぉんふぉだ(ほんとだ)


 私は頬張っていたリンゴを飲み込み、自分の姿を改めてじぃっと見る。


「そんな感じで、まだかなり神獣化しっぱなしだから、もうしばらく聖域に居てもらうよ」

「分かりました。だけど、これが適合後の姿という可能性は?」

「ないね。姿が変わると言っても、髪色や瞳孔の変化くらいで、角が生えっぱになることは無いよ」

「そうなんですか」


 私は自分の頭に角が生えてるという感覚が不思議で、角やその生え際を触ってみる。

 角を触った感覚としては、爪が一番近いだろう。

 角が触られてるという感じではない。ただその振動が頭に来ているだけだ。

 神経が通って無いんだろう。


「あぁ、それとスヴィンから伝言預かってるよ」


 私が角の感覚を確かめているとキファ様が思い出したように呟いた。

 伝言とはなんだろうか。


「お前が眠りに入る前に言ったけど、聞こえて無いかもしれないから、もう一度言う。お前が目覚めてしばらくしたら、東の守護者も代替わりするらしいから、東に何かあったら手伝ってやれよ。だそうだ」

「……なんであの人は重要な事を後出しするんだ?」

「そういう奴だ」


 私は深い溜息をつき、師匠に次会った時に文句を言ってやろうと決める。

 キファ様も呆れ笑いをしている。


「それより、こんなほぼ同時に代替わりなんてするんですね」

「いや、五年くらい間を開けてなら一回あったらしいが、こんなにすぐは初めてだな。スヴィンが早めたせいだろう」


 今の守護者の古い順は、東、南、北、西だ。

 ちなみに私が継ぐ前は東、南、西、北だったので、師匠が継承を早めて東と南の守護者様よりも先に自分は隠居したのだ。


「まぁ、とにかく東の代替わりは一月後だ。それまでには神獣化もとけるだろう」

「本当に早いですね」


 一月後となると、私は今の東の守護者様には会えなさそうだ。

 東は同僚というよりほぼ同期だな。


「それとウル」

「まだ何か?」

「お前と俺はもう同僚だ。敬語と様付けをやめろ」

「ですが……」

「そんな丁寧だとお前が大変だぞ。ここに口調を気にするようなやつは居ない、気にせず喋れ」

「分かりまし、分かったよ」

「よし」


 そう言ってにっと笑った。


「しかしなんと呼べば……」

「キファでいい」

「うーん、どうしても師としてのイメージが取れなくてキファ様になっちゃいそう」

「まぁ慣れて行くしかないな。ほら、口調ももっといつもは砕けてるだろ。崩した崩した」

「分かったよ、キファ…殿」


 ムッとした顔で睨まれた。目を逸らすが視線をものすごく感じる。


「勘弁してくれ、これが今は限界だ」

「仕方ないか、今は許してやるよ()()な」

「はは、そりゃどうも」


歴代守護者の期間は平均二千五百~三千年です。


↓現在の期間

東/二千八百年

南/二千三百年

北/二百年

西/ゼロ日


スヴィン/千八百年


二千年過ぎたあたりから後継者をさがし、器が現れるか次第でだいぶ変わります。

器が早めに現れれば早めの代替わり、遅めならば遅めの代替わりとなります。

神核に適合する者は本当にランダムに生まれるので、器であっても守護者にならない場合もあります。

後継後すぐとか、身体が適合していても技術等が足りない場合も守護者にはなりません

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