魔法戦Ⅱ
転移したのは彼と戦っていた場所の真反対。だが、すぐにバレると思うので少し走って移動する。
集合、厄介なスキルを持っている。私のスキルは固有スキルこそ強いがその他は戦闘向けでは無い。創造も魔法戦ではあまり使い勝手がいいとは言えない。
あの銃は破壊しようと思えばすぐにできる、そりゃもう粉々に。でも流石に可哀想だし、もっと恨まれそうなので辞めておく。いや、保護魔法かけてない方が悪いと思うけど。
でも先程の戦闘で分かったこともある。彼はあまり防御結界が得意ではない。恐らく最速の雷の矢は全て当たっているだろう。
彼の元の正確な魔力量は知らないが、パッと見た感じ私よりは少ない。高火力のものを避けれないよう何発か当てれば普通に勝てる。幸いこちらは彼の攻撃にまだ一度も当たっていない、失った魔力は魔法で使った分だけだ。
うーん、アレを試すいい機会かもしれない。
作戦を決めていると魔力弾が飛んできた、見つかったらしい。
「逃げてちゃ終わんないぜ?」
「そうだね、丁度作戦も決まったよ」
「なら、戦闘再開だ」
彼との会話が終わった瞬間彼の真後ろに転移する。
そしてそのまま彼に横から蹴りを入れる。
魔法戦の物理攻撃は意味が無い。魔力を帯びているもので攻撃しないと、相手の魔力は減らせない。
そう、魔力が帯びていればダメージが入る。
私は自身の体を魔力で被ったのだ。魔力の無駄使いだが、先に相手の魔力を無くしてしまえばなんの問題もない。
ということで、彼の背後に転移しては殴って蹴った。ちなみに痛みは無いので特に躊躇いはない、せいぜい衝撃がちょっと来るくらいだ。
物理攻撃をしながら、火球や風の刃を当てる。
彼は銃を打つ暇も結界を張る隙も無く、ボコボコだ。これだけやられても反撃をしないということはスキルを持っていないのだろう。
そろそろ腕と脚が疲れてきたので、彼を地面に叩き落とす。落とした先は、先程移動中に仕掛けておいた固定反射結界が張ってあるところだ。
落ちた彼が起き上がる前に、出られないようにして、終わりだ。
反射結界とは名前の通り、魔法を反射する結界で、内側に反射するので魔法を打てば自分に当たるし、永遠に跳ね返り続ける。
つまり彼に残された選択は自分で終わるか、降参かしかない。まぁ、私が結界の中に攻撃魔法を放ってもいいのだが、流石にそんな無慈悲なことはしない。別に彼に対してなんの感情も無いし。
「さぁ、どうする?結界を破るのも手だが、君が結界を破る前に同じ結界を俺は張り続けるけど」
「くっ、卑怯だぞ」
「卑怯?そんな高級最新魔道具使った君には言われたくない」
「……」
ぐぅのねも出ないらしい。魔法戦の魔道具の使用は禁止されていないが、彼の戦い方は美しくなかった。それは彼も思っていたのだろう。
「ま、降参するのが一番いいよ。無駄に魔力を無くすのは危険行為だし」
「……分かった。降参だ」
「ラトゥーニさんの降参により、今回の魔法戦の勝者はウルさんです」
監督教諭からの終了の合図だ。その合図と共に上空に行った双子が降りてきた。
「この前の論文の魔法は使わなかったのか」
「アレをここで使ったら、森の一部が吹き飛びますよ」
「なるほど」
彼らが言っているのは一番最新の論文のことだろう。あれは新しい大規模魔法の論文だったから、少し楽しみにしていたのかもしれないがこんな所では発動出来ない。
「さて、ラトゥーニ君。君が何故俺を目の敵にするのか教えて貰おうか」
「「目の敵?」」
事情を知らない魔塔双子はハテナを浮かべているが、関係無いので別に説明しなくていいだろう。
「……それは、教えねぇ。たけどいつか分かるはずだ」
「はぁ?これが終わったら言うと言ったのは君じゃないか。嘘をついたというのか」
「別にいずれ分かるんだ。わざわざこの場で説明する気は無い。負けは認める、それじゃぁな」
「えぇー……」
そう言って彼は転移魔法で帰ってしまった。結局なんだったんだろうか。まぁ、今回の魔法戦で追加単位が貰えて、安定したので良しとしよう。
「ところでウル、僕の弟子になる話は」
「じゃぁ、疲れたので俺も帰りますね。さよなら」
「そんなぁー相変わらず冷たいなぁ」
「いい加減諦めろよ」
私も転移魔法で自分の寮に帰り、色々終わらせ爆睡した。
あの魔法戦以来、ラトゥーニ君は何故か私の研究室に来るようになった。その度共通点とやらを教えてもらおうとしたが、話してはくれなかった。
結局よく分からないまま、卒業の日になってしまった。無事、仕事とアカデミーを四年間両立して卒業出来た。私は準三級魔法士の資格を手に入れ、帰国したのだった。
あと少しでアカデミー編も終わりです!




