やっかみ
アカデミー入学から約四ヶ月。魔塔に呼ばれた。なんだろう、なにかしてしまっただろうか。え?怒られる?なんだか凄く怖い。ここ最近で、緊張と恐怖という今まで味わったことないものに身体が支配されている、なんと恐ろしい。
魔塔内の階段を登り、五階くらいだろうか扉の前に案内人さんと二人で立ち、案内人さんがノックをする。
「入れ」
中から声がし、案内人さんが扉を開ける。
「案内ご苦労だったな、下がっていいぞ」
「はい」
そう指示され案内人さんは去る。案内人と言っても魔塔に属する魔法士か魔術師だ、その人に指示しているということはこの人は少なくとも三級以上だろう。
魔法士又は魔術師の等級は六つ、上が一で下が準三。魔塔は実力主義なので誰かに命令している時点でその人は三級以上だ。
(五階くらいに部屋があるなら二級くらいだとは思うけど)
魔塔は見た目は七階建てくらいだが、中は空間魔法によりもっと広いし長い。移動は基本的に本人達が魔塔内で転移していると聞いた。
部屋が上なほど階級が高いらしい。つまり魔塔主は最上階だ。一番偉いのだから楽な下の階層に住めばいいのに。まぁ、秘密書類とかあるんだろう、結界張るのも面倒だろうし。
「お前がウルだな?」
「はい」
「この論文、お前が書いたもので間違えないんだな?」
「はい、私の論文です」
「ふっ、あっはははは!なるほどな、あいつが認めた意味がお前に実際に会ってわかったぜ」
(急に笑いだした、怖いこの人。なんなんだろうか)
ドン引いていると私と目の前の男が転移魔術で同時に飛ばされる。男が転移魔術使ったのだ。そして私達は他の部屋に移動し、そこにはもう一人目の前の男とほとんど同じ顔の男が居た。
「満足したかい?テイラー」
「あぁ、いいぜ。あの発言は撤回してやる」
恐らく双子だと思われる二人はなにか話している。まぁ大声だから聞こえているのだが。撤回ってなんだろう。
双子だと思うけど、双子じゃなかったらどうしよう。そっくりさんだったり。こんな髪型と瞳の色以外ほぼ同じなやつが双子じゃない訳ないよな?顔の造形、身長、体格ほぼ同じだぞ。テイラーと呼ばれた方が少し背が高いが。
「おっと、自己紹介もせずごめんね。僕はリング・エスタ、魔塔主だ。階級は準一級。そしてこっちが」
「双子の弟、リング・テイラー。魔塔に住む二級魔術師だ」
「魔法アカデミーに通っているウルと申します。それで、要件はなんでしょうか?」
なぜ魔塔主に会っているのだろう、ただの学生が会える人物ではないのだけど。ていうか、魔塔主様双子だったんですね。あと若くないですか?代代わりしたてかな?にしても若い、二十代前半くらいだろうか。
「君を僕の弟子として取ろうと思ったんだけど、弟が納得しなくてね。まぁ弟が納得しなくても魔塔主は僕だし関係ないから話を進めようとしたんだけど、君の論文を全て持って部屋に閉じこもってね。君を見るまで部屋から出ない!なんて言うもんだから、君を弟に見せたってわけ。」
「それで、俺がお前を見て納得出来たら論文を返してやるって言ったんだ。どんなやつが来ても認める気なんてなかったが、認めざるを得ねぇ」
(……えーそんなくだらない事に私の論文巻き込まれたの?可哀想私の論文。)
「はぁ、そうですか。要件が済んだなら帰っていいですか?」
「話はまだ続くよ。ていうか話聞いてた?弟子にしようと思ってるんだけど」
「遠慮します」
「まぁ、待ってよ。僕の弟子になってくれたら、今ならなんと準二級魔法士の階級与えちゃう!」
「結構です」
「え!?なんで!?君の入学理由は知ってるんだよ!?魔法士の資格の為だけにアカデミーに来たんだろう?魔法士の資格をあげるから、アカデミーなんて辞めて僕の弟子として研究しない?」
「嫌です」
「どうしてさ!」
「僕、もう師匠が居るので」
「二人いたっていいじゃない。それに四年間はアカデミーに居る予定だったんだろう?なら四年間だけ僕の弟子として研究しようよ」
「僕の師匠は二人です」
「……三人だっていい!」
「話が済んだようなので失礼しますね。魔法士資格はアカデミー卒業したら取れるので大丈夫です。さよなら」
「ふふん、そう簡単に帰れると思わないことだね!この部屋の結界は僕が許可した人間以外出入りはできな」
「もう帰ったぜ」
「えっ」
……なんだかものすごく時間を無駄にした気がする。外に出てみるとまだ昼過ぎだったので与えられた研究室に歩いて行った。
歩いて行ったのが間違いだったかもしれない。面倒なやつに出会ってしまった。
「魔塔に呼ばれたらしいな」
「大した要件じゃなかったよ」
「チッ、なんでお前だけ。俺も特待生になったのに。師匠も魔塔もお前ばかり!」
ものすごく睨まれている。わぁー怖ーい。眼光だけで一人くらい殺してそうだ。
ところで師匠も魔塔もとはどういう事だろうか。魔塔は今呼び出されたからまだ分かるとして、はて?師匠とは一体。彼も彼の師匠も知らないが。いや、彼の事はこの前知ったけど。師匠とは、誰?
まぁいい、これ以上睨まれたら夢に出てきそうだ。
「失礼するよ」
「俺だって同じ………なのに」
「?」
横を通り過ぎた時なにか言っていたがよく聞こえなかった。同じ?
一体彼は何を言ったのだろう。
魔法士、魔術師の階級と、条件です。
↑
一級(魔塔に居るもの達全てに認められる&全属性の中級以上の威力を使える。拒絶体質は除く。)
準一級(魔塔の八割に認められる&全有属性の中級以上の威力を使える。拒絶体質は除く。)
二級(魔塔の五割に認められる&四属性以上使える)
準二級(昇級試験に受かり、四属性以上使える)
三級(昇級試験に受かる)
準三級(魔塔公認機関の卒業or試験に受かる)
↓
二級以上は認められるのが試験みたいなもんです
ウルは拒絶体質の治癒以外は全て使えます。これは前世のおかげ。だけど治癒に似た属性の光、厳密には浄化がめちゃくちゃ苦手です。
A,魔塔主が許可した人以外出入りできないなら最上階じゃなくても良くないですか?
Q,高いところに居た方が偉く見えるとは思わないかい?僕は思う!だから最上階に居るのさ。歴代の主達も恐らくそんな理由だろう。ByR・E




