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新たな出会い

 貴族学園フラータを卒業して早半年、その間私は研究室に籠りきっていた。

 学園を卒業したら研究室に籠っていいと父に許可をもらい、この半年間ほとんど外に出ず、外部との接触を絶っていた。

 ちなみに研究室の場所はフォッツ国外のフィーナル大森林の中である。そもそもここに来る者など居ない。

 国外といっても割と近い場所に研究室はあるので、成人したらこのままこの横に家を建ててここに住むつもりだ。湖もあり、立地が素晴らしい。


 私は一年半後に東大陸にある独立都市グルトンに行き、魔法アカデミーに入ろうと思っている。

 グルトンには魔塔があり、魔塔は魔法士の階級を決める。師匠に魔塔から正式に魔法士の資格を貰ってこいと言われたのだ。魔法士の資格は何かと便利なので持っていて損はない、そして資格を貰える機関の一つがグルトンにある魔法アカデミーなのだ。

 魔塔もアカデミーも東大陸にあるが、独立都市内だしそもそも魔塔がどこにも属さず、独立しているため種族差別はない。

 まぁでもグルトンにあるアカデミー以外にも魔塔の管理機関はあるので大体人間族以外は南大陸にある機関に行く。私が東大陸に行くのはそっちの方が近いからだ。

 話は戻って私がこの半年間研究室で何をしていたかと言うと、変身魔法の術式化と応用して他に何か使えないかを研究していたのだ。

 いくら独立都市といっても、どうせろくでもない輩が居るだろうと思い、変身魔術を組み込んだ魔道具で人間に変身しようと思って術式化の研究をしていた。

 変身魔法を使ってもいいが、ずっと発動し続けなければいけないし、魔力の流れでバレる。なので魔道具を作り、パッと見じゃ分からない程のものを作りたいのだ。

 まぁ、といっても森人族の特徴は耳くらいなものでその他は人間族と大差ないので、耳を隠すだけなら簡単だ。だけど私は性別も有耶無耶にしたい、顔は元々中性的なのだが身体はそうでは無い。肉の付き方が女性過ぎる、ので身体も中性的に保てるよう術式を書いてるのだが……


「だぁー!これじゃ魔力の流れで変身してるのが一目でバレる、ダメだ、ダメダメ!」


 魔道具の魔力を隠すのが難しい。隠蔽魔術を魔道具に書き込めばいいのだが、変身も隠蔽も複雑な魔術式なので耐えてくれる媒体がない。


「術式は完成してるんだけどなぁ、」


 隠蔽術式を書き込まないと魔道具だとバレるし、書き込めばそもそも壊れる。調節が中々に難しく苦戦していた。


「はぁ、腹も減ったし森に飯でも取りに行くか。そのついでに高度の高い魔鉱石落ちてないかなぁ……」


 魔鉱石とは魔道具の媒体に使われるもの、空魔の密度が高い場所程高度が上がり、高度があるとその分複雑な魔術式に耐えられる。


「世界樹付近の洞窟になら一個くらい生えてるかもしれないし、今日はそっちの方行ってみるか」


 いつもは研究室の近くに実ってる木の実などを採取して食い繋いでいるが、今日は魔鉱石を探して少し遠くの方まで行ってみることにした。




「ダメだ……そもそも洞窟がそんなにねぇ……」


 魔鉱石は洞窟内にある。なので洞窟がないとそもそも見つからない。


「こうなりゃ師匠を呼び出して角を頂戴するしか……」


 なんて悪どい考えをボソボソ呟いている時だった。


『主様、地中から攻撃です!』


 アロンからの念話で攻撃に気づき飛んで避ける。

 その瞬間、地面から蔓が飛び出してくる。

 いつもはアロンもセズも留守番をしてもらっているのだが、今日は慣れない場所に行くのと、洞窟を探してもらいたいので連れてきていた。精霊の方が魔力反応に敏感なので地中に潜っていた蔓にもすぐに気づいたのだろう。


(植物型の魔物か。遭遇したこと無かったから、気づかなかったな。あと少し遅れてたら貫かれてたか、足を取られてたか、ともかく危なかった)


 すぐに戦闘態勢に入り、蔓の魔力を辿り本体を探す。かなり離れた所から攻撃されたらしい、場所を特定した。似たような魔力が三つある、三体居るのだろう。

 だが、そのうちの一体の魔力が少しおかしい事に気づく。


(他の魔力と重なってる?まさか、誰か襲われてるのか?)


『セズ!上空から情報をくれ』

『分かりました、少々お待ちください』

『アロン!この距離は流石に不利だ、相手の方につめる、乗せてくれ』


 二人に指示を出し、アロンに乗せてもらう。飛んで向かっても良かったのだが、標的がこちらに向いている以上、情報を取ってくれているセズを巻き込む訳にはいかなかった。


『主様、子供が捕らえられています、特に深い外傷は見当たりません。種族は少し分からないですね。申し訳ありません』

『いや、十分だ。ありがとう。アロンは二体の注意をひいてくれるか?その間に子供を助け出す』

『分かりました』


 そうして魔物が見えたタイミングで二手に別れる。子供は蔓に絡め取られており、恐らく魔力を吸われている。早く引き剥がさないと危険だ。下手に遠距離で魔法を使えば、子供に当たる可能性があるので使えない。


創造(クリエイティブ)


 槍を創り魔物を見据える。切るべきは蔓の付け根、槍でいなしながら至近距離で風魔法で切れば子供に危険はないだろう。そう思い走り出す。

 蔓が一気にこちらへ伸びてくるので、切り、避ける。止まることなく近ずき、狙いを定めて風魔法を放つ。


(切れた)


 すかさず子供を引っ張り出し、そのまま上空へ飛行魔法であがる。子供を抱きかかえて蔓の届かぬ高さまであがる。


『アロン、撤退だ。思ったより魔力が吸われてる、その魔物は今はほっといていい、帰るぞ』

『ですが…』

『その魔物の魔力は覚えた、明日にでも討伐しに行く。安心しろ』

『分かりました』


 私はそのまま飛行魔法で空を飛びながら帰った。


(狐獣人か?何故来んな所に、獣国は西側のはずだが……それより、今はこの子の魔力を回復させないとな)


 魔力を持つ者同士の魔力移行は少し複雑だ。自分の魔力を相手の魔力に合わせて流さなければいけない。そして自分の魔力を変えるのは自分の身体を出て相手の身体に入る一瞬の間。

 相手の魔力の分析と自分の魔力の変更を行える者しか基本的に魔力移行は出来ない。

 一応自分の魔力をそのまま流すことも出来るが、相手の身体に負担をかけてしまうのであまり推薦されていない。魔力が無くて本当に危険な時以外はあまりやらないだろう。

 子供の魔力を回復させながら、ウルは研究室に戻るのだった。

ご飯は近くの木の実を採って食べました。

魔力が底を尽きると気絶します。自然回復はしますが遅いです。魔力がほぼない状態の時は目眩や頭痛等が起きます。回復方法は、空魔濃度が高い場所で寝かせて、自然回復させるか、魔力移行をするかです。

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