【おまけ】とある少年の出会い
生まれつき、人よりも人の魔力が鮮明に見える目を持っていた。
五歳の頃、兄上に頼んで無理やり森の偵察について行った事がある。偵察場所について、兄上には結界の範囲内で大人しく待っているよう言われた。だけどそれを破り、僕は結界の外に行き少し森を散策していた。散策していると、湖が見えた。そしてそこで僕は見つけた、まるで星空のような、月の光を反射している水のような、美しい魔力を持つ者を。
(まるで、湖の妖精みたいだ。)
水浴びをしている女の子だ。目を逸らすべきなのに美しさに目を奪われて、逸らせない。横顔を見た、目が合った訳じゃない。だけど、濡れた灰色の髪の隙間から見える、上部にピンクがかった紫のグラデーションが入っているエメラルドグリーンの瞳が忘れられなかった。
(あの綺麗な魔力を持つ子が使う魔法を見たい。)
そんな衝動に駆られ、彼女に近ずこうとしたその時強風が吹いた。強風で目をくらましている間に彼女はふっと消えてしまった。まるで最初からそこに居なかったように、僕が幻を見ていたかのように。
彼女を見失った後、僕はすぐに元の場所に戻りそのまま兄上と帰った。その後、何度か兄上について行き湖に行ってみたが、彼女が現れることは無かった。
(本当に幻でも見たんだろうか。)
三年後八歳になり、国内の貴族階級を持つ者たちに顔合わせをしている時だった。彼女は現れた。一日だって忘れなかった灰色の髪とピンクがかった紫のグラデーションが入ったエメラルドグリーンの瞳、そして今まで出会った誰よりも美しい魔力。
(あの時の子だ。まさか、こんな所で会えるとは。)
「第二王子殿下にご挨拶申し上げます。グレーズ公爵家の次女、グレーズ・ユトゥールでございます。」
こんなに近くに居たとは。公爵家ということは会う機会も多いだろう。見たい。彼女の魔法を見てみたい。
その美しい魔力でどんな魔法を使うのか、気になる。
(彼女と仲良くなれるだろうか。)
「僕の名前はアーノルド。よろしくね、ユトゥール。」
それから、色々考えて彼女に魔法を使ってもらおうとした。だけど、段々と避けられてしまって未だに彼女の魔法は一度も見た事がない。彼女と最初に会ってから七年、同じ学園で三年間過ごすんだ。今度こそは逃げられないようにしなければ。これはまたとないチャンス、これを逃せばきっと僕は彼女の魔法を見る機会がない気がする。
(果たして、この感情は本当に彼女の魔法への執着なのか、それとも……)
そんな思いを胸に彼は南大陸への移動用ゲートに向かうのだった。
なんだかんだウルの容姿についての描写をしていなかったのでここで出せて良かったです。次回から貴族学園編です。




