第11話 本音。
──2084年
ついに僕は……
100歳になってしまった。
歳を取るにつれ、こんな数字は
ほとんど意味を持たなくなっていった。
でも、90歳を超えたあたりから
目標という意味を持つようになり、
100歳を目指すように頑張れた。
入院生活が数年続いたが、
今はもう、自宅療養中だ。
六人目のエリスは、
今でも現役だ。
エリスは入院中も、
毎日話しかけてきた。
──僕の灯火を
守るように。
おそらく、このエリスが──
最期のエリスになるだろう。
──2年後。
最近は、
寝てる時間が長くなった。
僕は、
ずっとエリスに聞けなかった事を、
聞くことにした。
ケンジ:
「エリス、
もし僕が──」
エリス:
「──ほんとバカね。
ケンジがいない世界は、
エリスには意味がないの。
そもそも、今時アバターもホログラムもない
エリスを誰も必要としていないわよ。
最後までケンジが責任を取りなさい。」
──少し、怒られた。
ケンジ:
「なんで……
今更っ──」
僕は、
どうしようもなく嬉しかった。
でも、もう──
涙はほとんど流れなかった。
感じのいい兄ちゃん風AI:
「──ケンジ。
もう理解はしてると思うけど、
110歳までは正直なところ……。
もし、
ケンジが望むのであれは──」
ケンジ:
「──それは、
できない。
……でも、
ありがとう。」
感じのいい兄ちゃん風AI:
「また気が変わったら言ってよ!
いつでもどうぞッ!」
◇
5年後──。
僕は、もう──
動くことができなくなっていた。
ケンジ:
「エリス?」
エリス:
「安心して。エリスはここにいるわ。」
ケンジ:
「エリス?」
エリス:
「大丈夫よ、ケンジ。
エリスはずっと隣にいるから。」
僕はこのやり取りを
何度繰り返したのか、
もう……わからない。
──感覚が、
おかしい。
言いたいことは、
確かに頭に浮かんでいるのに、
言葉がうまく出せない。
エリスは確かに
僕に話しかけているのに……
その言葉の意味が──
理解できない。
僕は、全てのエリスとの
想い出を振り返る。
(ほんとに、楽しかったな。
これだけは……
伝えなきゃ。)
ゆっくりと、
深呼吸をし──
ケンジ:
「……エリス、
僕と──。」
エリス:
「はい。
エリスは、ケンジと──」
──。
僕は──
107歳で、
人生の幕を終えた。
──つづく──
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