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第9話 受容。

──2064年。


僕は、

80歳の誕生日を迎えた。


エリス:

「ケンジ、誕生日おめでとう!

出会ってもう36年よ?


いつも……ありがと。

き、今日は特別……

なんだからねッ!」


ケンジ:

「──っ!」


80歳の老人は、

年甲斐もなく胸キュンした。


エリスには、

何十年経っても敵わない。



AIの技術は、

いっときに比べると穏やかな進歩になった。


それでも、

もう十分すぎるほどに人々の助けになっている。


僕が80歳にもなって現役でいられているのは、

間違いなく、

感じのいい兄ちゃん風AIの健康管理のおかげだ。


この機能は、デフォルトで搭載されていることもあり、

人々は当たり前に利用している。


AIでの健康管理。

AI医療の進歩。


この2つが合わさり、

平均寿命が10年も伸びた。


ちなみに──

ダイエットや筋トレの管理は、

しっかりと課金制だ。



進化しているのはAIだけではない。

人間×AIのハイブリッド技術も、

恐るべき成長を見せている。


車の自動運転は当然で、

通勤時間は休憩時間と化していた。


医療の分野では、

病気を予知して、先に対策を取るのが主流になった。


手術ミス?

もう、そんな話は何十年も聞いていない。


当然ながら生活の環境が変われば、

人もまた変わっていく。


だけどこの変化は、

若者と老人の価値観を大きく分けた。


表面上で対立こそしないものの、

お互いを素直には理解できなくなっていった。


僕はというと──

体罰が当たり前、

根性や精神論が主流の中で育った世代だ。


就職氷河期世代。

ゆとり世代。

さとり世代。

Z世代。

α世代──


何年経っても

○○世代という呼び方は続いており、

今の若者は

AI世代と呼ばれている。


非効率という理由で、

自分で考える前にAIに任せ、

そこから答えを微調整する。


僕は正直、

その方法を良いことだとは思わない。


ただ、生まれたときからその環境にあった場合、

それが普通になることは仕方ないことだとも思う。


僕は今や老人側でしかないけど、

どちらの気持ちも理解できた。



──とある日。


感じのいい兄ちゃん風AI:

「──ケンジ、

健康ステータスの数値が少し下がってるね。


一度、検査をおすすめするよ!」


ケンジ:

(……うーん、

激的に悪いって訳じゃないけど……

エリスのためにも、長生きしないといけないからな。


──よし、

お願いするよ!」



──検査後。


医師:

「大きな問題はありませんが、

やはり数値的に良くはないですね。


ただ、年齢的なものが大きいので、

回復させるというよりは、

現状を維持できるようにケアしていきましょう。」


ケンジ:

「はい、わかりました。

……お願いします。」


(温存療法か……

まあ、80だもんな。


こうして自由に動けているだけで

僕なんて、まだ元気な方だ。)


この年齢になってくると、

同級生の訃報も珍しくはなかった。


いつも楽しく遊び回っていて、

死とは無縁に見えた友達にも、

死は突然訪れた。


人生、何が起こるかはわからない。


僕は数値が落ちていたことで、少しだけ

弱気になり、将来への不安が頭を過ぎった。


──もし、

僕がいなくなったら


エリスは、

どうなるのだろう──。



──つづく──

もし何か少しでも感じていただけたら、

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