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特別短編2 ショースケの朝

****


 時刻(じこく)は朝(あさ)の七(しち)時半(じはん)。


 ショースケは爆音(ばくおん)で何度(なんど)も鳴(な)り響(ひび)くアラームをものともせず寝返(ねがえ)りを打(う)っていました。


「ショースケ君(くん)いつまで寝(ね)てるんだ! 学校(がっこう)遅(おく)れるぞ!」


 部屋(へや)に入(はい)って来(き)たライトに掛布団(かけぶとん)を強引(ごういん)に剝(は)ぎ取(と)られ、ショースケはダラダラとやっと起(お)き上(あ)がりました。


 ぼーっとしたまま一(いっ)階(かい)に降(お)りて、ぼーっとしたまま椅子(いす)に座(すわ)ると、目(め)の前(まえ)に並(なら)べられたルルが作(つく)ってくれた朝食(ちょうしょく)を口(くち)に運(はこ)びます。


 サクサクの焼(や)きたてトーストに目玉焼(めだまや)きとベーコンをのせて頬張(ほおば)っているとようやく目(め)が覚(さ)めたのか、ショースケは掛(か)け時計(どけい)を見(み)て目(め)を丸(まる)くしました。


「ええっ、もうこんな時間(じかん)⁉ ライトさんもっと早(はや)く起(お)こしてよ!」


「僕(ぼく)は何回(なんかい)も起(お)こしに行(い)っただろ! 大体(だいたい)昨日(きのう)も早(はや)く寝(ね)ろって言(い)ったのにショースケ君(くん)が夜更(よふ)かしするから起(お)きられないんじゃないか」


「だっていいアイデアが浮(う)かんじゃったんだもんしょうがないじゃん!」


「続(つづ)きは明日(あした)やればいいだろ!」


「思(おも)い立(た)ったが吉日(きちじつ)っていうでしょー!」


 朝(あさ)から元気(げんき)に揉(も)める二人(ふたり)に、メグはやれやれといった感(かん)じで口(くち)を開(ひら)きます。


「ショースケさん本当(ほんとう)に遅刻(ちこく)しますヨー。ライトさんモ、朝(あさ)からそんなに大(おお)きい声(こえ)出(だ)さないでくださイ」


「う…すみませんメグさん」


 ライトは気(き)まずそうにホットコーヒーを口(くち)に含(ふく)み、その横(よこ)でショースケは急(いそ)いで残(のこ)りのポタージュスープを飲(の)み干(ほ)しました。


「ごちそうさま!」


 ショースケはそのままバタバタと二(に)階(かい)の自分(じぶん)の部屋(へや)に戻(もど)り、着替(きが)えを済(す)ませてランドセルを持(も)って一(いっ)階(かい)に戻(もど)ります。


 そして洗面(せんめん)所(じょ)にダッシュで向(む)かって歯磨(はみが)きと洗顔(せんがん)を済(す)ませている間(あいだ)に、寝(ね)ぐせだらけの髪(かみ)の毛(け)をメグが優(やさ)しく梳(と)かしてくれます。


「あ! ショースケさん、制服(せいふく)の上着(うわぎ)その辺(へん)に放(ほう)っておいたでショ。ヨレヨレになってまス、ちゃんとハンガーにかける約束(やくそく)じゃないですカ!」


 メグはプンプンと頬(ほお)を膨(ふく)らませています。


「う…だってめんどくさいんだもん…」


 ショースケはびちゃびちゃの顔(かお)を拭(ふ)きながら口答(くちごた)えしました。


「あんまりひどいとショースケさんのマムとダッドに言(い)いつけちゃいますからネ!」


「ごめんなさいちゃんとするからそれだけはやめて!」


 ショースケは懇願(こんがん)しながら洗面(せんめん)所(じょ)を後(あと)にします。


 青(あお)いランドセルを背負(せお)い、玄関(げんかん)でもぞもぞ靴(くつ)を履(は)いていると三(さん)人(にん)がお見送(みおく)りにやって来(き)ました。


「ショースケさん、忘(わす)れ物(もの)はありませんか?」


 ルルが優(やさ)しく微笑(ほほえ)みながら尋(たず)ねます。


「それはねルルさん、学校(がっこう)に行(い)ってみないとわかんないよ! 忘(わす)れ物(もの)があるってわかってたら忘(わす)れ物(もの)なんてしないんだから!」


 ショースケは何故(なぜ)か得意(とくい)げです。


「ハンカチは持(も)ちましたカ?」


 メグの質問(しつもん)にショースケは任(まか)せてよとポケットからハンカチを引(ひ)っ張(ぱ)り出(だ)しましたが、しわくちゃのそれはどう見(み)ても昨日(きのう)、いや数日(すうじつ)前(まえ)から入(はい)っていたかもしれない見(み)た目(め)です。


 きっとそうだろうと読(よ)んでいたメグは小(ちい)さくため息(いき)をついて、持(も)ってきておいた綺麗(きれい)なハンカチをショースケのしわくちゃのそれと取(と)り替(か)えます。


 そんな様子(ようす)を見(み)ながら、ライトは今日(きょう)もしっかり頭(あたま)を抱(かか)えていました。


「ショースケ君(くん)毎日(まいにち)こうだよね…ほら、ランドセル開(あ)いてるよ」


 ショースケに後(うし)ろを向(む)かせて、ライトはランドセルの留(と)め具(ぐ)をしっかり閉(し)めます。


「あ、ありがとうライトさん…ってうわぁ集合(しゅうごう)時間(じかん)ギリギリ! それじゃあみんな行(い)ってくるね!」


「はい、いってらっしゃい」


 見送(みおく)る三(さん)人(にん)にショースケは手(て)を振(ふ)って、バタバタと家(いえ)を飛(と)び出(だ)していきました。




 …が、すぐにもう一度(いちど)扉(とびら)が開(あ)いてショースケが顔(かお)を出(だ)します。


「今日(きょう)体操(たいそう)服(ふく)いるんだった‼」


「ええ⁉ あーもう取(と)ってきてあげるから! どこ置(お)いてるの、部屋(へや)⁉」


 ライトは忙(せわ)しなくドタドタと階段(かいだん)を一気(いっき)に駆(か)け上(あ)がって行(い)きました。

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