表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/34

特別短編3 ヒカルとエイギスの出会い

****



 ここは宇宙(うちゅう)警察(けいさつ)本部(ほんぶ)(なか)のとある一室(いっしつ)


 うにょうにょとした(かたち)()(しろ)椅子(いす)に、ヒカルは極度(きょくど)緊張(きんちょう)でチクチクと(いた)むお(なか)をさすりながら(すわ)っていました。


 というのも、今日(きょう)はヒカルのコンビになる予定(よてい)ET(いーてぃー)(はじ)めて(かお)()わせる()です。


 本来(ほんらい)コンビは(おな)種族(しゅぞく)地球(ちきゅう)(じん)であれば地球(ちきゅう)(じん)()むことがほとんどで(べつ)種族(しゅぞく)()むのは非常(ひじょう)(めずら)しいことです。


 ヒカルもそうしたかったのは山々(やまやま)だったのですが……ヒカルが宇宙警察(うちゅうけいさつ)試験(しけん)合格(ごうかく)したとき(おな)じく試験(しけん)合格(ごうかく)した地球人(ちきゅうじん)四人(よにん)おり、その四人(よにん)がそれぞれコンビを()んだためヒカルは相手(あいて)が見つからず、今日(きょう)までの(すう)月間(げつかん)コンビがいない状態(じょうたい)仕事(しごと)をしていたのでした。


 そんなヒカルと是非(ぜひ)コンビを()みたいというET(いーてぃー)があらわれたのです。


 どうやらそのET(いーてぃー)はこんな(めずら)しい時期(じき)特例(とくれい)宇宙(うちゅう)警察(けいさつ)になったらしく、しかも(おな)種族(しゅぞく)宇宙(うちゅう)警察(けいさつ)一人(ひとり)もいないらしいのです。


 (むかし)アニメで()たビルより(おお)きい怪獣(かいじゅう)のようなET(いーてぃー)()たらどうしようかとヒカルが(からだ)をガタガタ(ふる)わせていると、部屋(へや)(とびら)がコンコンとノックされて仕事(しごと)仲間(なかま)である宇宙(うちゅう)警察(けいさつ)本部(ほんぶ)職員(しょくいん)(はい)ってきました。


「お()たせヒカル、それじゃあ()こうか」


 職員(しょくいん)一緒(いっしょ)部屋(へや)()て、()(しろ)(なが)廊下(ろうか)(ある)きながらヒカルはどんよりと(うつむ)いていました。


 職員(しょくいん)はそんなヒカルの様子(ようす)()にかけることもなくご機嫌(きげん)(はな)(はじ)めます。


「いやーよかったよかった! あの()試験(しけん)結果(けっか)優秀(ゆうしゅう)でさ。きっと立派(りっぱ)宇宙(うちゅう)警察(けいさつ)になるからコンビが()めるなんてすっごくラッキーだよ、ヒカル!」


「そ、そうなんだ……でもそんなすごい(ひと)がなんで(おれ)とコンビを……?」


 宇宙(うちゅう)警察(けいさつ)試験(しけん)結果(けっか)だって(した)から(かぞ)えた(ほう)がよっぽど(はや)かったのですから、お世辞(せじ)にもヒカルは優秀(ゆうしゅう)とは()えません。


「それはね、その()()(みみ)(うで)(あし)……っぽいものがあったから! まだ地球(ちきゅう)生物(せいぶつ)(ちか)いねってことになって。ほら、コンビを()むなら生物(せいぶつ)(てき)()ていた(ほう)がやりやすいでしょ?」


 ()(みみ)(うで)(あし)だけで本当(ほんとう)(ちか)いのだろうかとヒカルは不安(ふあん)ですが、(いま)案内(あんない)してくれているET(いーてぃー)職員(しょくいん)にはどれもありませんので、そう(かんが)えるとまだ(ちか)いのかなという()もしてきます。


 職員(しょくいん)はこれまた()(しろ)(とびら)(まえ)でピタリと()まりました。


「ここだよ。じゃあボクは仕事(しごと)(もど)るから!」


「え、一緒(いっしょ)にいてくれないの⁉」


 ヒカルはわかりやすくソワソワし(はじ)めます。


「コンビになるんだから二人(ふたり)(はな)した(ほう)がいいだろ。じゃあ頑張(がんば)れよー」


 職員(しょくいん)はふよふよと()んでどこかへ()ってしまいました。


 それから数分(すうふん)(かん)


 ヒカルは()ったり(すわ)ったり、(あたま)(かか)えたりうずくまったりしながらどうしようかと(とびら)(まえ)でずっと(なや)んでおりました。


 いえ、どうするも(なに)もノックするしかないことはわかっているのですが、その勇気(ゆうき)がヒカルにはありません。


 すると、部屋(へや)(なか)からコツコツと金属(きんぞく)()たるような足音(あしおと)(ちか)づいてきました。


貴方(あなた)がヒカル?」


 ドア()しに()こえたその(こえ)は、まるで(すず)がシャランと()ったように()んでいます。


「は、はい……そうです……」


 ヒカルはあんまり綺麗(きれい)なその(こえ)に、さっきまでの()()したかった気持(きも)ちも(わす)れてとっさに返事(へんじ)をしてしまいました。


 (とびら)(ひら)きます。



「はじめまして、ワタシはエイギス。()えて(うれ)しいわヒカル」


「よかった、なかなか(とびら)()けてくれないから……てっきりワタシに()いたくないのかと(おも)っちゃった」


「ヒカル……ヒカル?」


 ヒカルは(とびら)(ひら)いたときのまま、廊下(ろうか)(かた)まって(うご)きません。


「……やっぱり(ちが)種族(しゅぞく)だから、(いや)……?」


 (なが)いまつ()()らして()きそうな(かお)をするエイギスに、ヒカルはハッと()()いたように(くち)(ひら)きました。


「い、いやいやいや!」


(いや)……?」


「いやそうじゃなくて! その……ごめん、あんまり綺麗(きれい)だから(おどろ)いちゃって……」


 (かお)()()にしてへにょりと(わら)うヒカルを()ると、エイギスは(なが)(みみ)(うれ)しそうにピコピコと(うご)かしてふわりと(わら)いました。


春子(はるこ)諄弌(じゅんいち)()ってた(とお)りだわ」


「え、(かあ)さんと(とう)さんのこと()ってるの?」


「ええ、とっても()くしてもらったの。ヒカルは()いてた(とお)りとっても(やさ)しくて……とっても綺麗(きれい)ね」


 内側(うちがわ)まで見通(みとお)すような()(とお)ったエイギスの(ひとみ)()()って、ヒカルは(おも)わず()()らしてしまいました。


「え、ええと……ありがとう……」


「ふふ、どういたしまして」


 そう()ってもう一度(いちど)エイギスは(わら)いました。


「ねえヒカル?」


 エイギスは金属(きんぞく)でできたような(なが)(あし)()()わせながら、(ほそ)(うで)(むね)(まえ)()みます。


「ワタシと……コンビになってくれる……?」


 どうやら緊張(きんちょう)しているのはヒカルだけではなかったようで、エイギスは不安(ふあん)そうに(くび)(かし)げました。


「も、もちろん! (おれ)でよければ!」


 まともにエイギスの(かお)()られないまま、ヒカルは廊下(ろうか)(ひび)くくらい(おお)きな(こえ)返事(へんじ)しました。


 なんだか(むね)がひどくドキドキして、(あたま)はなんだかポワポワして。


 (まった)く、どうにかしてしまったのでしょうか。



「ありがとう。貴方(あなた)のコンビになれてとっても(うれ)しいわ。これからよろしくね、ヒカル」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ