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オフィスのアイドル
フィクションだと思って読んでください。
書いていて、現実なのかまだ疑わしいです。
「皆、私のこと『可愛い』って言ってくれない……!」
職場のど真ん中でそんな衝撃の爆弾発言が投下された。
発言主は、定年間近という社歴の長さを武器に、我が物顔でオフィスを闊歩するベテラン社員である。
(いや、六十手前の熟女に向かって誰がそんなセリフ言えるか……!)
心の中で盛大にツッコミを入れながら、私は秒速で目を泳がせた。
彼女の辞書に「客観視」という文字は存在しない。本気で自分がオフィスのアイドル枠だと信じ込んでいるらしく、時折この「『可愛い』って言ってくれない」と嘆き(?)の無差別テロを仕掛けて回るのだった。
(孫まで生まれててよく言うなあ……)
若い社員に写真を見せびらかせて自慢していたのは、つい先日のことだ。
「私はスタイリッシュなの!!」
「私のような華やかな女性は、こんな田舎で燻ってるより、東京で華やかに暮らすほうが似合ってるの!!」
「このの仕事、新入社員には大変だから手伝ってあげてるの。私は優しいから!!」
今日も、自称アイドルは自分がいかに素晴らしく素敵な存在なのかを、アピールする。




