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御鏡市立第二高等学校と、この学校の学力が地元地区において中の上を維持しているのは制服であるチェック柄のブレザーを着ることが他校より地元の女子生徒達には特に人気で、それが比較的真面目な生徒を集める理由となっている。
北条愛理も言うなればそういった学生の一人だと言えた。中学校に居た頃はこの学校に進学したいという明確な目標があったため、自分で語るのも何ではあるがなかなか青春しているな、とそう思った。
いざ憧れの高校に入ってみるや中学生の頃の学力は学年でも結構良い線を行っていたのに今はまあまあといった様子で何をするのにも何故だか自分は中途半端なように感じてならなかった。
ただ少なくとも、というよりかはこれを努力と呼ぶのかは解らないが、平均点に掛かる学力と最近の流行りを抑えておくことで周りの子といつでも同じように振る舞えるようには常に心掛けている。
それは表向きには周りに合わせて笑っているふりをしたのだとしても、その胸の内では酷く退屈を感じるものであった。
三栄のアルバイトを北条が知ったのは、友人伝に先輩達の卒業に肖り、女子高生バイトの代替わりに参加した事だった。金銭的な面が豊かになれば学生生活も少しは楽しくなるはずだと、それがアルバイトを始めようと北条が思った一番のきっかけであった。
それからほんの少し、新しい出会いなんかも期待をしていたが。
周りと同じように立ち回っていたとしてもその一方で、北条の中には別の感情が湧きあがってくることがある。自分の恋人は学校という生活空間の中からは絶対に選びたくはない、と思うことは正にその現れの一つだった。
それは何か特別な、いや特別というよりは結局のところ人間一人一人が持ち合わせている生活空間なんてものは、社会という枠から見たら学校や仕事、そしてもう一つといえば家庭ぐらいなものだろう。
それらを何とか変えてみせたいと、特別とはそんなことなんだと北条には思える。
北条が三栄でアルバイトを始めた頃、上谷は三ヶ月程先輩であった。初対面の印象と今の印象とは殆ど大差ない。そつが無く几帳面で、だが表情はいつも明るいとは到底言い難しい顔をしていて、そしてどこか周りに対していつも他人行儀であった。
御鏡大学で理学部数学科を専攻し将来は会計士になれたら良いなと、そう言っていた。北条には上谷から物凄くリアリストな印象を受けたのと同時に、彼には何か特別な、それは北条自身が抱いている特別というものの概念と憧れに一致している。
──何故だろう?
しかしそれは一見すると、上谷の持つ堅実的な性格からはよほど遠いものの様に思われる。初対面の頃、北条は上谷に対して恋愛感情と言うよりは好奇心の様なものが強く働いていた。
もしかしたらそれは今もそうなのかもしれないが。
そして結局のところ、北条には上谷という一人の人間に関して、ディスカウントショップ三栄のアルバイトという側面しか知り得ないのである。
それはある意味本当で、
それはある意味作られた物語。




