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『辺境領主の経済無双 ~増税と緊縮で滅びゆく国を、現代知識と積極財政で救う方法~』  作者: 盆ちゃん


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第19話:破綻した同盟の清算と、碧き海の再生

第19話:破綻した同盟の清算と、碧き海の再生

アーメリア軍が屈辱のうちに武装解除し、リュウキアの空から不快な飛竜の咆哮が消えてから数週間。

州都の総督府には、かつての「支配者」たちの傲慢な面影は微塵もなかった。

「……こ、これはあまりにも法外だ! 賠償金の総額が、我が国の年間予算の数パーセントに及ぶなど、国際法上認められるはずがない!」

応接室に響いたのは、アーメリア本国から派遣された全権交渉官の悲鳴に似た抗議だった。

対するヴィクトルは、冷徹な手つきでモノクルの位置を直し、机の上に分厚い請求書を突きつけた。

「国際法、ですか。治外法権を盾に我が国民の生命と財産を蹂躙し続けてきた貴国が、今更その口で法を語るとは滑稽ですね」

ヴィクトルが提示した「慰謝料および損害賠償請求書」の項目は、極めて詳細かつ容赦のないものだった。

数十年間にわたる騒音被害の補償、米兵による犯罪被害への慰謝料、そして何より、埋め立てによって破壊されたサンゴ礁の環境復元費用。

「特にこの『ヘノーコ湾原状回復費用』。貴国が強行した無謀な建設工事によって、あの海域の供給能力は著しく毀損された。軟弱地盤への対策費を含め、すべて貴国の負担で元通りにしていただく。支払いが滞るようであれば、現在捕虜としているマクラーレン将軍以下、全兵士の身柄返還は無期限に延期。さらに、貴国が我が国内に保有するすべての資産を『領地債』の担保として差し押さえます」

「くっ……! 貴様、本気か……!」

「私は常に本気ですよ。経済とは信用と責任だ。責任を取れない国に、我が国の領土を踏む資格はない」

ヴィクトルの徹底した「経済的鉄槌」を前に、交渉官は震える手で受領印を押すしかなかった。かつての「思いやり予算」という名の献金は終わり、今や立場は完全に逆転したのだ。

 * * *

一方、話題の『ヘノーコ湾』の視察に訪れていたアレンは、埋め立てが止まった広大な海を見渡していた。

横には、ようやく表情に明るさが戻ったカイエン総督が立っている。

「アレン殿。この放置された土砂の山と、中途半端な護岸……どう活用すべきでしょうか。正直、元に戻すだけでも膨大な時間がかかります」

「あぁ、ヴィクトルとも話したんだがな。あいつ、面白いこと言ってたぜ」

アレンは『現代科学』の専門書をパラパラと指で弾いた。

「あの軟弱地盤を逆手に取るのさ。無理に巨大な基地を建てるから沈むんだ。あそこには、ヴォルフスブルクで作った『海洋温度差発電』のプラントと、深層水を利用した『大規模養殖場』を作る。地盤が柔らかいなら、海面に浮かべる『メガフロート(巨大浮体構造物)』の港にすりゃいい。サンゴの再生と、新エネルギーの生産……ここをリュウキアの新しい経済の心臓にするんだよ」

「……新基地ではなく、未来への投資、ですか」

「あぁ。あんな殺し合いの道具を置くより、金を生む宝の海にした方が、領民も納得するだろ?」

アレンの言葉に、カイエンは深く頷いた。王都が捨て続けていた税金は、今度こそ「領民を豊かにするための投資」へと切り替えられたのだ。

 * * *

リュウキアの再生は、ヘノーコ湾だけに留まらなかった。

州内に点在していた他のアーメリア軍基地も次々と縮小・返還され、その広大な跡地利用の目玉として、ヴィクトルは『リュウキア中央医療センター』の設立を宣言した。

「軍事拠点から、生命の拠点へ。皮肉なものですね」

完成間近の巨大な病院を見上げながら、ヴィクトルは隣に立つアレンに語りかけた。

その病院には、アレンが召喚した『現代医学』の知識が惜しみなく投入されている。

「あぁ。アーメリア兵が夜な夜な酒を飲んで暴れてた場所が、今じゃ最新の魔導CTや無影灯を備えた救急病院だ。治外法権で裁けなかった暴力の跡地で、誰もが平等に治療を受けられるようになる。最高のざまぁだろ?」

「ええ。これこそが真の『防衛』ですよ。他国の暴力に依存するのではなく、自国民が健康で、安心して働ける環境を整えること。それこそが、国家の『供給能力』を最大化する唯一の道なのですから」

病院の窓からは、基地の金網が取り払われた広大な緑地で、子供たちが元気に駆け回る姿が見えた。

かつて飛竜の轟音に震えていた島は、今や建設の槌音と人々の希望に満ちた活気に包まれている。

王都のオズワルド丞相からも、国防派閥の完全な解体と、リュウキアを『自由貿易・医療特区』として承認する親書が届いた。

「思いやり予算」という名の搾取を断ち切り、自らの足で立ち上がった南の島。

「さあ、清算は終わった。次は、この豊かになったリュウキアを起点に、さらに世界の市場を揺さぶりに行こうか。アレン」

「おう、どこまでも付き合ってやるよ。天才サマ」

エメラルドグリーンの海に夕陽が沈み、新時代の光が水平線を黄金色に染め上げていた。

辺境領主とガラクタ召喚士の「経済無双」は、一つの大きな不条理を粉砕し、次なる地平へと向かって加速していく。

いかがだったでしょうか?今回はある国の基地問題を風刺して見ました。実際には軍事行動はできないでしょうけど、それ以外は何かできそうですよね( ゜Д゜)ナニカ?ではでは、題材見つけるまでアディオス!!( -`ω-)bwww

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