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第七章 家族旅行 後編

「起きろ、テネレッツァ。朝じゃぞ。」

母上が優しく起こしてくれる。出しておいてくれた旅装に着替え、持ってきてくれた朝ご飯を食べる。

「さあ、今日はアラクト領に行くぞ。」

ご飯を食べて少しゆっくりした後、馬車に乗り込んで出発する。ちなみにここまで絡んでくる者はおろか話しかけてくる者はひとりも居なかった。

アラクト領までの道のりは比較的平和だった。途中で魔物が出てきたりしたが、ベロニカ様が

「じゃまだー。燃えろー!。」

と言いながら魔法をぶっ放していたので魔物よりも怖いと思った。

(この人に喧嘩売ったらどうなるんだろう。)

馬車の中でゆったりしていると

「着きましたよ~。」

馬車の御者をしていたエリカが気の抜けた声で言う。

「お待ちしておりました。クロノア様。」

町に着くと、アリューシア公爵令嬢が出迎えてくれた。

「わざわざ来てくれんでもよかったのに。場所は知っておるから自分で行けるぞ。」

クロノアがそういうがアリューシアは首を横に振る

「そんなことできません!女王陛下を出迎えもせず屋敷で待っているなど不敬に当たります。」

アリューシアはそういうがクロノアは気にしていないようだった。

「まあ、とりあえず屋敷に行こうか。積もる話もあるしの。」

「確かに、面白い話もありますからね。」

エリカはそう言いながら、クロノアを見る。

「おい。なんの話じゃ。」

「え?そりゃあもう昨日のね?」

エリカ様とクロノア様が喧嘩をしていると

「あ、あれ?あなたはあの時、ヴィゴーレ様と一緒にいた、、、、」

アリューシアがテネレッツァに気が付いた。

びくっ、と肩が震える。

「ヴィゴーレ様のことは、とても残念でした。しかしなぜここにいるのですか?」

私は答えることが出来なかった。つくづく思う、この呪いを何とかしたいと。

それに気づいたサーニャ様が代わりに話し始めた。

「詳しい話は、屋敷に着いてからにしましょう、さあ行きましょう。」

取り敢えずみんなで屋敷に行くことにした。

屋敷につくと、応接室に案内された。

「さて、何から話をしようかのう。」

クロノアがアリューシアに問いかける。

「では、テネレッツァのことを教えてください。」

そう言われたクロノアは話を始めた。

テネレッツァ・ローズ・テンペンシア。

実の親はヴェリミーアという人らしいが、親は大事な用があると言ってヴィゴーレにテネレッツァを預け、旅に出た。その後、例の事件があり、テネレッツァはバダゴーラの呪いによって声が出なくなり、ヴィゴーレがバダゴーラによって殺されてしまったので我々が引き取り王族の子として育てている。

「ちなみに、我々、四神とクロノア様は家族のようなもので妹的存在がいなかったので、テネレッツァが来てからはもうみんなこの子に夢中ですよ。」

しかし当の本人はというと、エルバフィーアを召喚して可愛がっていた。アリューシアがみんなに可愛がられているテネレッツァを見て言う。

「ふふっ。皆さん本当に夢中なんですね。」

「あ、そうじゃ、エリカ達よ。テネレッツァを連れて街を見てこい。ほしいものがあったら買ってきても構わん。昼飯もちょうどいいから食べてこい。妾はアリューシアと話すことがある。あとこやつの父親にもな。」

クロノアがそう言うとエリカ達は了承して、テネレッツァを連れて街へ繰り出していった。

二人しか居なくなった部屋でクロノアはさっきとは違う真剣な表情をして言う。

「では、少し真面目な話をしようか。」


「さあ、どこから回る?」

ベロニカ様がそう聞いてくるけど私はこの街を知らないのでみんなに任せることにした。

【何かアクセサリーを売っているお店はありませんか?】

そう聞くと

「あ、ならいい店がるわよ。先にそこにいきましょうか。」

みんなで行くと、そこは少し高級そうな、けれども品性のあるいい店だった。

中に入ってみると落ちついた雰囲気できれいだった。エリカ様達の品性がうかがえる。

「あ、いらっしゃいませ。お久しぶりですね。

ルニア様。」

どうやらここの主人とルニア様はお知り合いらしい。

「今日はほかの子たちも連れてきているのよ。」

「おっとこれは失礼しました。わたしは、このジェンマの主人をしております。ダイアと申します。以後、お見知りおきを。」

貴族相手でも物怖じしないその態度に

(こういう貴族の人たちがよく来るのかな?)

と思っていた。

「今日は何か欲しいものがおありで?」

「あ、そうそう。この子が欲しいものがあるらしいのよ。」

そう言って私を前に押し出してきた。

「ふむふむ、どういったものが欲しいのでしょうか。」

【親子お揃いでつけれるようなブレスレットとネックレスが欲しいです。】

これを見たダイアはなるほど~と言いながら二つ持ってきた。

「それでしたら、こちらはいかがでしょう。」

持ってきたのは、少し装飾の濃いブレスレットと派手なネックレスだった。

私は首を横に振り

【もっとシンプルなのがいいです。】

ダイアは少し悩んでいるようだった。

「ではこれがよいかと。」

シンプルな形の可愛いブレスレットと先に宝石が付いたペンダントを持ってきた。

「ブレスレットはこちらでよいかと。こちらのペンダントの先についているウルフェナイトと言う石にはある言葉が込められています。

  それは「永遠の愛」らしい。

これがいいと思ったが値段を見ると結構高かった。到底私が出せる額ではなかったけど、横からエリカ様が自分の袋をだして

「これがいいんでしょ、テネレッツァ。欲しいならそうといいなさい。この旅行はテネレッツァのためなのだから。多少のわがままぐらい聞いてあげるわよ。」

「では、合計で白金貨1枚と金貨2枚になります。」

流石に全部出してもらうのは申し訳ないと思い

【ブレスレットは私が出します!】

「無理しなくてもいいのよ。」

けど私は引かなかった。

「では、お買い上げ有難うございます。またごひいきに」

私は渡された袋を持って店を出た。時間はもうすっかり昼である。

不意に、ぐう~~とお腹がなった。

「ふふっ。もうお昼だものね、どこか食べに行きましょうか。」

ベロニカが一つの店を指さして

「あそこのお店はおいしいらしいよ。山菜とかお肉類も豊富だし」

と言いながら行く気満々である

「あなたが一番食い意地張ってるわね。」

サーニャが返すとみんなで大笑いしたのだった。


「それで話と言うのは?」

アリューシアがクロノアにそう尋ねる。

「お主とあの子は同じクラスになれるか分からん。それにあの子は声も出ないのじゃ。たちの悪い貴族の子息にいじめられるのは明々白々。だからな。」

そこまで言うとアリューシアも言いたいことを察したのか

「あの子を守ってほしい、と?」

「そういうことじゃ。表向きはあの子はまだ平民なのじゃ。昨日の事件で少し王族の子であると噂されておるが、あっちまで届くことはないじゃろう。だから、お主が公爵令嬢という立場から守ってほしいのじゃ。」

アリューシアは驚いた。あの女王陛下が私の公爵令嬢という立場を使ってまであの子を身分の関係ない学園で守ってほしいと言っているのだから。

アリューシアは、少しの間考え、そして笑顔で答えた。

「わかりました。私が守って見せましょう。」

「では、頼んだぞ。」


「たっだいまー。」

ベロニカが大きな声で言いながら入っていく。

夕方なった頃に帰って何かいい匂いが漂ってきた。

何事かなと思ってみんなで厨房に行ってみるとなんとクロノア様がエプロンを身に包んで料理をしていた。

「な、なにをしてるんですか?」

アクアが素で質問した。本来なら失礼極まりないが、クロノアは笑顔で答えた。

「王城では、危ないからとか言って料理させてくれんからな。こういう時にテネレッツァに妾の料理を振る舞ってやろかと思っての。」

アクアがそう聞くとクロノアは料理をしながら質問を返している。 

「女王陛下自ら、お料理をされるのですか?」

アクアが困惑していると

「うちの国王はそんなもんだから、気にしなくていいわよ。うちの女王は変わってるから。」

「おい、変とはなんだ。変とは。」

クロノアとエリカが言い合っていると、

「なんだか私の母上と似ていますね。」

クロノアとエリカが言い合っていると、なんだか懐かしげにアクアがそう言った。

どこか寂しそうに見えた。

「さあ、部屋で待っておれ。出来たらアリューシアに呼びに行かせる。」

と言われたのでみんなで待つことにした。

(これ、いつ渡そう。)

母上に買ったプレゼントをいつ渡そうかと考えていると

「夕食の後にしたら?」

買ったプレゼントを眺めているとベロニカが後ろから言ってきた。

「なんでわかったの?って顔してるね。そりゃあプレゼントを見ながら考え込んでるんだから誰でも想像つくでしょ。」

いまさらながら、四神様ってみんな心の中でも読めるのか、と思ってしまう。

「タイミングはうちらが作ってあげるから安心しな。 と言うことで。」

ルニアが、何か企んでいるような怖い笑顔でアクアを見つめた。

「手伝ってくれるよね?」

「へ?何をですか?」

アクアは何を手伝ってほしいのか全く分からなかった。

「もちろん、テネレッツァの着付けよ。さっき出かけた時に洋服屋にも寄ったでしょ。あそこで買った服を着せるのよ。」

「食事の時に汚れたらどうするんですか。」

そう言うアクアにルニアはどや顔で答えた。

「そこは、サーニャ様の清潔魔法があるので大丈夫!」

と言うことでなぜか私の、四神様とアクア様による着付けという名の着せ替え人形タイムが始まった。

「こっちの方が似合うのでは?」

「いやいや、こっちの青をメインとしたドレスの方が似合うでしょうが。」

5人が私を囲んでわいわいしている。すると不意に扉がノックされた、がみんな気づいていない。

「皆様、お食事の用意ができたとのことですが。」

呼んでみるが、返事がないので開けてみると

そこには見違えた格好をしているテネレッツァといろいろな服を持っている四神たちがいた。

「いったい、何をしているのでしょうか。」

「何って、クロノア様を驚かせるためのテネレッツァの着付けよ。」

言っている意味は理解できるが、意図が全く理解できないのでそのままスルーすることにした。

「さあ、テネレッツァの変身も完了したし、食堂に向かいましょうか。」

初めて着る衣装にものすごい違和感と歩きにくさもかんじながらも、食堂に向かうとそこには色とりどりの料理が並べられていた。

「お、やっと来たか。どうじゃ妾の料理は。」

と自慢げに言う

「この国の料理ってけっこう変わってるんですね。」

アクアが料理を見ながら覗き込むように言う。

「あれ?テネレッツァはどこにいった?」

クロノアはテネレッツァがいないことに気が付いた。それもそのはずである。みんながテネレッツァを隠すようにして来ているのだから。

「テネレッツァならここにいるよ。」

エリカがそう言って自分の後ろにいたテネレッツァを前に出した。

「テ、テネレッツァなのか?」

クロノアは見違えた姿に絶句している。

その姿を見てルニアが、してやったり、といった顔をしている。

「どうだい、クロノア様。私、結構頑張ったんだから」

テネレッツァは、水色と青色をメインとしたドレスを着ている。少し派手ではあるが可愛いデザインになっていた。

「さあ、テネレッツァのお召替えも済んだしご飯を食べましょう。」

順番に席に座って行きクロノア様が席に座ると、

「では、アラクト領とテンペンシア連邦国の繁栄を願って。乾杯!」

「「「「「「「「「乾杯」」」」」」」」」

クロノア様の合図で乾杯しご飯を食べ始めた。

「ん。この料理おいしいですね。」

アクアが食べながら言う

「あ、そういえば自己紹介がまだでしたね。私はアリューシアの母親、メイラです。こっちは夫のジェイドです。」

言葉は話せないので頷くだけしておいた。すると

「クロノア様、あなたが連れてきた子は無口なのかそれとも人見知りなのかね?」

テネレッツァの肩が、びくっと震えた。

「それには、いろいろと事情があるのじゃ。

後、今から言うことは秘密じゃ。わかったな。他にもらしたら死刑だと思って構わん。」

ジェイドとメイラはいきなりの発言にびっくりしながらもうなずいた。

「この子は、妾の子じゃ。妾がヴィゴーレの後を継いで母となった。」

この発言にジェイドたちは絶句したのだった。

なんやかんやで食事は和やかに進み食後の雑談に差し掛かった頃。

「そういえばクロノア様。テネレッツァがあなたに渡したいものがあるそうよ。」

「お、なんかくれるのか?」

クロノアは、興味津々でこちらを見ている。

そして私は、一つの小袋を手渡した。中にはテネレッツァと同じシンプルな形の可愛いブレスレットと先にウルフェナイトが付いたペンダントが入っている。

「これは、、、、 テネレッツァが選んでくれたのか?」

クロノアの問いに

「そうよ。あなたのために一生懸命選んだんだから。」

エリカ答えた。

「ありがとう。テネレッツァ。」

そう言うクロノアの顔からは一筋の涙が流れている。

そしてそのまま思いっきりテネレッツァを抱きしめた。

「お前が妾のためにここまでしてくれるとは。」

それがクロノアがテネレッツァに見せた初めての涙だった。

その日の夜、湯浴みを終えた後。部屋でクロノアが一人でテネレッツァから貰ったブレスレットとペンダントを眺めていた。

「ええのう。」

不意にドアがノックされた。

「入ってよいぞ。」

許可をだすと入ってきたのは、テネレッツァだった。枕を両手で抱えて持っている。

「どうした。もしかして一緒に寝たいのか?」

そう聞くとテネレッツァは恥ずかしそうにうなずいた。

「なら良い。ちょうど妾も寝ようと思ったからのう。」

そう言ってベッドに行き手招きをする。

「ほれはようこんか。一緒に寝るんじゃろ?」

言われるがままにベッドに入る。するとクロノア様が布団をかけてくれるので

「おわ、何をしておる。」

私もかけてあげることにした。

「すぅー。すぅー。」

そして私はそのまま寝てしまった。

「全くかわいい子じゃのう。妾もこのまま寝るとしようか。」

 しばらくして、誰かが部屋をノックした。

「クロノア様、おられますか?」

エリカはクロノア様が返事をしないのを不思議に思いそのまま入ることにした。

「クロノア様、テネレッツァ様がどこに行ったか知りませんか? あっ。」

そう言いながら入るとそこには、ベッドで二人一緒に寝ている姿があった。

「エリカ、テネレッツァいた?」

ベロニカがひょっこり覗いたが、エリカが人差し指を口に当て、しー、とやっていた。

「静かにしなさい。」

どうしたのか、と思って見てみると

「あーあ、そう言うことね。じゃあ早く出ましょ。起こしたら悪いわ。」

二人でこっそり扉を閉めて戻っていった。

「お、戻られましたか。テネレッツァ様はおられましたか?」

部屋に戻るとジェイドがエリカに聞いてきた。

「いたよ。ただ二人で仲良く寝てたから、何も言わずに戻ってきた。」

「おお、そうでしたか。明日戻られるなら朝食はいかがいたしましょう。」

「頼むわ。アクアの分も。」

一通り明日の予定を決めたところでみんな床につくことにした。

次の日、

「そろそろ起きんか。」

クロノアの声でテネレッツァは起こされた。

(まだ少しねむいなあ)

そう思いながらも朝の身支度をする。

朝食を食べた後、王都に戻ることになった。

「では、達者での。この地を頼んだぞ。」

「お任せあれ!この命に代えてもこのアラクト領を守って見せますよ。」

アクアはテネレッツァとクロノアと一緒に馬車の中に乗り、エリカは御者をベロニカ達はもう一台の馬車に乗ることになった。

「帰りは早くいくよ!」

そう言うとエリカは馬になにか魔法をかけた。

すると、馬が爆速で走り始めた。

「うっひゃー。やっぱり速いねぇ。」

相変わらずの凄さに引きながらも馬車は進んでいった。そのおかげで片道一日半かかるところが4時間ぐらいで帰ってくることが出来た。


「おかえりなさいませ。女王陛下。」

城に戻ると、出迎えてくれたのは、王国直属近衛騎士団長であるリュダだった。

「わざわざ出迎えにこんでも良かったのに」

「いや、これも騎士団の務めですので。」

私たちは自分たちの部屋へと戻り、昼食をとることにした。

「2日後は、入園式じゃのう。テネレッツァしっかり準備しておけよ。」

 クロノア様に準備をしておけと言われたが

なにを準備すればいいのかわからないので聞くことにした。

【入園式の準備って何をすればいいですか?】

「ほとんど準備することはないわよ。制服と鞄、初日はそんなものよ」

準備を終えてそして2日後、入園式の日となった。

私は思った。この学園生活でどんなことが起きるだろう、どんな人と出会うことが出来るだろう、と


今回の章はいかがでしたか?

面白かったり改善点等があればぜひ感想欄で教えてください。

今後ともよろしくお願いします。

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