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第二十一章 テネレッツァと呼ばれた少女

「いま、なんと?」


「ですから、真実の秘宝を私にください」


ティグニスはテネレッツァのいきなりの一言に驚いている。


「では、一つだけ、質問してもよろしいでしょうか」


「なんでしょう」


「なんのために、あれを使うのですか?」


ティグニスははっきりと、テネレッツァに言ってきた。


その一言を言われたテネレッツァは少し戸惑っている。


そして、


「私は、私が何なのか。誰の子なのか。それが知りたいだけです」


その真剣な眼差しを見た、ティグニスはついに折れた。


「分かりました。では、案内いたしましょう」




王城の地下。王族でも王しか入ることを許されない場所にテネレッツァは今、踏み入っている。


「これが、その「真実の秘宝」です」


見せられたのは、手のひらサイズの小さな宝玉だった。


テネレッツァが、触れようとした瞬間眩い光が放たれ、テネレッツァは吹き飛ばされた。


光が収まったと思ったら、宝玉から一匹の獣が出てきていた。


「我は、神獣 麒麟。汝は何がために我の力を欲する」


「私は、私について知りたい」


「そのために、我の力を欲するというのか」


麒麟は、やや呆れているようである。


「麒麟様、私からもお願いでございます。どうか、この者の願いを聞き入れてくれないでしょうか」


「王の頼みならば、仕方があるまい。だが!この場に残っていいのはテネレッツァ、そなたのみだ。他の

者は外で待たれよ」


麒麟の命に従い、他の者は出ていき、この場には麒麟と、テネレッツァだけが残っていた。


「では、話をしようかの。テネレッツァいやアイリアよ」






「一人で大丈夫でしょうか」


「麒麟様だから、変なことはしないでしょうが」


「やっぱり不安ですね」


「二人とも、そんなに心配しなくてもいいでしょう?」


二人が振り向くと、そこにはオーロラが立っていた。


「いつから、そこに?」


「あなた達の後をこっそり、ね」


微笑を浮かべながら、ティグニスたちのところまで歩いてきた。


「まったく。勝手に立ち入らないでくれよ」


「もう!いいじゃない別に」


エルは二人のそのやり取りを見て、


「羨ましいです」


「そうかい?あなたにもいつかこんな風に笑いあえる思い人が現れるよ」


「そうだといいですね」


エルは、閉まっている扉の方へ向き直り、


「信じて待ちましょう」






「どういうことですか?なぜ、私がアイリアということになるのですか?」


テネレッツァは不思議でならなかった。


いきなり麒麟が私のことを、鬼竜国エクセドラの王子の名前、アイリアで呼ぶのだから。

「話せば長くなる。そして、お前の心をひどく傷つけてしまうかもしれない。それでもよいか?」


「覚悟は、できています」


「では、話すとしよう」


そういうと麒麟は椅子を出して、私に座るように促した。


「座って、気楽に聞くといい。まあ気楽に聞けるかどうかは分からんがな」


麒麟は、神妙な顔つきで、話を始めた。




「お前の本名は、アイリア・サーナ・エクセドラ。鬼竜国エクセドラの第二王子にして、朱夏達が長年探し続けていた子供本人である」


「え……」


テネレッツァは唖然としている。


想像を超える事実に、言葉が出なかった。


「で、でも、アイリア様は男ですよね?私、女の子ですよ?」


「それは、見た方が早いかもしれん」


麒麟は、大きな鏡を出しテネレッツァに見せてきた。


そこに映るのは、テネレッツァとは違う男の子の顔だった。


少しテネレッツァに似ているが、一つだけ決定的に違う点がある


それは


「二本の小さいツノ。そして、竜の尻尾?」


「これが、本来のお前の姿なのだ」


テネレッツァは理解が追いつかない。


いきなり、本当の母は朱夏と言われ、自分の性別が男であると言われたら、誰でも理解できないだろう。


「じゃあ、うちのお母さんは?」


「あの人は、ヴェリミーア。今から約15年前、あの時ガレリアを一撃で殺し、お主を助けたのだ」


だが、テネレッツァはまだ納得がいっていない。


肝心なことがまだ分からないからだ


「なぜ、私の性別が違うのですか?」


「それは、お主の母が魔法で性別を変えたからなのだ。我も自分で言っておいて信じられないからの」


もはや、驚きすぎて驚かなくなってきていた。


「元の姿には、戻れないのですか?」


「無理じゃの。精度が高すぎてどうにもならん。だが…」


「だが?」


「お主が本当の力、竜姫の力を解き放った時だけ、元の姿に戻ることが出来るだろう」


テネレッツァは本当のことを知れた嬉しさと言葉にできないもやもやを同時に抱えていた。


「それともう一つ、この世界に「深淵」が復活しようとしている。恐らくもう猶予はそんなにないだろ

う。このままでは、本大陸が、テンペンシア連邦国が危ないぞ」


「どうすれば?」


「深淵の復活を止めるのだ。それしか方法はない」



テネレッツァは少しの間考え、そして覚悟を決めた。


「分かりました。できる限りの事をします」


テネレッツァはもう頭が爆発しそうだった。


この短時間で情報量が多すぎる。


「うむ、頼んだぞ」


すると、閉ざされていた扉が大きな音を立てて開いた。


「あ、テネレッツァ様」


「おお、ご無事でしたか!」


「おい、ティグニスよ。我がそんな変なことをすると思うか?」


「いやー、ちょっと心配でしたので」


ティグニスがそう言うと、オーロラに後ろから頭を叩かれた。


とても、きれいな一撃である。


「神獣様に失礼なことを言うのではありません!」


「ふふっ」


そのやり取りを見ていたテネレッツァも思わず笑いだしてしまう。


「そういえば、テネレッツァよ。一つ儂からの土産じゃ。受け取るがよい」


麒麟は、何か魔法を唱え、テネレッツァを魔力で包んだ。


「テネレッツァ様⁉」


魔力が霧散し、視界がはっきりしてくると、


「え……」


「まあ、これは…」


エルとオーロラが珍しいものを見るような目で、テネレッツァを見つめる。


渡された鏡を見たテネレッツァは


「え?これが、今の私ですか?」


「そうだ、それが儂からの土産じゃ。いつかその姿で、本当の母親のところに行くがよかろう」


テネレッツァの今は、元の姿に、額に二本の小さなツノ、そして、お尻に尻尾がついていた。


しかも、尻尾は自分の意志で、仕舞えるらしい。


「あ、ありがとうございます!」


「なに、ヴェリミーアの魔法を少しいじくっただけじゃ」


何でもないようにいい、麒麟は戻る準備を始めた。


「では、さらばじゃ。また、会える日を楽しみにしておるぞ」


そのまま、宝玉の中に戻ってしまった。


「それで、テネレッツァ様、どうでしたか?」


「うん、やっと分かったよ。自分の母も、自分がすべきことも」


「それはよかったですね」


「ええ、本当に喜ばしいことで、す、ね!」


「痛っ。な、なにをする⁉」


「だれが、テネレッツァ様を話を差し置いて秘宝をいそいそと片付けているんですか!」


テネレッツァは、相変わらずこの二人は仲がいいなと思いながら、自分の変わった姿を眺めていた。


(尻尾がある。なんか不思議な気分)


王城に戻ると、すっかり日が高くなっていた。


「お昼はみなさんで食べましょう」


「うん!」


ベランダから活気ある街を眺めながら、お昼を食べていた時、不意に腕輪に反応があった。


「テネレッツァ!聞こえる?私よ、フラウムよ」


いつになく、焦っている様子のフラウムにテネレッツァは危機感を覚えた。

今回の章はいかがでしたか?

面白かったり改善点等があればぜひ感想欄で教えてください。

今後ともよろしくお願いします。

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