第十九章 親善試合 後編
今、私たちは競技場から少し離れた、精霊専用の店に来ている。
試合の時も、休憩の時も、支援魔法を使ってこのちっちゃい耳を強化して、母に関する情報が無いか探していた。
その時、少し気になることを聞いた
「明日が祈りの儀だよね?それが終わったら少し気になる場所があるから、そこに行きたい」
「それなら、明日の儀は完璧にして、王に無理を聞いてもらうしかないですね」
何を頼むつもりなのだろう、と思いながら、メイドさんに用意してもらったお昼を口に運ぶ。
どれも子供用に作ってあるのか、味も濃すぎず素材の味もしておいしかった。
「さてさて、午後の部はっと」
貰った紙を眺めようとした瞬間、競技場の方から爆発音が聞こえた。
遅れて、爆風がやってくる。
「な、なに?」
「何か、よからぬ者がやってきたようですね」
私の問に険しい顔でエルは答えた。
嫌な予感がしたので、急いで競技場へと向かう。
「テネレッツァ様、もし接敵してもそのローブと仮面は絶対に外さないでください」
走りながら、エルは私に強く念を押すように言ってきた。
「よくわからないけど、わかった」
「それ、ほんとにわかってます?」
闘技場に入ると、獣人族たちが何者かと戦っていた。
頭から角が生え、尖った耳をしている。
私はあんな種族見たことがなかった。
ツノの形も鬼竜国の人と違う、いったい何者なのだろうか
「お前たち、何者ですか?」
「これから死ぬ雑魚どもに名乗る必要が?」
「なら、私も名乗る必要はないですね」
「名乗るほどの知名度もないってか?笑わせてくれるぜ」
エルの返しの意味を全く理解していないようである。あほ、なのだろうか。
周りを見ると負傷している獣人族の兵士がたくさんいる。
「ラニーラ・サナーレ(範囲回復魔法)」
「なに⁉」
傷ついた兵士の体がみるみる癒えていく。
「これだけしておけば大丈夫ですよね?」
「よくできました。ほめてあげます」
エルが私の頭をフード越しになでてくれる
「ちっ、面倒なことをしてくれたな」
「まあいい。苦しむ時間が少し増えただ、け」
男の一人が話終わる前に、首と胴体が分かれた。
「な、ん、だ、と…」
「すいません、あまりにも腹が立ったので、つい」
つい、で敵の首を飛ばす人がいるか、と思いつつも敵の方に顔を向ける。
あと3人くらいだろうか、どれもさっき首を飛ばされた男とはまったく魔力量が違う。
「これは、本気で相手しないとまずいかもしれませんね」
エルが初めて、本気を出すと言ったことに私は驚いた。
そこまでしないと勝てない相手なのか
「そこの精霊の相手は任せました。私は「真実の秘宝」を探しに王城に行ってきます」
「ああ」
「まかせておけ」
3人の中では最も細身の男が魔法を唱え、目の前から姿を消した
「ディア、どっちがどっちの相手をする?」
「私がガキの相手をしましょう。精霊は任せましたよ、ボルス」
さあ、私はこのディアとかいう奴の相手をしなければいけないらしい。
正直言って、正体を隠しながら戦うのは難しいけど、頑張るしかない
「よーし、いっちょやりますか!」
私は、残花残霊槍を構え、戦闘態勢を取った。
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