第十九章 親善試合 前編
大精霊祭 二日目
今日は、各種族の代表が集まって親善試合を行う日。種族の代表なので、負けると一族に泥を塗ることになる。
なのでみんな必死に力の強い者を連れてくる。
朝、私とエルはご飯を王城で頂いた後、その親善試合を見るために、闘技場を訪れていた。
「この場所に来ると、部活対抗魔法武術祭を思い出すね」
「あれは、テネレッツァ様にとっては苦い思い出でしょう」
「ははっ、確かに」
雑談をしながら、待っていると、大きなドラが鳴らされた。
「今年も、この日がやってまいりました。種族代表の親善試合です!」
観客席から歓声が巻き起こる。
「さあ、早速始めましょう!最初は、犬族代表インペルト対猫族代表サイドです!」
左から、がっちりとした体つきの大男が入ってきた。手には刃が潰されている大剣を持っていた。
対する、猫族は犬族より一回り小さく、武器も鞭である。見た感じでは犬族が勝ちそうだけど、どうなるかは始まってみないと分からない。
そんなことを私は考えていたのだけど、エルはもうすでに試合に夢中であった。
(エルって意外とこういうの好きなのかな)
エルの顔を見ながら考えていると、試合開始のドラが鳴らされた。
「手加減しないよ!鞭妓 双爪!」
「なんの!大剣妓 全霊斬!」
二人の技ぶつかり合い衝撃波が発生する。
その後もお互いに技を繰り出し合い、中々見ごたえのある戦いとなっていく。
五分五分の戦いが続いていき、最後には体力の差か、インペルトが勝ち残った。
「勝者 インペルト!」
犬族から拍手喝采が巻き起こる。
インペルトは気恥ずかしそうにしながら、倒れたサイドを抱え、会場を後にした。
「さあ、どんどんいきます!親善試合、2試合目!猪族代表ランド対狼族代表ルプス!」
左から、2mはありそうな巨体が現れた。武器はなく肉弾戦をする気の様である。右から入ってきた狼族もおなじぐらいの大男である。
「面白い試合が見れそうですね。テネレッツァ様。」
「いやいや、今日の試合は全部面白いでしょう?」
「エルって意外と脳筋?」
「ふふ、どうでしょう」
エルはいたずらっ子みたいな笑みを浮かべ、そう言ってきた。
そして、ドラが鳴り響き2試合目が始まった。
「さあ、殴り合おうではないか!ルプスよ!」
「望むところだ!ランド!」
ランドは突進し距離を詰め、ルプスに一撃を入れようとする。しかし、ルプスもそれをわかっているようで、サッと脇に避けた。
ドンッ!
鈍い音と共にランドが壁にめり込む、しかし当の本人はピンピンしており、壁には大きなへこみが出来ている。
「うわあ、あんなの当たったら、死んじゃうよ。」
「テネレッツァ様はあの程度では死にませんし、私が死なせませんよ。」
「確かにね」
私達が呑気な会話をしている横で、ランドたちは熾烈な殴り合いを繰り広げていた。
「おらおらおら!」
「なんの!狼拳 飛脚千狼!」
ルプスの技がランドに直撃し、勝負はついたかとみなが思った。
「お?勝ったのかな?」
私が試合を見ながらつぶやくと
「いいえ、まだですよ」
エルが試合を見ながら、私に言ってきた。
「は、ん、げ、き、じゃあ!!」
なんと、ランドが立ち上がり、強烈なタックルをルプスに食らわせた。
「そこまで、勝者、ランド!」
その一部始終を見ていた私は一つあることを思いついた。
(そうか、そういう魔法を作ってみよう)
また一つ、楽しみなことが増え、笑顔になるテネレッツァであった。
「ここで、一旦休憩といたします。午後は2時から。よろしくお願いします」
バングラス帝国 一室
「この程度でいいんですかい?ガンドラ様」
「ああ、構わん。たかが獣人。吹けば飛ぶような奴らばかりであろう」
「ですが、あそこには精霊もいまっせ」
「まとめて消せばよかろう。皇帝陛下がお望みなのは、あの大地のどこかにある「真実の秘宝」なのだから」
「了解いたしやした。必ずや成功させて見せましょう」
部下が去った後、ガンドラは机上の地図を見て不敵に笑った。
「さあ、始めよう!皇帝と「獄」に捧げる世界征服を!」
この選択が、吉と出るか凶とでるか、まだ誰も知らない
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