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第十五章 バングラス帝国の暗躍 後編

登場人物


主人公 テネレッツァ・テンペンシア(女)

身長158cm 

少し目が細めの黒髪のショートの女の子

プーラ・エルドゥーラを使う(スナイパーライフル)

世界の理(杖)

残花残霊槍

神弓テルヌミス

偽名 マイルーナ


エルバフィーア(女)

偽名 エルーナ

身長169cm 年齢 不明

ヴィゴーレの使い魔で、風の上級精霊。普段は、猫の姿で生活しているが、人型になることも可能。得意魔法は、風魔法。

昔、ヴィゴーレに死にかけていたところを救われたらしく、それからずっとヴィゴーレのことを慕っている。


アルノマリア・ミール・ライングリア

白の聖装に金のメッシュが入った服を着ている、20代くらいの女性。顔には幼さが残っている。

ルミエール教国の創聖女

神聖魔法を使う

好きな人には一途である


イリス・ミール・ライングリア

アルノマリアの姉

アルノマリアと同じく創聖女であり、神聖魔法を使うことが出来る


バグナ・ライングリア

ルミエール教国の聖騎士団長

炎魔法と身体強化魔法を使う。

筋肉ムキムキで、岩も素手で砕くことが出来る

片付けをしていると、日が傾き始めた。

「そろそろ、教殿に戻りますか。」

エルにそう言われ、二人で教殿の方に戻っていく。

この街の景色を見て、ふと何かに似ていると思った。

「この壊れ方、鬼竜国エクセドラに似ていません?」

「確かに、あの国も操られた朱夏様によって壊されたのかもしれないですね。」

先ほどの光景を思い出しながら、部屋に戻るといきなり誰かに突撃された。

「おっかえりー!テネレッツァ!」

「あっ」

突撃してきたのはフィオレだったが、その後の一言が問題だった。

部屋には、アルノマリアやイリス、それにバグナまでいる。

その一言何を意味するかはすぐに分かった。

「貴様ら、まさか!」

バグナが剣を抜き、創聖女様達を守るようにして立つ。

「極悪非道な指名手配犯共め!創聖女様まで手にかけようというのか!」

バグナは激昂している。一体私たちが何をしたというのか。

「お前たちを信じた私がバカだった!ここで成敗してくれるわ!」

その怒声が外にまで聞こえたのか、足音が近づいてくる。

(やっぱり、こうなるか。もうここにはいられないな)

そう思い、窓を蹴破って出ようとすると、

「お前たちこそ、その子達の事情も知らないでよくそんなことが言えるわね!」

フラウムの透き通るような声が部屋に響き渡った。

けれども、そうフォローされても、もう戻ることはできない

「エル、行くよ。」

「承知いたしました。」

窓を叩き割り、外に飛び出す。

それと同時に、騎士団が部屋に入ってきた。

「逃がすな、追え!」

バグナが号令をかけ、それに続くように兵も動いていく。

私達は颯爽と街を抜け、教都の門まで来た。

だが、先回りされていたようで兵がすでに待ち構えている。

「止まれ!反逆者共め!国を救って創聖女様に取り入ろうとしていたのだろう。仮面もそのためだろ!」

兵の一人が前に出てきて、もっともらしいことを言ってくる。

遅れて後ろから、兵を引きつれたバグナがやってきた。

「もう逃げられんぞ。テネレッツァ、エルバフィーアよ。その身を捕縛して、テンペンシア連邦国に突き出してくれよう。」

大剣を構え、ずんずんと進んでくる。

その時、バグナの後ろから止める声がした。

「止めてください!その御方たちは我が国を救ってくださった英雄なのですよ!」

全員が声の方を向く。

そこには、アルノマリアと侍女に支えられているイリスがいた。

(いまだ!)

私とエルはみんながあっちに夢中になっている隙に兵の上を飛び越え、門の外から走り出した

「ありがとう、創聖女様。そしてさようなら朱夏様とその配下たち。」

遠のいていく教国を背に、私たちは走り続けた。

完全に教都が見えなくなるまで走り続けること30分、すでに辺りは暗くなっていた。

しかし、その中でポツンと灯がともっている場所があった。

辺りは月と星の明かり意外ないのでなおさら目立っている。

「誰かいるのでしょうか。」

恐る恐る近づいていくと、誰かが焚火をしているようだった。

「あのー。」

「きゃあ!」

後ろから声をかけると、とても驚いたらしく飛び上がって尻もちをついている。

その炎に照らされた顔に、私は見覚えがあった。というかついさっきまで話していた人物である。

「アクア様…」

「テネレッツァ様…」

お互いに驚きが隠せず、あわあわしているとエルがアクアに問いかけた

「なぜ、このような場所に?」

その問いにはっとしたアクアは少し寂しそうに話し始めた。

「実は、故郷の鬼竜国エクセドラに戻ろうと思いまして。このあたりだったのは覚えているのでここで野宿をしていたのです。」

「なるほどー」

納得した二人はアクアにお願いしてみることにした。

「ご一緒してもよろしいでしょうか。厚かましいお願い、ということは重々承知しております。ですがこちらにも事情がありまして…」

「分かっています。国を追放され追われる身となっているのですから。さあ、どうぞ。」

アクアは案外すんなり了承してくれた。もちろんその日は、そのまま何もすることなく寝てしまった。


「なぜ、あのような真似を!」

アルノマリアは教殿の一室でバグナを問いただしている。

「我々の国を救って下さった英雄様にあのような無礼は許されません!」

「それはそれ、これはこれ、です。あの者共は国から指名手配れている犯罪者なのですよ?捕まえようとするのは当たり前です。アルノマリア様こそ、あのような不届き者を庇うのは創聖女としてどうかと思います。」

バグナのいうことはもっともである。だが私にも引けぬ理由があるのだ。

二人が喧嘩をしていると、横から口をはさんできた者がいた。朱夏である。

「そもそも、あの子たちの話を聞こうともせず、捕まえようとしたお主が悪い。あいつらにはそれなりの理由がある。」

そう諭すがバグナの怒りはいまだに収まらない。

その一部始終を空から眺めている者がいた。

「これは、好都合。では、「深淵」を復活させに行くとしよう。」

「ですが、あと1年ほどかかります。その間はいかがいたしましょう。」

「バングラスにやらせておけ。」

それだけ言うと二人は姿を消した。


「起きてください、テネレッツァ様。」

エルに優しく起こされ体を起こすと目の前に顔があった。

すでに朝の準備は済んでいたようで、もうご飯が出来ている。

「そういえば、朱夏様生きていたよ。」

なんでもないように、ご飯を食べながらアクアに伝えると、固まった。

「あれ?大丈夫?」

テネレッツァは心配そうにアクアの顔を覗き込むが未だにフリーズしている。

「テネレッツァ様、そういうことはもっとちゃんと言わないと。」

「あ、ごめんなしゃい。」

珍しくエルに真面目に怒られ、げんなりしていると、アクアが動き始めた。

「生きて、いたのですね。それで今はどこに?」

すぐにでも会いたそうにしていたので、ルミエール教国にいる、と伝えたところ、すぐに行きます!と言って荷物を片付けて出発してしまった。

「みんな、家族のことになると必死ですね。」

走るアクアの背中を見ながら、しんみりと言うと

「それ、あなたが言います?」

と、エルに返されてしまった。

テンペンシア連邦国にも、ルミエール教国にも戻るわけにはいかず、かといって鬼竜国エクセドラに行っても誰も居ないので、とりあえず、海に向かっていくことにした。

「はあ、また追われる国が増えちゃったね。」

ゆったりと歩くこと2日。

だんだんと水の大地が見えてきた。

「昔、一度だけ聞いたことがあります。この海を進むと、獣人族の住む大地 ベラリア王国、植族の住む大地 フォリウム王国、氷の大陸 フリグス、があると。」

ふむ、この大陸はほとんど探したが見つからない、もしかしたら他の大陸に行ったのかもしれない、と思った私は船を作ってみようと思った。

「船、作ります!」

「はい?」

いきなりの宣言にびっくりしたエルは改めて聞き直した

「なにを、つくると?」

「だーかーら、船、作るの!」

まあ、一度宣言したらきかないので、私も船づくりに参加することにした。

材料はすぐ近くにあった森から、テネレッツァ様が切り私が組み立てる、それの繰り返しだった。

3日ほどたつと大体の骨組みは出来ていた。

「この木が腐らないようにするにはどうしたらいいだろう。」

テネレッツァ様が出来上がった骨組みとにらめっこしながら考えている。

腐らない魔法…何かないか、と考えていると一つあることを思い出した。

「テネレッツァ様、ありますよ。腐らない魔法。保存魔法です。」

これは、ヴィゴーレ様が生前、旅の中で見つけた魔法のひとつだ。名前の通り、物を保存してそのままの状態にしておくことが出来る。

「これを出来上がった船全体にかけましょう。基本的に一回かければずっと続くので。」

あとは、全体を覆う様に板を張り付け、ちょっと装飾を加えるだけである。

大体一週間が経っただろうか、中々に良いものが出来上がった。

なぜ、一週間もかかったかと言うと、テネレッツァ様が途中で倒れたからである。

この2週間ぐらいでいろいろあったため、その疲れが出たのか、はたまた、力を使いすぎたのかはよく分かっていない。

だけど、私が一生懸命介抱していたら、すぐに良くなった。

けれども、一つ心に残っていることがある。


テネレッツァ様が、熱が出て寝込んでいた夜のこと

その日は仮で作っていた家のベッドでテネレッツァ様を寝かしていた。

その時、テネレッツァ様の寝言が記憶に鮮明に残っている。

「うう…母さん、行かないで、お願い…」

悪夢を見ていたのか、涙を流しながら、そんなことを呟いていた。


「お体大丈夫ですか?テネレッツァ様。」

出発の日、一応聞いてみたが、元気に返事をしてくれた。

「はい!大丈夫です!寝たら治るので!」

するとエルは私の顔と同じ位置くらいまでしゃがんで、そして頬にキスをした。

「へ?」

自分でも顔が赤くなっているのが分かる。

その顔を見たエルは優しい笑みで言った。

「おまじない、です。」

その顔は今までにないほど穏やかで優しく母を思わせた。

気を取り直したテネレッツァ期待と決意に満ち溢れた声で叫んだ。

「さあ、行こう!新天地へ!」



今回の章はいかがでしたか?

面白かったり改善点等があればぜひ感想欄で教えてください。

今後ともよろしくお願いします。

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