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第十四章 ルミエール教国へ 後編

登場人物


テネレッツァ・ローズ・テンペンシア(14歳)

少し目が細めの黒髪のショートの女の子

テンペンシア連邦国の元第一王女

使用武器はプーラ・エルドゥーラ、世界の理 残花残霊槍 神弓テルヌミス


エルバフィーア(女)年齢不明

風の上級精霊。普段は、猫の姿で生活しているが、人型になることも可能。得意魔法は、風魔法。


アルノマリア・ミール・ライングリア

白の聖装に金のメッシュが入った服を着ている、20代くらいの女性。顔には幼さが残っている。

ルミエール教国の創聖女

神聖魔法を使う

好きな人には一途である


バグナ・ライングリア

ルミエール教国の聖騎士団長

炎魔法と身体強化魔法を使う。

筋肉ムキムキで、岩も素手で砕くことが出来る

さて次の問題は誰が創聖女様の馬車に乗るか、ということである。

「年も近そうですし、マイルーナ、乗ってあげなさい。」

エルに面倒な位置を押し付けれられ渋々馬車に乗る。

走り出した馬車の中から外を眺める。

「もう二度と乗ることはないと思っていたけど。」

「うん?どうかされましたか?」

心の中で言ったつもりだったが、どうやら小声で出ていたらしい。

「ううん。なんでもないです。気にしないでください。」

外を眺めるテネレッツァを見ていたアルノマリアは、仮面で顔を隠し表情を見せないようにしているのを不思議に思っていた。

だけど、顔を隠していても悲壮感だけは感じ取れる。

「なにか、あったのですか?」

思わず聞いてしまった。不躾だっただろうか、怒られるかな、と思っていると

「あ、いや、まだ完全に立ち直れていないだけです。お気になさらず。さっきのこともありますし、どうぞお休みください、侍女の方もどうぞ。私が周りを警戒しておりますので。」

あの方はそれだけ言うとまた外を眺め始めた。

そのマイルーナ様のお言葉に甘えて侍女のお膝で寝ることにした。

「ふふ、微笑ましい光景ですね。」

馬車の窓から見た騎士団長は二人の姿を見て笑顔になっていった。

(あれ、探査魔法に引っかからない場所がある。しかもこの馬車の通り道に。)

念のため調べてみることにした。

「御者様、少し馬車を止めてください。騎士団の皆様馬車の周りの警護をお願いします。」

少し注意しながら、その反応しない場所まで進んでいく。

「ふむふむ。探査をはじく魔法でこれを隠していたのか。」

そこには、一つの魔法陣があった、丁度馬車が入りそうなサイズである。

これで大体、予想がついた。何者かが意地でも創聖女様を誘拐したいのだろう。

(もうちょっと工夫すればいいのに。)

困ったのはこの魔法陣をどうするかだ。破壊すれば向こう側にもバレてしまうだろう。

かと言って避けて通れば相手が次の手を打ってくるだろう。

「まあいいか。壊しちゃえ、リバース」

眩い光と共に魔法陣が砕け散った。

馬車に戻り騎士団に伝える

「もう大丈夫なので、進んでください。」

「あら、マイルーナにしてはやるじゃない。」

「しては、は余計です。エルーナ姉さん。」

進みながら御者台に座っているエルと話をしていると、不意に袖が引っ張られた。

振り返るとそこには創聖女様がいつの間にか横に来ていた。

侍女はぐっすりの様である。

「羨ましい限りです。そんなに仲がいいって。」

「創聖女様にも姉上が?」

そう聞くとアルノマリアは少し暗い顔をした。

「私には、姉がいるのですが、病に伏せておりまして。私でも治せないのです。」

「創聖女様でも治せない病気とはいったい…」

どんな病気なのか考え込んでいるとエルから声がかかった。

「もうすぐ国境です。」

数分後国境に到着した。

そこで思いもよらぬことを言われた

「あなた方も教都に行かれるのですか?」

まるでまだついてきてほしい、と行ってきているかのような言い回しである。

「確かに、教都には向かう予定ですが…」

エルがさりげなく断ろうとすると、背中に強い衝撃がきた。

振りかえってみると、なんと創聖女様がテネレッツァに抱き着いている。

「このままでは怖いので、どうか教都までご一緒していただけませんか?」

「さっきは、国境まで、で了承してたはずでは?」

痛烈な返しを入れたがそれでも引き下がらず

「そこをなんとか!お願いします!」

押しに弱いのが私なので、仕方なく了承してしまった。

ちなみにエルはそのやり取りを見ながら、笑っていた。

さらに進むこと2時間、ルミエール教国最初の町、ナードラスに着いた。

「今日はここで一泊しましょう。私たちは教会に泊まりますので。」

それだけ言うとアルノマリア達は教会へと向かってしまった。

「じゃあ、私たちは宿屋へ向かいましょうか。」

この街の宿屋は中々に質素で尚且つ趣がある。

部屋に入ると二人は早々に部屋着に着替え先に風呂に入ることにした。

「ふう、中々に気持ちよかったですね。」

最近気づいたのだが、エルは風呂に入ると色気が増すというかなんというか、女の私がみても羨ましいほどの体をしていることに気づいた。

それに対して私は

「はあ、羨ましいです。私にも少し分けてください。」

うらやめしく言うと意外な一言が返ってきた。

「え、この体は自分で変えようと思えば変えれますよ。」

「え、なにそれずるい」

ご飯を食べた後、部屋で二人は明日のことについて話し合っていた。

「明後日には教都に着くことが出来ると思います。なので、あの創聖女様の護衛?も明後日までですね。」

「そうですね。教都に着けばいろいろな情報を集めることもできるでしょう。」

そんなこんなで話をまとめた後、二人は床についた。


「おい、準備は出来ているか?」

「ああ、これで創聖女も終わりだ。」

街の目立たない裏道で二人の黒装束が話をしている。

手に謎の小瓶を持って・


「おはようございます。エルーナ様」

朝の準備を済ませ、教会に向かうと騎士団の一人が馬車の準備をしていた。

この街の教会はというかこの国の教会すべてがそうなのだろうが、全体がほぼ白色でできていて、正面扉は結構堅そうだった。

「殴ったら壊れそう。」

そんなことを考えていると

「きゃあぁぁ!!!」

教会の中から女性の叫び声が聞こえた。

「な、何事ですか!」

急いで教会の中に入り、声の元へと向かうとそこには、苦しそうな顔で横わたっている、アルノマリアがいた。全身に茨のような模様が刻まれている。だんだんと侵食してきているようだった。

「これは?」

私が騎士団長に聞くと苦虫を嚙み潰したような顔で答えた。

「私にも何が何だか。朝食を取られた後、いきなりこうなったのです。」

「どうやら、毒を盛られたようですね。」

エルが食べた後の皿を見て言う。

しかし、不可解な点がある。わざわざこんな周りくどいことをしなくても、深夜に寝込みを襲えばいいはずなのに。なぜこんなことを…

エルも同じことを考えていたようで体から怒りがにじみ出ている。

「この毒?のようなものは何なのでしょうか。」

この中で一番詳しそうな教会長に聞いてみるが当の本人も首を横に振った。

「私は存じません。このようなもの、教国にはないはずです。」

周囲を探査する。だがなにもなかった。

「とりあえず、アルノマリア様を何とかしなければ!教会長様、解呪の魔法は使えないのですか?」

騎士団長のバグナが教会長に聞くがダメだった、と話した

「もちろんすぐに試しました。ですが、効果が無いどころか、弾かれたのです。」

どうすればいいのか、思考を巡らせる。案は何個か出てきたが、すべて私たちの正体がばれてしまうようなものばかりだ。

「エルーナ様、マイルーナ様。何とかならないでしょうか。何とかこのアルノマリア様を救って頂けないでしょうか。」

騎士団はおろか教会の者まで、ただの冒険者である私達に頭を下げている。

ここまでされると、どうにかしてあげないと、という気持ちになってきた。

「姉さん「あれ」使っていい?」

仕方がないので一旦エルに杖を使っていいか聞いてみた。

「まあ、ばれるかもしれませんがいいでしょう。もしそうなったらまた逃げればよいですし。」

エルから、許可を貰ったことで準備を始める。

「皆さん、少し離れていてください。」

私が魔法の準備を始めると周りから、心配そうな声が上がる。

「あの子ができるのか?」

「まだ20歳にも満たない少女だろ?」

そんな声が聞こえてくるが聞こえなかったことにして着々と準備を進めていく。

仕上げに「世界の理」を引っ張り出し、魔法を唱える。

「我求、この者に宿りし邪なる魂を払い、戻したまえ!アニマ・ピュアリフィケイション(魂の浄化)!」

「な、その魔法は!」

教会長が今までにないほど驚いている。

その魔法は外にまで光が漏れ出るほど眩しく、その場にいる全員が目を開けられないほどだった。

程なくして目が見えるようになると、アルノマリアがゆったりと体を起こしていた。

「うん、私はいったい何を、って、なぜ皆さんここにいるのですか?それも鬼気迫るような顔をして。」

どうやら、本人にその毒を飲んで倒れた、という自覚はなく、さっきとは打って変わってピンピンしている。

「あなたは先ほどまで、毒を盛られ死にそうになっていたのですよ。ですが、そこのマイルーナさんたちが治してくれたのです。」

教会長と騎士団長が事の経緯を話していく。少し長くなりそうだったので、外で待つことにした。

「よっこらせ」

馬車の御車台に腰掛け、小瓶を取り出した。

「エル、これどうする?」

その瓶の中には、さっきの原因と思われる毒のような液体が入っていた。

「さっき、アルノマリア様を治したときに一緒に回収したのだけど、これ鑑定できる。」

私には人を鑑定する魔法はあっても、物を鑑定する魔法はないので、エルに頼むことにした。

「鑑定」

エルが顔をしかめる、どうやら私たちの思っていた通りのようだった。

「やっぱり、バングラス帝国の物だった?」

「はい、元の持ち主はとっくに逃げているでしょうけど。」

すると、教会から、騎士団とアルノマリア達が出てきた。

「お待たせいたしました。本日からもよろしくお願いします。」

なぜか、今回も私が馬車の中、エルが御車台になった。

いい加減変わってほしいものだ。

馬車で進むこと半日、この日は何事もなく順調に進んでいた、はずだった。

「お前ら、そこで止まりな。金目の物全部おいていきな。」

教徒に向かう途中、林を通らなければならず、絶対何か起こるだろうなぁ、と思っていたら案の定、盗賊には見えない盗賊が出てきた。

(こんなきれいな黒装束の盗賊がいるか!もうちょっとましな誤魔化し方あるでしょうが!)

心の中でつっこみをいれつつ、護衛の準備に入る。

「さあ、どいつから殺してやろうか。」

盗賊の方は自信満々の御様子である。

だけど、それが最後の言葉だった。

「フィードバーニア」

エルがいきなり魔法を放ち前の方にいた黒装束を切り裂いていく。

「な!」

「やっちまえ!」

それが開戦の合図となり、黒装束が一斉に襲い掛かってくる。

エルの魔法で人数は減らせたといえど、まだ50人くらい残っている。

「騎士団は創聖女様の護衛を!こいつらの相手は私とマイルーナがします!」

残花残霊槍を取り出し、構えをとる。

「残花残霊槍 乱桜」

「フィードバーニア」

黒装束を次々と切り裂いていくがキリがない。

40人くらいを片付けた時、違和感に気づいた。

「数減ってないよね。というか増えてない?」

そう、ずっと切り裂いていたので気づかなかったが黒装束の数が最初の70人よりも増えているのである。

「もう!こいつらなんなの!」

エルも半ギレで魔法を連発しているが、減る様子がない。

「くっくっく、お前たちが私達を倒しきれることは絶対にない!」

奴らが、最初から自信満々だったのはこういうことか。

倒しても減らず、かといって倒さなかったら増えていくばかり。

地獄のループである。

「アニマドゥバーション(広域鑑定魔法)」

周囲一帯をすべて探査すると、とんでもないことに気づいた。

「こいつら、生命反応がない。」

「はい?つまり高度な幻影でしかないと?」

「そういうこと」

恐らくこの幻影を操っている者がどこかにいるのだろう。

「けど、この幻影ども何とかしないと探そうにも探せないわよ?」

「そこはお任せあれ!」

そう言いながら後ろから出てきたのは大剣を担いでいる、バグナだった。

「獄炎斬!」

炎を纏った一撃ですべての幻影をかき消した。

「あいつか!プーラ・エルドゥーラ 空砲 鎮圧弾」

狙い定めた一撃で生き残りを気絶させた。

今回の章はいかがでしたか?

面白かったり改善点等があればぜひ感想欄で教えてください。

今後ともよろしくお願いします。

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