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第十四章 ルミエール教国へ 前編

登場人物

テネレッツァ・ローズ・テンペンシア(14歳)

少し目が細めの黒髪のショートの女の子

テンペンシア連邦国の元第一王女

使用武器はプーラ・エルドゥーラ、世界の理 残花残霊槍 神弓テルヌミス


エルバフィーア(女)年齢不明

風の上級精霊。普段は、猫の姿で生活しているが、人型になることも可能。得意魔法は、風魔法。


ルーナ・エクセドラ(女)29歳

重まぶたのような目で、黒い服をきている。

元魔少隊 月の隊の隊長

暗殺や隠密行動を得意とする

感情に流れやすく、フラウムがいないと暴走することが多い

短剣と拳銃を使い近接戦闘を得意とする


フラウム・エクセドラ(女)32歳

黄色い髪に淡い黄色の目、黄色の服を着ている

元魔少隊 黄の隊の隊長であり、魔少隊をまとめる大隊長である。

二丁の高威力単発銃を自在に操り戦う

常に冷静でいるように心がけているが何か深い過去がある。


ヴェント・エクセドラ(女)27歳

赤い長髪、赤色の服を着ている

元魔少隊 風の隊の隊長

自在に変化する槍を用いて近接戦闘を行う。

結構脳筋だが、頭の回転はものすごく速い


ウチェロ・エクセドラ(女)27歳

淡い水色の目をした、黒髪の短髪、水色の服を着ている

元魔少隊 鳥の隊の隊長

双剣を用いて戦う

魔少隊の軍師的存在


フィオレ・エクセドラ(女)24歳

桃色の服を着て、少し長いピンクのような、薄い赤のような色をした髪

元魔少隊 花の隊の隊長

長弓と剣を用いて戦う

5人のなかでは最年少


アルノマリア・ミール・ライングリア

白の聖装に金のメッシュが入った服を着ている、20代くらいの女性。顔には幼さが残っている。

ルミエール教国の創聖女

神聖魔法を使う

好きな人には一途である


バグナ・ライングリア

ルミエール教国の聖騎士団長

炎魔法と身体強化魔法を使う。

筋肉ムキムキで、岩も素手で砕くことが出来る

神世の樹から帰ってきた私たちは、戦いの傷を癒すため「温泉」と言われるところに来てきた。

「「おんせん」ってなんですか?」

「あったかいお水がでる、疲れを癒してくれる池みたいなものよ。」

フラウムの説明に、ふーんと思いながら歩いていく。

いつもの景色とは違い少し開けた、岩山の中を進んでいく。

30分ほど歩いていくと、煙が少しずつ見えてきた。

「あ、着いた。」

吹き抜ける風の先には目を見張るほどの絶景と、湯気の立ちのぼる「おんせん」があった。

「この、目の前に見えるのって、「海」ですか?」

「ええ、そうよ。テネレッツァは初めて見る?」

「いえ、昔一度だけ見たことがあります。」

この海を見て、懐かしくも苦しい思い出が蘇る。

「どうしたの?テネレッツァ、涙を流して。」

気づかぬうちに私は泣いていたようだ。

それでも、あふれ出る涙は止まらない。

止めようとしても、悲しみで涙があふれ出る。

「そうか、そうだよね。あなたにとってはとてもつらい景色だものね。」

フラウムはゆっくり穏やかに私のことを慰めてくれた。

「さあ、温泉に入りましょ。入れば辛いことなんて吹っ飛ぶくらい気持ちがいいから!」

服を脱ぎ、体を洗い、温泉に入る。ただのお湯のはずなのにとても気持ちよく感じるのはなぜだろう。

「にゃぁぁ」

温泉でゆっくりしていると見慣れた猫がひょっこり出てきた。

何かをものすごく目で訴えてくる。

「エルも入りたいの?」

フラウム様の前で思わず聞いてしまった。

本来なら、二人だけのはずだったので、ふてくされた顔をしている。

恐らく猫の姿で来たのは、人族としてカウントしないからいいでしょ、というエルの考えだろう。

「まあ、いいわよ。せっかく二人きりになれたと思ったのだけどね。」

流石に猫のまま温泉に入ると溺れそうなのでフラウムが木の桶を持ってきた。

ふと、海を見る。温泉から見える海はあの時とはまた違った、雄大な景色だった。

温泉から戻ると、ウチェロが話しかけてきた。

「次は、どこに行くの?」

「ルミエール教国に行こうと思います。もしかしたらそこに母を探す手がかりがあるかもしれないので。」

ルミエール教国

創造神ラ・ノマリアを崇める、この大陸でもっとも有名な宗教の総本山である。

また、ほかの大陸との行き来ができる船を有しており、国力もある。

また、その創造神のお告げを聞くことが出来る、「創聖女」がいるらしい。

「今日はゆっくりして、明日出発するといい。」

私はルーナのその言葉に甘えることにした。

―その日の夜―

みんなが寝静まっている深夜に、一人月を眺めている者がいた。

「眠れないのかい?エルバフィーア。」

ルーナに声を掛けられ、ゆっくりと体を向ける。

「まだ、ヴィゴーレ様を失ったことから、立ち直れないのです。表面では明るくしていても、一人になると、あの時のことを思い出してしまう。」

ルーナはエルの横に座り、同じように、煌く月を眺める。

「いいよねぇ、月って。美しく、誰にでも平等に足元を照らしてくれる。まるで、下を向くな。上を見て歩け。と言っているかのようにね。」

私はラーナのその横顔がヴィゴーレに見えて仕方なかった。

「さあ、寝ましょう。明日出発なのだから。」


「気を付けていくのよ。」

次の日、私たちは、出発する準備をしていた。

「あなたに、これをあげましょう。」

ウチェロから、腕輪を貰った。

身に着けてみなさい、と言われたので、いつも身に着けているブレスレットとは逆の腕に着けてみた。

「それは私たちといつでも話ができる「通信の腕輪」よ。助けが欲しくなったらいつでも呼びなさい。すぐに言ってあげるから。」

みんなに見送られ私たちはルミエール教国へと出発した。

次は、どんな人がいるだろう、どんな人と出会えるだろう、そんな期待を胸をに抱きながら、テネレッツァ達は道を進んでいった。

そして、4時間ほど歩いた後、道らしい道が見えてきた。

「もう少し行くと、以前私とヴィゴーレ様が滞在していた町があります。今夜はそこで過ごしましょう。」

エルの言った通り、少し歩くと草原の奥に立派な町が見えてきた。


「お前たち何をしに来た。」

テネレッツァとエルが街に入ろうとすると門番に止められた。

まあ、14歳の少女といかにも若そうな女性が二人で歩いてきたのだから無理もない。

「私たちは旅の者です。」

「そんなの見ればわかる。どうやって来て、何をしに来たのかを聞いているのだ。」

正直に言ってもいいが、何を言っても怪しまれそうなので、どうしたものかと悩んでいると

「私たちは、テンペンシア連邦国王都から竜の森を抜けて、ルミエール教国へと向かう途中です。」

エルが、馬鹿正直に答えた。

「テンペンシア連邦国王都から?なら名を名乗れ。」

その一言に嫌な予感がしたテネレッツァは

「私は、マイルーナ、こっちはエルーナです。」

とっさに偽名で名乗った。

「ふむ、なら入ってよい。最近テンペンシア連邦国で指名手配されているという、テネレッツァ・ローズ・テンペンシアとエルバフィーアを見かけたすぐに伝えてくれ。」

「分かりました。」

偽名を名乗ったことで無事に入ることが出来た二人は、まず宿屋に行って部屋を取ることにした。

「ふう、ひとまず部屋は取れたのでゆっくりできますね。それにしても指名手配とは…」

エルは苦虫をかみつぶしたような顔をしながら、どうしてそうなったのかを考えている。

「ひとまず、情報収集するために、冒険者ギルドに行く?」

私の提案のエルは快く了承してくれた。


ギルドにて

指名手配一覧を見ると、一番上に私とエルの名前があった。

気になって仕方がないのでギルドの職員に白々しく聞いてみた。

「なぜこの二人は指名手配されているのですか?」

「その二人は、連邦国を挙げて探しているらしいのだけれど、何をしたのかまではあまり分からないんだ。聞いているのは、学園の生徒を貶めた、ってことだけだね。」

私が子供だからなのかそれとも、知らない風だったからなのか丁寧に説明をしてくれた。

(うーん、やはり、あまり情報は得られないか。)

どうしたものかと考え込んでいるとギルドの奥に見覚えのある、会いたくもない奴が見えた。

私はエルの袖を引っ張り小声で言った。

「エルーナ姉さん、あいつらがいる。早くここから出ましょう。」

どうやら、エルも気づいていたらしくそそくさとギルドを出て、宿屋へと向かった。

戻る途中でいい匂いがしてきて、誘われるように屋台を覗いてみる。

「お、いらっしゃい!どれも銅貨三枚だよ!」

「エルーナ姉さん、食べてもいい?」

あまりにもおいしそうなお肉の串だったのでエルにおねだりしてみた。

「はあ、仕方がないわね。おじさん、二本ちょうだい。」

「あいよ。銅貨六枚、まいどあり!」

私とエルのやり取りを見ていた屋台のおじさんは笑顔で串を二本渡してくれた。

「ちゃっかり姉さんも食べてるじゃん。」

「あなただけ食べるのは不公平でしょ。」

肉串を頬張りながら宿屋へ戻るとお風呂時になっていた。

「あ、帰ってきましたか。ちょうどお風呂が出来たのでどうですか?今なら誰も居ないので一番に入れますけど…」

「どうする?姉さん」

取り敢えず、姉さんに聞いてみる。

「うーん。じゃあ、着替えを取ってくるので開けておいてもらえますか?」

「はい、わかりました。」

部屋に戻り、置いてあった荷物から着替えをとる。その中に今はもう着ることがない一着の寝間着があった。

「それ、たまには着てみる?」

エルの提案にテネレッツァは首を横に振った。

「いいよもう。切り替えないといけないしね。後、それを着るとばれるかもしれないし。」

エルは確かに、と言いながら自分の着替えを取り出し、お風呂へ向かった。

「さ、私も行こーっと。」

この宿屋のお風呂は中々のものだった。

体を洗うところもたくさんあり、浸かるところも広かった。

「お背中御流しいたします。」

お風呂部屋の中に入るなりエルが私に言ってきた。

「え、いやいや、ばれたらまずいでしょ。」

「何が問題なのですか?姉が妹の体を洗って。」

何でもないことのように言ってくるエルに私は諦めることにした。

お風呂で旅の疲れを癒した後、宿屋の夕食を食べて私たちは早々に床についた


「起きてください。今日はルミエール教国に行くのでしょう?」

私はエルの優しい声で起こされた。

少しけだるそうにしながらも朝の準備をしていく。

「今日明日ぐらいには、ルミエール教国の国境に着くことが出来るでしょう。」

宿屋で朝ごはんを食べながら、そんな話をしていると、後ろから声をかけられた。

「あんた達、ルミエール教国に行くのかい?」

話しかけてきたのはこの宿屋の主人らしき、壮年の男性だった。

「はい、そうですが。」

「なら、気を付けるんだよ。あそこの国境あたりで最近、盗賊が出るらしいから。」

「忠告有難うございます。気を付けていきますね。」

主人から貴重な情報をもらい、町を出る。

「テネレッツァ様、今日もたくさん歩きますので覚悟しておいてくださいね。」

「ふぇ~い。」

エルの言葉に軽く返事をしながら、土で少しだけ整備された道を進んでいく。

吹き抜ける風が心地よく、とても穏やかな気持ちになる。

2時間ぐらいあるいただろうか、だんだんと人の声が聞こえてきた。しかし、にぎやかな声ではなく、何か争うような声と音である。

「何かあったのでしょうか。」

気になったので少し道を外れ脇から除くようにして見ると、なんと一台の馬車が盗賊と思われる集団に襲われていた。

人数は20人くらいだろうか。首領と思われる人物が後ろの方で傍観している。

「なんか、既視感あるね、この光景。」

そう2年前、ヴィゴーレ様と一緒に女王様を助けた時と同じような状況だったのだ。

「どうします?助けますか?」

エルにそう聞かれ、私は頭をひねった。

(確かにここであの人たちを助けることはできる、けど、また面倒事に巻き込まれそうなんだよなあ。)

少し考えた後、私は一つの案を思いついた。

「さっと、片付けて、さっと、去りましょう。」

「確かにそれが一番いいかもしれませんね。」

意見が一致した二人はすぐさま行動に移した。

「支援魔法陣展開、隠蔽」

「ウィンド 5連」

まずは、馬車を囲んでいた盗賊たちに向かって牽制の魔法をエルが放つ。

「ぐぁあ!」

「どこから撃ってきた?」

相手はテネレッツァ達のことを捕捉できていない。

残り15人くらいだろうか。

テネレッツァがプーラ・エルドゥーラを構え標準を定める。

「プーラ・エルドゥーラ 鎮圧弾」

また3人倒れた。

「あとは接近戦でっと、その前に。」

私は懐から二つの仮面を取り出し一つをエルに手渡した。

どちらも同じような悲しそうなそれでいて優しく嬉しそうな不思議な仮面である。

「これで、正体はばれないはず?」

「なんで疑問形なんですか?」

戦闘中にもかかわらず、二人は気の抜けた会話をしている。

「さ、いきましょ。私はこの槍で。エルは魔法で、お願いしますね。」

それだけ言うとテネレッツァは隠蔽を解き、真っすぐ盗賊たちの方へと向かっていく。

「な、なんだこいつは!」

盗賊は驚きのあまり腕が動かなくなっていた。

それもそのはずで、いきなり目の前に謎の仮面を被った人族が一人で盗賊に突撃してくるのだから。

「残花残霊槍 乱桜」

華麗な槍裁きで盗賊を蹴散らしていく。

気づけばそこに立っている者は一人だけになっていた。

「あとはお前だけだ。盗賊団長。」

「こ、こんなところで死んでたまるか!私はリウス様直々の部下だぞ!」

「あら、これはご丁寧に自己紹介どうも。」

エルがそれだけ聞くとフィアンで気絶させた。

「容赦ないですね。エルーナ姉さん。」

エルは仕方ないですよ、と笑いながら盗賊を片付けていく。

その一部始終を馬車の中から見ている者がいた。

「勇者様…」

一通り片づけ終わり、知らんふりで去ろうとすると案の定、声をかけられた。

「お待ちください!勇者様!」

「「え?勇者様?」」

「あなた達は勇者様なのでしょう?」

振り向くとそこには侍女に連れられて馬車から降りていた、白の聖装に金のメッシュが入った服を着ている、20代くらいの女性だった。だがまだ顔には幼さが残り、未だに不安が取れていないようである。

「失礼ですがあなたは?」

エルがテネレッツァをかばう様にして前に出て、その女性に問いかける。

「あ、自己紹介が先でしたね。私はアルノマリア・ミール・ライングリア。ルミエール教国の創聖女を務めております。いきなりですが、お願いがあるのです。あなた方もルミエール教国に行くのですよね?ご一緒していただけませんか?」

アルノマリアと名乗ったその女性は私達に上目遣いでそうお願いしてきた。

しかし私はその願いに顔を引きつらせる。

(げ、絶対変なことに巻き込まれる奴じゃんこれ。)

そんなことを考えていたのだが、どうやら顔に出ていたらしい。

エルが私の代わりに断りを入れた。

「創聖女様ですか。あいにくですが私達は勇者でもないですし、先を急いでいるので。失礼します。」

そう言って去ろうとすると、次は騎士らしき男性に止められた、他の騎士よりも来ている鎧が豪華なので、上位の者だろうか。

「そこを何とかお願いできないだろうか。私たちは見ての通り先の襲撃で装備も人員も大利ないのだ。あなた方のような強い冒険者に一緒に同行していただければ我々騎士団としても嬉しいのだが。」

とても断りにくい雰囲気になってきた。ここで、「はい、いいですよ」と言えば間違いなく面倒なことになる。だが、この人たちを放っておくこともできない。

というか、この人たちは警戒心というものがないのだろうか。

と考えていると私は一つの案を思いついた。

「この仮面を取らなくてもよい、のなら教国の国境まで一緒に行きますが。どうでしょうか?」

私達にとって今一番まずいのは顔がばれることだ。ギルドでは隠蔽魔法で顔を少し隠蔽していたが、ここではそうはいかない。

「それは…。」

少しの間、騎士団長は考えていた。

そしてにこやかな笑顔ではっきりと答えた。

「分かりました。あなた達にも何か事情があるのでしょう。命の恩人に詮索はしますまい。」

そこで騎士団長は「あっ」と思い出したように

「申し遅れました。私はルミエール教国の騎士団長を務めております。バグナと申します。以後お見知りおきを。」

遅れて自己紹介をした。

今回の章はいかがでしたか?

面白かったり改善点等があればぜひ感想欄で教えてください。

今後ともよろしくお願いします。

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