第十三章 修行
登場人物
テネレッツァ・ローズ・テンペンシア(14歳)
少し目が細めの黒髪のショートの女の子
テンペンシア連邦国の元第一王女
使用武器はプーラ・エルドゥーラ、世界の理
エルバフィーア(女)年齢不明
風の上級精霊。普段は、猫の姿で生活しているが、人型になることも可能。得意魔法は、風魔法。
ルーナ・エクセドラ(女)29歳
重まぶたのような目で、黒い服をきている。
元魔少隊 月の隊の隊長
暗殺や隠密行動を得意とする
感情に流れやすく、フラウムがいないと暴走することが多い
短剣と拳銃を使い近接戦闘を得意とする
フラウム・エクセドラ(女)32歳
黄色い髪に淡い黄色の目、黄色の服を着ている
元魔少隊 黄の隊の隊長であり、魔少隊をまとめる大隊長である。
二丁の高威力単発銃を自在に操り戦う
常に冷静でいるように心がけているが何か深い過去がある。
ヴェント・エクセドラ(女)27歳
赤い長髪、赤色の服を着ている
元魔少隊 風の隊の隊長
自在に変化する槍を用いて近接戦闘を行う。
結構脳筋だが、頭の回転はものすごく速い
ウチェロ・エクセドラ(女)27歳
淡い水色の目をした、黒髪の短髪、水色の服を着ている
元魔少隊 鳥の隊の隊長
双剣を用いて戦う
魔少隊の軍師的存在
フィオレ・エクセドラ(女)24歳
桃色の服を着て、少し長いピンクのような、薄い赤のような色をした髪
元魔少隊 花の隊の隊長
長弓と剣を用いて戦う
5人のなかでは最年少
朱夏(女)年齢不明
鬼竜国エクセドラの女王
残花残霊槍を用いて戦う
強く、清く、正しく、美しく、がすべて当てはまるほどの素晴らしい女王
今は消息不明 生きているか死んでいるかもわからない
とても仲間思いで自分の部下のためなら自分の命すら捨てるほどである。
「あ、ああああ」
フラウムが頭を抱えている。
「その言葉、本当なの?」
ウチェロが鬼気迫る表情で私の肩を掴んでくる。
「ほ、本当です。」
(我にはもう時間がない、後は頼んだぞ。)
そう言い残して、死竜は灰となって消えていった。
「と、取り敢えず、家に戻りましょう。話はそれからよ。」
家に帰ってから、フラウムは自室で休むといって出ていった。今この場には私とエル、そして、ラーナ、ヴェント、ウチェロ、フィオレの6人がいる。
「あなた、テンペンシア連邦国の王女様なのね。いや「だった」の方が正しいか。」
驚いた、ウチェロは私が追放された身であることを知っているのだ。
そして、ウチェロは、ぽつり、ぽつりと14年前のことを語り始めた。
~14年前~
「た、大変でございます!第二王子が、何者かにさらわれました!」
その報告をうけた朱夏は顔から血の気が引いていった。
「大変です!魔物が!「獄」が攻めてきました!」
次々と最悪な報告され、全員が絶望にそまっていく
「一体どうなっているのだ。」
朱夏は兵士に問うが、答えることが出来なかった。
「よりによって、フラウムのいない時に。」
それから、襲撃は一晩中続いた。朱夏や魔小隊、騎士隊の活躍も虚しく、どんどん押されていく。
「一旦引いて態勢を立て直せ!何としても王城を、朱夏様とアクア様を守るのだ!」
一進一退の攻防が続いている中、一人、アイリアを探している者がいた。
「見つけた、ここだ。」
フラウムが見つけたのは一軒の廃屋だった。
「ほう、よくここが分かったな、魔小隊大隊長フラウムよ。」
魔物族とも人族とも思える姿をした男が出てきた。
「何者だ、なぜ私の名を知っている。」
「自己紹介をしておこう。我の名は、ガレリア。「獄」の一隊である、暗隊を率いる隊長である。」
(やはり、獄の連中だったか、しかしなぜアイリア様を誘拐する?)
フラウムには分からないことばかりだった。
私が出かける今日を狙っての襲撃、明らかに情報が筒抜けである。
「さあ、ガキを返してほしくば我を殺してみよ!」
ガレリアは大剣を構え、すでに戦闘態勢である。
「はあ、やるしかないようですね。」
対するフラウムも、二丁の銃を構える。
「ほう、それがうわさに聞く、一対の高威力単発銃か。おもしろい。」
空気が張り詰めていく、
「散弾冷花!」
先手を打ったのはフラウムの方であった。
弾が相手を覆うようにして放たれていく。
そして当たった所が凍り付いていく。
「そんなものでは、我には傷一つつけることが出来ん!竜獄!」
一振り、立ったひと振りでフラウムは戦闘不能にまで追い込まれた。
(強い、強すぎる、このままではアイリア様が、)
ガレリアはアイリアを抱えて去っていく。フラウムはその姿を見ることしかできなかった。
「待て、待ってくれ、その子は、その子だけは。」
フラウムの願いも虚しく、ガレリアは闇の中に消えていった。
王城の前では熾烈な戦いが行われていた。
「ぐ、ここまでか。ラーナ、ヴェント、ウチェロ、フィオレ!」
朱夏は四人を呼び寄せた。
「「「「花鳥風月、ここに!」」」」
「お前たちはアクアを連れて逃げろ、いいな? 絶対にアクアを死なせるな、これは私からの最後の勅命だ!」
朱夏は敵を薙ぎ払いながら言う
「嫌です!それでは朱夏様が殿をする、と言っているのと同義ではないですか!」
ラーナは焦ったように言う
「そうだ、お前たちは私の命令に逆らうのか?」
いつも私たちに命令する時の口調でも顔でもない。死を悟ったような、覚悟を決めているような、そんな顔をしている。
「行け!そして生きるのだ!生きていればいつか必ず好機がやってくる!」
5人が去った後、玉座の間にはただ一人、
朱色と黄色を主とした服を着ている、額から二本のツノが生えている王、朱夏が座っていた。その横には朱夏の愛槍「残花残霊槍」が刺さっている。
だんだんと足音が近くなってくる。
あの子たちは逃げきれただろうか。
「封印魔法、我が槍よ、この身が朽ちし時、次の持つべき者が現れるまで、私の子が手に入れるまで、その身を封印せよ。」
さあ、準備は整った、私の力は死んでも奪われることはない、後はひたすら暴れるだけだ。
扉が開かれていく、ぞろぞろと入ってくるのは、炎を纏った「獄」の連中だ。
「朱夏よ、その命もらい受けるぞ。」
そう言い、剣を突き付けてきたのは、一段と強い炎を纏い、溶岩のような熱い体をした、魔物族である。
「さあ、かかってこい。全員まとめて相手をしてやろう!」
「朱夏様は大丈夫でしょうか?」
フィオレは遠のいていく王城を見ながらみんなに聞いた
「大丈夫、大丈夫だよ。きっと朱夏様なら帰ってくる。」
そういうヴェントも不安が隠せていない。
「ん?あれは、、、」
先行していたウチェロが何かを見つけたようだった。
そこには、雨に打たれ空を見上げていた、フラウムがいた。
「フラウム!大丈夫なの?」
「アイリア様が、アイリア様が、、」
フラウムは繰り返しそう呟いている。まるで魂が抜けたかのように。
「と、取り敢えず連れていきましょう。話はそれからよ。」
その時、竜の森の中に紫色の雷が落ちた。
その雷の威力は凄まじく、森全体に音が響き渡るほどだった。
「何?何が起きたの?」
「私が様子を見てくる、フラウム達は先に行ってて。」
ルーナは雷が落ちた場所へと走る。
そして、
「こいつは、さっきフラウムが言っていた、ガレリアとかいう奴じゃないのか。」
落ちた場所には、アイリアの姿はなく、ただ一人黒焦げになったガレリアが横わたっていた。
「こんなところかな。これが14年前に起こった出来事の顛末さ。」
今の話を聞いた中で、二つ気になることがあった。
「その後、アイリアという人はどうなったのですか?」
「分からん、私たちもかれこれ14年探しているがいまだに情報のひとつもない。あるとすれば、14年前の紫色の雷を打った人物ぐらいだな。」
「それともう一つ、その残花残霊槍ってどこに?」
するとウチェロは窓から指をさして示した。
「あそこさ。」
私達は今、王城に来ている。私がその槍を一目見てみたいといったからだ。
「着いたぞ、この先が玉座の間だ。」
古ぼけた扉を開けると、玉座の前に主の帰りを待っているかのように一本の槍が刺さっている。
「あれが、残花残霊槍。」
私はその槍に導かれるように進んでいく。
「え?ちょっと!その槍は認められないとものすごい反撃が、って。」
ウチェロの言葉も聞かず槍に触れると拒絶されることなく持つことできた。不思議と手になじむ。
「あ、触れた。」
魔小隊が呆気にとられている。
「な、なんで触れるのよ!」
「さあ、なんででしょう。」
なぜかキレ気味のヴェントを落ち着かせてから、再度、槍を持ち振ってみる。
「なんか、ぎこちないね。」
「だって、触ったことないですもん。」
「なら、私が教えてやろう。」
「それなら、全員でこの子を鍛えるっていうのは?」
フィオレとヴェントの提案にほかの二人は賛成したようだった。
相変わらず、私には拒否権がないのだろうか。
それから、私は魔小隊の下での修業が始まった。
「まずはあたしだ。槍の使い方と応用をみっちり叩き込んでやる。」
私が、槍を取ってからというもの、ヴェントの私へのあたりが少し強くなった気がする。
後で分かったことなのだが、あの槍はヴェントが一番欲しがっていたとか。
他にも、フィオレの近接戦闘術、フラウムの遠距離狙撃術、ラーナの隠密行動術、そしてウチェロの戦略術を学んだ。
そして、半年が経った頃、私はほとんどのスキルと魔法を使えるようになっていた。
また、プーラ・エルドゥーラ、世界の理、残花残霊槍も使いこなせるようになっていた。
「テネレッツァ、ついてきて。」
ほぼすべての修行を終えたころ、私はルーナに呼ばれ、王城の外れにある洞窟に来ていた。
「さあ、最後の試練を始めよう。」
ルーナはいきなり短剣と手持ちの銃を構えた。
テネレッツァもそれに応じ槍を構える。だがその槍を持つ手が震えている。それほどまでに、ラーナの圧力はすごいのだ。
「殺す気で来なよ?出ないと死ぬのはそっちだからね。」
ひと時の沈黙が訪れる。どちらも出方を伺っている。
「ルヌラ(三日月の刃)!」
ラーナが先制の魔法を放つ。三日月のような形をした刃が何本も飛んでいく。それに対抗するようにテネレッツァも魔法を放つ
「プーラ・エルドゥーラ 氷砲 アイス・カヴェア。」
氷檻を形成し作り出し、相手を捕まえようとするが
「ルーナ・ノヴァ(新月影移動)」
あっさりと逃げられてしまった。
「やっぱり強い。」
テネレッツァは負けじと魔法を連発しているがあまり効果が無いようだった。
「言ったよね?殺す気でこいと。その言葉の意味が、わかるかな?」
テネレッツァに殺す気がなくともルーナは殺す気満々である。
(ルーナ様はこれが最後の試練だといってい
た。なにか、何か意味がある?)
「考え事をしている暇はあるのかな?ルヌラ!」
ルーナはテネレッツァをめがけて魔法をどんどん撃っていく。
防戦一方の戦い続ける中で、ルーナ様に言われた一言を思い出した。
{いずれ人と人の殺し合いをしなければならない時が来る。お前はその時のために、「勇気」を手に入れろ。殺さなくてもいい。殺す気で行く勇気を手に入れろ。}
(まさか)
私は覚悟を決め、残花残霊槍を構える。
「空気が変わったね。いいね。」
ルーナは手持ちの銃をしまい、短剣を構える。
「瞬速!」
テネレッツァは一気に距離を詰める。一振り、一振りに殺気を込めて、殺す気で詰めていく。
「残花残霊槍 乱桜」
乱れ突きのようなつき方で、ルーナを追い詰めていく。
(まだだ、まだこの程度ではルーナ様は倒せない。もっと強い技を、、)
「千本桜華!」
とどめの千撃がルーナに直撃した、と思っていたが。
ルーナが一番驚いている。
「なぜ、殺さなかった。」
槍はルーナの目の前で止まっている。
「殺せませんよ。だって私はもう誰かを失いたくないので。」
今までの誰かを失った悲しみと、ルーナに勝った喜びが混ざったような、そんな表情をしてテネレッツァは言った。
そして、槍をしまい、手を差し伸べる。
「私は合格ですか?」
「ああ、合格さ。次のところに行きな。」
ルーナは奥にある通路を指さした。
奥に進んでいくと待っていたのはウチェロだった。
「来ると思っていたよ。さあ、私の試練を始めよう。」
私は構えたが、ウチェロは一向に構えを取る気配がなかった。
というか、私はウチェロ様が戦うのを見たことがなかった。
「どうした?かかってきなよ。遠慮は無用。」
「では、いきます!」
瞬速を使い一気に距離を詰め、勝負を決めにかかる。
「風林火山 動かざること山の如く。」
「な!」
確かに一撃入ったはずなのに弾かれた。
(また、聞いたことのない言葉を)
するとウチェロは私の心を読んでいたかのように話し始めた。
「この言語はね。昔この国で使われていた、「鬼竜語」だよ、そしてこの言葉は昔の人が言っていた、「ことわざ」だよ。私はその言葉に魔力を込めることが出来る。」
たまに聞いたこともない言葉を喋っているのは、そういうことかと合点が付いた。
「さあ、次はこちらの番だ。風林火山 侵略すること火の如く。」
ウチェロは二つの火球を作り出し自在に操ってくる。
「残花残霊槍 乱桜」
技を繰り出し、果敢に攻めるが、全く効果が無い。
「私の修行で学んだことをしっかり生かしなさい。」
戦う上で大事なのは、戦術と戦略である。そして相手の弱点を的確につくことである。
「ふう、解はでました。」
「さあ、かかってきなさい。」
なんと、ウチェロは双剣を構えた。
やることは変わらない、相手を倒す、それだけだ。
「乱桜」
相手へ向かってスキルを放つ。
「風林火山 動かざること山の如し」
もちろんウチェロはそれに合わせて守りを固める
「プーラ・エルドゥーラ 氷砲 アイス・カヴェア。」
動くことが出来ないウチェロを檻に閉じ込める。
「こんなことをしたって無駄よ!風林火山 侵略すること火の如し!」
もちろんその檻から何をされるか分からないので、スキルを使い火を剣に纏わせ、檻を破壊した。
だが、テネレッツァはこれを狙っていた。
「プーラ・エルドゥーラ 氷砲 グラキエス・ショット(氷の一撃)!」
「しまっ」
スキルを唱えるよりも先にテネレッツァの一撃が当たった。
「ふっふっふ。降参だよ。まさか私が無詠唱でスキルを発動できないと分かっていたのね。
合格よ。次に進みなさい。」
先には通路ではなく扉があった。
進んでいくとその先には、なんとフィオレとヴェントがいた。
「今度は二人ですか?」
「いや、私は観戦させてもらうよ。フィオレが暴走しないように監視しとけってフラウムからのお達しなんでね。」
フィオレの方を見てみると準備運動まで済ませていつでも行ける準備をしていた。
「さあ、第三の試練、始めよ!」
フィオレはものすごく気楽そうにしている。
それもそうである。この戦闘狂からすれば強い人と戦えることは至高の喜びなのだから。
「残花残霊槍 桜舞」
舞を描くように、槍で攻撃をしていく。
対するフィオレも、スキルを使うことなく剣だけでいなしている。
「花の剣 フロース・シダス(星の花)」
五芒星のような花がテネレッツァを襲っていく。
その後もフィオレは攻撃の手を緩めることがない。
「確かに、魔小隊最強と言われるだけはある。」
だけど、どんな人族にも、弱点はある。
「プーラ・エルドゥーラ 炎砲 フィアンマ」
牽制の一撃を放ったつもりだったが、逆に何か飛翔物が、私の一撃を貫通して飛んできた。
間一髪、残花残霊槍で防ぐことはできたが、煙が晴れるとそこには、剣ではなく弓を構えた、フィオレの姿があった。
「え、弓も使えるの?」
「当たり前でしょ。前も後ろも出来ないと、最強なんて名乗れないでしょ。」
つくづく恐ろしいと思う。
(どうやって勝つの。これ)
考えれば考えるほどに勝つ手段がなくなっていく。
「ほらほら、どんどん行くよ!乱花!」
狙いを定めることなく、乱雑に花矢を撃ってくる。
矢と煙により、視界を遮られフィオレが視認できなくなっていた。
「な⁈」
煙の中から、剣を構えたフィオレが突撃してくる。
「顕現 世界の理!」
杖を出し、フィオレの剣撃をぎりぎりで受けていく。
けれども、どんどん攻撃ガ通り、体がボロボロになっていった。
その攻防を見ていたヴェントは
「こりゃあ、勝ち目ないかな。明らかにフィオレが強すぎる。」
もはや勝ち目がないと悟ったヴェントは止めに入ろうとした。けれど
「まだです、まだやれます!」
ボロボロになりながらも、その眼にはまだ戦う意思があった。
「残花残霊槍 一限解放! 千鬼乱桜!」
今までの動きとは全く違う。
まるで別人かのような動きは、フィオレとヴェントにある人物を連想させた。
「「…朱夏様…」」
その別人とも思える槍の連撃にフィオレはついに倒れた。
「まいった。私の負けだね。」
「おいおいまじかよ。あのフィオレに勝ちやがった。」
「さあ、最後の間いくといい。扉はもうあけてある。」
テネレッツァはヴェントに促され先へと進んでいく。
その後ろ姿を見ていた二人は
「なあ、フィオレ。さっきのあの動きって…」
「うん、確かに朱夏様そのものだったね。」
「あの子は本当に何者なんだろうね。」
そんな話をしながら、テネレッツァを見送っていた。
「フィオレ様は、最後の間と言っていたけれど。」
開けた場所に出るとそこには、美しく荘厳な滝があった。そしてその横の小さな石にフラウムは座っていた。
「やっぱり来たかい。待っていたよ、では最後の試練を始めよう。」
フラウムは静かにゆっくりと私に前まで来た。
「私の試練はただ一つ、私の問に答えるだけだ。」
え、それだけ?
「では、始めよう。」
その瞬間、場の雰囲気が変わった。凍り付くようなとてつもない冷気である。
「我は問う、汝は何がために己が力をふるうか。」
少し考えた後、私ははっきりと答えた。
「私は、誰かのために、誰かを救うために己が力をふるう。」
2年前、ヴィゴーレ様に言ったように。
するとさっきまでの冷徹な顔が嘘のように笑顔になった。
「合格。その答えを待っていたよ。」
そして私をぎゅっと抱きしめてくれた。
久しぶりに感じるあったかい抱擁である。
「試練に合格したあなたに案内するべき場所がある。ついてきて。」
ついていくと、フラウムは滝の前で立ち止まり、何か魔法を唱えた。
すると
「すごぉぉ…」
滝と湖が割れ、一つの道が現れた。
「さ、いきましょ。」
フラウムに促され着いた場所には、一つの魔法陣があった。
「さあ、乗って」
魔法陣が発動し、周りの景色が変わっていく。
着くとそこには、一面の草原と一本の巨大な大樹が見えた。
「ここは、神世の樹のふもとよ。そして…」
フラウムの後をついていくと、そこには周りを花に囲まれた、一つの墓があった。
「ここは、朱夏様の墓よ。まあ。遺体はないのだけどね。」
手を合わせながら、そして沈むような顔をしながら、説明してくれた。
私も墓の前に立ち、手を合わせ、祈りを捧げた。
「今ここに尽きし命よ、またこの世に蘇りて幸福のあらんことを。」
祈りを捧げているとき私はなんだか懐かしい気持ちになった。
なにか、自分の会いたい人に会えたような、そんな気がした
今回の章はいかがでしたか?
面白かったり改善点等があればぜひ感想欄で教えてください。
今後ともよろしくお願いします。




