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第十二章 テネレッツァの新しい日々

登場人物

テネレッツァ・ローズ・テンペンシア(14歳)

少し目が細めの黒髪のショートの女の子

テンペンシア連邦国の元第一王女

使用武器はプーラ・エルドゥーラ、世界の理


エルバフィーア(女)年齢不明

風の上級精霊。普段は、猫の姿で生活しているが、人型になることも可能。得意魔法は、風魔法。


ルーナ・エクセドラ(女)29歳

重まぶたのような目で、黒い服をきている。

元魔少隊 月の隊の隊長

暗殺や隠密行動を得意とする

感情に流れやすく、フラウムがいないと暴走することが多い

短剣と拳銃を使い近接戦闘を得意とする


フラウム・エクセドラ(女)32歳

黄色い髪に淡い黄色の目、黄色の服を着ている

元魔少隊 黄の隊の隊長であり、魔少隊をまとめる大隊長である。

二丁の高威力単発銃を自在に操り戦う

常に冷静でいるように心がけているが何か深い過去がある。


ヴェント・エクセドラ(女)27歳

赤い長髪、赤色の服を着ている

元魔少隊 風の隊の隊長

自在に変化する槍を用いて近接戦闘を行う。

結構脳筋だが、頭の回転はものすごく速い


ウチェロ・エクセドラ(女)27歳

淡い水色の目をした、黒髪の短髪、水色の服を着ている

元魔少隊 鳥の隊の隊長

双剣を用いて戦う

魔少隊の軍師的存在


フィオレ・エクセドラ(女)24歳

桃色の服を着て、少し長いピンクのような、薄い赤のような色をした髪

元魔少隊 花の隊の隊長

長弓と剣を用いて戦う

5人のなかでは最年少


リウス(男)年齢不明

バングラス帝国の皇帝直属の殺し屋。 暗殺に特化したスキルを用いて相手を素早く殺す。

私は今、王国を出てある「場所」に向かっている。

トレースの魔法を使ったときに出た場所だ。

「はあ、また一人か。」

そんな独り言をつぶやいていると、どこからともなく声がした

「一人ではありませんよ。テネレッツァ様。」

出てきたのは、エルバフィーアだった。

「お久しぶりです。エルバフィーア様。」

「様はよしてください。今は貴方の従者なのですから。」

こうして、テネレッツァとエルバフィーアの二人旅が始まった。


―王城の応接室―

「で、話とはなんじゃ。アクアよ。」

不機嫌そうな顔をしながらアクアに問いかけると、アクアは恐縮したように答えた。

「実は、皆様に話しておかなければならないことがあります。恐らくもうそんなに時間がありません。」

その言葉に5人は息を吞んだ。


「今日はこの辺りで一泊しましょうか。」

二人がたどり着いたのは「竜の森」と呼ばれる森の中腹部あたりの川であった。

一人で、アイテムポーチから野営用の道具を出し、準備をする。

ちなみに、エルバフィーアは薪を取りに行った。

「なんだか懐かしいなあ、昔はヴィゴーレ様と二人で野営したこともあったっけ。」

感傷に浸りながら、焚火の準備をしていると、エルバフィーアが戻ってきた

「そういえばエルバフィーアって、呼びにくいよね。エルって呼んでもいい?」

エルバフィーアは「別に構いませんよ」と言いながら、焚火の準備をしていく。

「もうすぐでトレースの示された場所につくね。一体なにがあるんだろうなー。」

私はご飯を食べながら、何があるの想像していた。

「私にも、想像がつきません。何か自分を探す手がかりが見つかるとよいですね。」

川で体を洗い、何かしようかな、と思っていると、エルに止められた。

「さあ、明日も早いのです。夜更かしはよくありませんよ。テネレッツァ様。」

「はーい。おやすみなさい。エル。」

「はい。おやすみなさい。テネレッツァ様。」

私は床につくと早々に意識を手放した。

「さて、私も寝るとしましょう。風魔法、応用せよ、フィード・プロテオーネ(風結界)」

魔物や山賊に気づかれないように結界を張って寝た。


次の日

私たちはどんどん奥へと進んでいった。だが、一つ不思議なことがある。

「なぜ、魔物がこんなにもいないのでしょう。」

そう、奥へ行けば行くほど魔物が減っていくのだ。

「いや、減っていくというよりも、狩りつくされている?」

エルの背中に悪寒が走る。

さらに奥に進んでいくと、だんだんと視界が晴れていく。

「な⁈」

そこには、荒れ果て、崩壊し見るにも無残な

「都市」があった。

恐る恐る、その都市に入っていく。

都市のいたるところが破壊されている。そして、都市の中心部分と思われる場所に着くと、小高い丘の上に派手ではないが趣のある城が見えた。

「一体ここは何なのでしょう。ヴィゴーレ様と旅をしていた時にもこんな場所は見ませんでした。」

不思議に思いながら、あたりを散策していると。

「!危ない!」

エルが私を庇って倒れた。

「ど、どうしたの?」

いきなりの行動に驚きながらも、エルに連れられて、物陰に隠れる。

私の手を握るエルは微かに震えていた。

「何者かに、攻撃されました。しかもあれは、ヴィゴーレ様の使っていた武器に似た攻撃です。」

少しだけ物影から、周りを見る。だけど周りには誰も居なかった。

「周りに誰も居ませんよ?エルの気のせいじゃないの?」

そう思ってエルを見ると、確かに服が破れていた。

「お前たち、ここで何をしている。」

後ろから、声を掛けられ、振り向くと、全身黒色の服を着た、黒髪の二重まぶたのような目をした、私と同い年位の少女が立っている。そしてその子の持っている銃の銃口が目の前にあった。

「質問に答えろ、お前たちは何をしている。」

私はどう答えればいいのかわからなかった。

この人からは、殺意がむき出しである。何を言っても殺されそうなくらいに。

手の震えが止まらない、始めてだ、こんな感触は。

「やめなさい、その子たち怖がっているでしょう。」

その後ろから出てきたのは、私より年上だろうか、今度は黄色を主とした服を着ている、

黄色い髪に淡い黄色の目をした、30歳くらいの女性だった。

「だが、この者達は侵入者だ。我が国に無断で入ってきたのだぞ。」

「まあまあ、まずは話を聞きましょう。この子たちも何か事情があるようだし。」

その黄色の女性に連れられて、私たちは一軒の家に入った。

「お、帰ってきたか、ってなんか増えてるじゃん。」

入ってきた私たちに一番に話しかけてきたのは、赤を主とする服を着た、赤い長髪の身長が高めの女性である。

「危なかったのよお、ルーナがこの子たちを撃とうとするから。」

その部屋の中にいた二人はまたか、といった顔をしている。

「だ、だって、こいつらが勝手に入ってくるから。」

また、私たちに銃口を向けようとしていると

「まあまあ、落ち着きなよ。今ここでやりあっても意味ないでしょ。」

水色っぽい服を着ている、淡い水色の短髪の女性が宥めながら言ってきた。

「まあ、まずは自己紹介を。私はフラウム。ここのリーダーをやっているわ。そこの黒いのがルーナ、赤い服のがヴェント、でルーナを必死に宥めているのがウチェロ、あともう一人いるんだけど今は居ないから、あとで」

紹介された人たちは私たちに軽く会釈をしてきた。

「次は私たちですね。私はテネレッツァ。こっちはエルバフィーアでしゅ。あ、です。」

「あ、噛んだ。」

エルが言わなくてもいいことを言ってくる。

赤面していると、みんな笑っていた。

ふと、ヴェントの方を見ると私のことを、獲物を狙うかのような目で見てくる。

「な、なんですか。」

「可愛い子達だね。」

(なんか怖い。)

「こらこら、ヴェント。変な目で見ないの、この子の教育に悪いでしょう?」

フラウムがヴェントを止めようとしている。中々癖のある人達だなあと思っていた。

「じゃあ、ここについて話そうか。」

フラウムは少しやるせない表情で、話し始めた。

この国の名前は、鬼竜国エクセドラ。鬼族と竜族の両方の血を受け継ぐ者が代々王を務めてきた。

人族も多いが大半は鬼族と竜族だった。

なぜ今、こんなにも荒廃しているかというと14年前、謎の襲撃に遭い、王国は滅びてしまったとか。

「そういえば、あなたたちテンペンシア連邦国の人なのでしょう?アクアっていう人知らない?」

(な、なんで知ってるの?)

「ふふ、なんで、って顔してるわね。あの森から出てくるのは大体あの連邦国の人だからだよ。」

私は悩んだ。アクア様のことは知っているがそれを言ってもいいものか。どうしたものかと考え込んでいると

「知っています、その者は連邦国にいますよ。女王陛下と一緒にね。」

その一言を聞いて、フラウムは胸をなでおろした。

「そうか、そうでしたか、無事にたどり着いたのですね。あなた方に感謝しなくてはなりません。あの方の生存を知ることが出来たのですから。」

なんと、この場にいた全員が私達に頭を下げた。

「フラウム様、頭を上げてください。私達こそ、このような大事な場所に無断で立ち入ってしまいすいませんでした。」

こうして、和やかな雰囲気のまま、話は進んでいった。


ドーーーン!!

みんなで昼食を取っていると、私たちの来た方向とは違う方向の森から、爆発音と土煙が上がった。

「な、なに?なんか来たの?」

さっきの話から、また何者かによる襲撃かと思ったが、返答は意外なものだった。

「あー。さっき紹介できなかった最後の一人の仕業ね。また派手に暴れているのかしら。」

何でもないように返事をし、外に出ていった。「私たちもついていきましょう。何者なのかとても興味があります。」

怖気ついている私とは対照的に、エルは興味津々だった。

森の中に入っていくと所々穴が開いている。

「ありゃあ、また派手にやってるわね。「獄」

の連中にばれないといいけど。」

フラウムは何かを危惧していたようだったがルーナがすぐに否定した。

「あいつらにはここがばれることはありません。絶対に」

だんだんと爆発音が近づいていく。

注意深く近づいていくと、そこには大きな竜と対峙している一人の女性がいた。

桃色の服を着て、少し長いピンクのような、薄い赤のような色をした髪の女性である。

その顔にはまだ幼さが残っていた。

その戦いを見ていてもフラウム達は全く助けようとしなかった。

「助けなくてよいのですか?」

心配なので、ウチェロと呼ばれていた人に聞いてみると

「ん?ああ、大丈夫だよ、あいつは強いから。」

何でもないように返された。

だがその言葉の意味はすぐに分かった。

「アルゲオ・フロース(凍える花)」

竜の周りに氷の花が無数に形成されていく。

「どっかーん!」

女の子の不思議な掛け声とともに花が爆発した。

「とどめだー!アストラ・フロース(星花)」

最後の一撃と共に、竜は灰となった。

「た、確かに強いですね。」

だが、私はその竜の死に方に何か違和感を覚えた。

(なにか、胸騒ぎがする。)

「なにか、いやな予感がします。早くここから離れましょう。」

私が言うよりも先にエルがそうフラウム達に告げた。

「わかりました。上位精霊のあなたがそういうのなら。フィオレ、早く戻りましょう。」

「はーい。」

桃色の服を着た女性は軽く返事をして戻ろうとしたとき。

背後で何かが動いた。

「っ!危ない!プーラ・エルドゥーラ。氷砲。

アイス・カヴェア(氷檻)!」

とっさにプーラ・エルドゥーラを構え、フィオレと呼ばれた女性と「何か」の間に氷壁を形成する。

「グルルルル、かああああ!」

少し時間を稼ぐことはできたが、すぐに壊され、竜が出てきた。いや、竜の形をした、アンデットと言った方が正しいだろうか。

「な、なんなの。こいつ。」

私は知らない、死んだはずの魔物がすぐにアンデット化するなんて。

「取り敢えず、ぶっ飛ばすわよ。ルーナ、やっちまいな。」

「了解、ルナリス・コンステッラーティオ(月の星座)」

六つの弾を手持ちの銃から撃ち、満月を描く。

「穿て、月よ!」

眩い光と共に、レーザーが死竜に向かって読んでいく。

だが、謎の魔法壁に阻まれた。

「やれやれ、私の竜に傷をつけないでくれよ。」

煙の中から出てきたのは、フードを被った謎の男だった。

「何者だ。」

こわばった顔でウチェロがそう聞く。

「これから死に逝く者に自己紹介が必要か?」

だけど私はその男に見覚えがあった、

(どこかで見たような。)

「まさかこんなところに生き残りがいるとはな。アクアはどこだ?」

どうやらその男はアクアを探しているようだ。

「答えるとでも?」

「確かに。フラウム、お前は口が堅いからな。流石、魔小隊の大隊長と言ったとか。」

「魔小隊?」

「元々我々が所属していた隊のことよ。フラウムは大隊長を、ルーナは月の隊を、私は風の隊を、ウチェロは鳥の隊を、そしてフィオレは花の隊を、それぞれ率いていたんだよ。」

知らない言葉を聞いた私にヴェントがそう説明してくれる。

「勝てると思っているのかしら?あなたは一人、こっちは7人。降参するなら今のうちよ?」

フラウムは勝ち誇った顔で謎の男に告げた。

謎の男はその言葉を嘲笑するように言う

「我がわざわざ一人でこんなところに来るとでも?」

謎の男が指を鳴らすと、森の木々の間から次々と刺客が現れた。大体100ちょいだろうか。

「さあ、貴様らを捕らえて帝国に連れていくとしよう。行け!我が部下達よ。」

男の合図とともに敵が襲い掛かってきた。

「その程度の人数で我々を倒せるとでも?」

エルはやる気満々で魔法を準備している。

「ウチェロ、指示を。」

「了。発動、パラレルズ・コギタティオ(並列思考)」

「ぶち殺してやる。せえええい!」

刺客の一人が、動くことが出来ないウチェロを殺そうと狙うが

「誰が、誰を殺すって?」

刺客の短剣が届く前にヴェントの槍が突き刺さった。

「この人たち、すごく連携が取れている。」

エルが珍しく感心している。

ウチェロが軍師として指示を出し、ヴェントがウチェロを守る。そしてフラウムが後衛として、フィオレとルーナが前衛として、とても調和がとれている。

「死竜、行け奴らを食い散らかしてしまえ!」

激しい雄叫びと共に、竜がブレスを吐いた。

熱く、痺れるようなブレスである。

「支援魔法陣展開、マギア・カヴェア(魔法壁)」

全員を覆う様に壁を形成する。

ふと周りを見渡すとあの男がいない。

「どこかで見たことがあると思ったら、テンペンシアの王女じゃないか。こいつはいい。皇帝にちょうどいい手土産一つ増えた。」

気が付くと後ろに謎の男がいた。

「シャドウアサルト!」

「ぐはっ。」

強烈な一撃がテネレッツァに入った。思わずその場に倒れこむ。

「テネレッツァ様!」

エルが駆け寄り、守るようにして立つ。

「私のことはいいです。それよりもあの男を倒してください。」

また、あの男の姿が見えなくなっていた。

「どこだ、どこへ行った。」

全員で刺客の相手をしながら、敵を探す。

「「灯台下暗し」案外近くにいるかもですよ。」

ウチェロが聞いたこともない言葉を発した。

「ん?そこか!風よ。フィードバーニア」

「なに!」

テネレッツァまであと一歩というところまで近づいていた男はヴェントの魔法で吹き飛ばされた

「なぜ、わかった。」

「風、だよ。」

「風だと」

「不自然に風が通っていないところがあったからね。」

(何という戦闘能力。これがあのお方をも苦しめた魔小隊か。)

「リウス様、皇帝陛下が至急お戻りになるように、とのことです。」

刺客の一人にそう言われた、リウスと呼ばれた男はいきなり踵を返した。

「ちっ。また、捕らえに来てやる、後その竜はくれてやろう。」

リウスが何かを唱えるといきなり死竜が暴れ始めた。

「おいおい、とんでもないもんおいていきやがって。」

ヴェントが呆れたような顔で見上げていた。

竜は先ほどよりも数段大きくなっている。

下手したら小城ぐらいはありそうだ。

「ねえねえ、あれ相手してもいい?いいよね?ね、ね」

なぜか、フィオレはやる気満々である。

「はあ、まあいいわよ。ただし、無茶しないでよ?」

「それは保証できません!」

自信満々で言いながら、長剣を構え突撃していく。

「花の剣、フロース・アネモネ(アネモネの花)!」

フィオレが風を纏いながら目にも見えない速度で死竜を切り刻んでいく。

「ほらほらー。どんどん行くよー!」

「あの人は、戦闘狂なのですか?」

その戦いぶりに私は思わず質問してしまった。

「まあね。この5人の中では最年少なのだけど。多分一番強いんじゃないのかな。」

フラウムは呆れたように言う。確かに、最年少ではありそうなのに、この中で一番強いとは。だけど、一つ疑問が残る。なぜこれほどの実力者が揃っていながら、国は滅んだのだろう。なにか理由があるのだろうか。

そんなことを考えている間に死竜の体はどんどんボロボロになっていく。なんか、可哀想になってきた。

(誰か、誰か我の声が聞こえる者はおらぬのか。)

脳内に誰かの声が響き渡る。

「だ、誰ですか?」

(我は竜種のバーレ。今戦っている竜である。頼む、こやつを止めてくれ、我にはまだ伝えなければならないことがある。)

なぜだかわからないけど、この話を聞かなければならないと思った私は

「フィオレ様、戦いをやめてください。」

大声でそう叫んだ。

「え?」


(ふう、すまぬな、と言っても我にそんなに話せる時間が残っておらん。簡潔に伝えるからよく聞いてくれ。)

どうやら、バーレの声は私にしか聞こえていないらしい。

「この竜はなんて?」

ルーナ達は声が聞こえないので私が声を伝えることになった。

「時間がないから簡潔に伝えるそうです。」

(バングラス帝国に気を付けろ、奴らは「獄」

の連中と手を組んで、「深淵」を蘇らせようとしている。)

「えーと、バングラス帝国が「獄」っていうのと手を組んで「深淵」を蘇らせようとしている、そうです。」

その言葉にフラウムの顔が青ざめた。

「う、そ、でしょ‘‘‘‘」


今回の章はいかがでしたか?

面白かったり改善点等があればぜひ感想欄で教えてください。

今後ともよろしくお願いします。

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