第十一章 驚愕の事実
あの怪物との闘いのあと、表彰式は日を改めて行われた。その日は後処理で先生達がとても忙しそうだった。
ちなみにあの三人はと言うと
「くそ、なぜ我がこんな目に合わなくてはならないのだ。」
三人とも反乱の容疑で王都警備隊の牢にぶち込まれていた。
「えー、では表彰式を行います。優勝した魔法技術研究部!前へ」
少しおめかしをした三人が前へ出てきた。
「うう、めっちゃ、緊張する。」
「同感よ、アローナ、私お腹痛くなってきた。」
それもそのはずで、壇上には女王陛下及び四神がいるのだから。
「テネレッツァは緊張しないの?」
「私にとってはいつものことですので。」
「ああ、そうだったわね。」
ラーナ様とそんな話をしながら、壇上に上がった。
「表彰状、魔法技術研究部、そなたらは日ごろの成果を見事に発揮して、優勝した。よってここにその名誉を称え、表彰状を送る。」
クロノア様から直接渡された表彰状を、貰ったアローナ様はガチガチに固まっていた。
「そして、優勝した者は願いを一つかなえることが出来る。さあ、お前たちの願いを言ってみよ。」
はっ、と三人は思い出した。いろいろありすぎて忘れていたが、優勝チームは願いをかなえてもらうことが出来るのだ。
「テネレッツァ、自分の願いをいいな。今回、一番頑張ったのはテネレッツァなのだから。」
「そうよ、私とアローナは、タルトナ先生に何かしてもらうから。」
二人に言われ、正直に自分の願いをつげることにした。
「では、クロノア女王陛下、いや母上、私と母上の関係を、今、この場で正式に発表してください。」
この一言にクロノアは、苦笑いをしながら、天を仰いでいた。
「そうか、そうくるか。」
「よろしいのでは?いいころ合いでしょう。」
エリカに言われ、クロノアは諦めたように、拡声魔法を使い、喋り始めた。
「みなに黙っていたことがある。妾は見ての通り、結婚もしておらんから、子がおらん。
だからこの子を妾の子として、王族の子として、養子に迎えた。」
拡声魔法で響き渡るその声に国民はおろか、教師までもが、絶句した。
ひと時の沈黙の後
「「「「「「「え!えええええ!!」」」」」」
会場に全員の驚きの声が響いた。
「確かに、最初に聞いたらみんな、そんな反応をするわよね。」
席から見ていた、ヤーラは笑いをこらえながら言った。
「そなたの願いは、それでいいのじゃな?」
「はい、私はこれで構いません。」
クロノア様の問いにしっかりと答えた。
そしてその返事を聞いたクロノアの顔はにこやかであった。
「では、以上で表彰式を終わります。」
司会の言葉により、今年の部活対抗魔法武術祭は幕を閉じた。
そして、私が王族の養子であることが周知されてから数日後、私は急に王家に使える審問官に呼び出された。
「一体、何事だろう。審問官に呼び出されることをした覚えはないんだけどなあ。」
ちょっとめんどくさい、と思いながら、私は審問官長のところへ向かった。
部屋の前まで来るとノックをした。
「失礼します、テネレッツァです。」
部屋に入ると壮年の男性とその部下と思われる女性がいた。
「よく来たな、まあまずは座れ、話はそこからだ。」
壮年の男性に促され、反対側の席へと座る。
「それで、今回はどのようなご用向きでしょうか。」
私が一番知りたかったのは呼ばれた理由だ。
「長々と言うのも面倒なのでな。単刀直入に言おう。お前を国外追放とする。」
その男性の一言に私は心の中の何かが折れた気がした。
「ど、どういうことですか。理由を説明してください。」
何をしたわけでもないのにいきなり国外追放と言われた私は理由を聞こうと、その男性に迫った。
その男性と部下の女性の説明は、こうだった。
剣術部の三人を尋問した時、テネレッツァに操られたと証言、また、三人及びアクセ・マギアから、テネレッツァにの魔力残滓が検出、さらに日ごろからほかの部活への嫌がらせや妨害をしていた、など。
挙句の果てには、アローナとラーナを、操りあえて自分が願いを聞けるようにしていたのでは?女王すらも操っているのではないか。
など、聞けば聞くほど、冤罪の祭りだった。
「そんなことしていません!誰かに騙されているのです!」
私は必死に冤罪を晴らそうとしたが、聞く耳を持たなかった。
「これはすでに女王陛下も了承していることである。この決定は覆らない。」
その一言で私は絶望した。
「今日にでも荷物をまとめ、追放される準備をしておくのだな。」
そう言い放つ部下の女の顔はとても不気味であった。
王城に戻ると、私は一目散に部屋に駆け込んだ。そして鍵をかけて誰も入らないようにした。
「どうして、どうしてこんな目に、、、」
思わず涙がこぼれる。抑えようとしても止めどなく溢れる。
一人で涙に溺れていると、不意にドアがノックされた。
「テネレッツァ、ちょっといいかな。」
その声は、エリカ様だった。
恐る恐るドアを開けると、エリカ様が杖を持って立っていた。
「少し、時間ある?」
エリカ様に連れられてきたところは王城の裏手にあるエリカ様の秘密の花園だった。
「ここはね、誰も知らない私だけの場所なの。そして、、」
エリカ様は「解錠魔法」を使い、霧を払った。
そこから見えるのは、絶景を超える絶景、そして上を見上げても見きることが出来ない大樹、どこまでも続く海だった。
「あれは神世の樹。ほとんど誰もたどり着くことが出来ない場所。そしてこれは、そこに居る、ある一族の長から貰った杖。」
エリカ様はその杖を私に渡して言った。
「この杖の名は「世界の理」これからのあなたの旅にきっと役に立つ。」
「やっぱり、私は出ていかないとだめなのですか?」
私はすがるような目でエリカ様に言うが、エリカ様は首を横に振った。
「ごめんね、助けてあげることはできない。これは審問所の決定だから。」
また、涙がこぼれる。膝から崩れ泣いていると誰かが後ろから抱きしめてくれた。
「テネレッツァ、辛いのは分かる、だが今は我慢してくれ。」
振り返るとそこには、涙を必死にこらえている、母上がいた。そして、今度は正面からしっかりと抱きしめてくれた。
「本当は、こんなことしたくなかった。」
母上は私の耳元で掠れるような声で言った。
「さあ、急げ、荷造りは済ませてある。夜のうちにここから出れば、誰にも見つかることはない。お前があの日誓った旅にでるといい。」
私はこの日、また家族と居場所を失った。
「こんなことが許されてたまるものか!」
テネレッツァがいなくなった後、王城の応接室ではテネレッツァがぶちぎれていた。
「落ち着いてください。今はもうどうしようもありません。こんなに冤罪を造られ、審問所まで味方に付いているようでは。それに、あの件もありますし。」
必死にサーニャがクロノアを抑えている。
「妾はまた、約束を守ることが出来なかった。」
「ちょっとよろしいでしょうか。」
そこに空気を読まずに入ってきたのは、アクアだった。
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