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第九章 部活対抗魔法武術祭 後編

待機室にて、

「ふう、なんとか私の手の内を見せるだけで済んだね。次はラーナの手の内だけで勝ちたいわね。」

「やあ、頑張ってるじゃないか」

三人で話をしていると、タルトナ先生が入ってきた。

「おかげさまでなんとか一回戦は突破できました」

「まあ、油断するんじゃないよ。って言っても無駄か。テネレッツァいるしね。」

タルトナ先生は私に期待に満ちた目でこちらを見つめてくる。

「言われなくてもわかっています。タルトナ先生。ちょっと本気を出すのは剣術部と対戦する時だけですから。」

4人で次の試合の話をしているとヤーラが呼びに来てくれた。

「次の試合が始まるよ。みんなで見に行こう!」

ヤーラに連れられて、観客席に行くと、もう試合は始まっていた。

「クアデルノ、リブロ、行くわよ!」

「「はい!」」

「テラバース」

「印魔法、業火球」

「フィードバーニア」

3つの魔法が相手に向かって飛んでいく。

「「「アクリライト」」」

対する美術部も魔法を唱え、自分たちを囲むように展開していく。

「顕現魔法、ゴーレム」

エテルニテは、水魔法の詠唱をしながら、顕現魔法を発動させた。なんと二重詠唱である。

その間にもお互いがお互いに向かって魔法を行使している。

そのさなか、アルティが戦局を変える魔法を放った。

「水魔法、応用せよ。インベル!」

アルティの唱えた魔法にスクリヴェーレ達は驚愕している。

その時、会場に雨が降り始めた。しかもスクリヴェーレ達の周りだけである。

「ほう、考えたな。」

観客席から見ていたクロノアはにやりと笑みを浮かべる。

「雷魔法、ラインドラ!」

アルティはあえて地面の水に向かって魔法を放った。

「なめているのですか?そのような精度で私たちを倒せると思わないことね!」

そして、反撃の魔法を打とうと足を踏み出した瞬間、スクリヴェーレが倒れた。

「どうした、部長!」

リブロが駆け寄ると、スクリヴェーレはすでに意識を失っていた。

「印魔法、刻印、強化!」

クアデルノがリブロに向かって魔法を放った。そしてその背中には魔法の刻印がされている。

「なにをしているの!今は相手を倒すことだけを考えなさい!」

リブロはその一言で我に返り、またエテルニテ達の方を向いた。

「だけどきつくないか?4対2だぞ?」

「そんなのわかってるわよ。分かってるけど。」

クアデルノはまだ諦めていない顔をしている。

「ここで一矢報いないと女王陛下に面目が立たないでしょうが!」

「そうですね一矢報いてやりましょう。あわよくば勝ってしまいましょう。水魔法、応用せよ、顕現せよ、水龍!」

リブロが魔法を使い、水龍を作り出した。首が長く二本足で立っている、とても魔法で作ったとは思えない迫力だった。

水龍の雄叫びが会場全体に響き渡る。

「ゆけ、水龍よ、アクアバースト!」

水龍から放たれた魔法の威力は強大だった。

「顕現せよ、絶壁!」

エテルニテも水龍の一撃に対抗するため壁を構築するが。

「ぐはっ。」

むなしくも壁は貫通し、アルティに直撃した。

「ま、まだだ、まだやれる。ラインド」

魔法を発動し、反撃をしようとしたとき、クアデルノの一撃によって吹き飛ばされた。

「もういい、ぶっ飛ばしてやる、私の力のすべてを使って。」

エテルニテはそれだけ言うと魔法の発動準備を始めた。

「まずい、止めるぞ!印魔法、大爆炎。」

「水龍、咬みつけ!」

「そうはさせない。応用せよ、水壁。」

ディーゼが割って入り二人の魔法を必死に止める。

(まだか、まだですか。エテルニテ先輩。)

止めている時間は10秒にも満たなかったがディーゼにとっては10分にも1時間にも思えた。

「ありがとう、ディーゼ。発動せよ、顕現せよ、我が呼ぶ。その名は、フランマ・ドラコ!」

空中に魔法陣が展開され、巨大な炎龍が出てきた。リブロが魔法で作ったのとは全く違う本物の龍である。

「燃やし尽くせ、インフェルノ!」

「「ぐぁぁぁーー!」」

二人は龍の魔法によって壁にたたきつけられた。

「そ、そこまで!勝者、美術部!」

会場から歓声が沸き起こる。それもそうである。普段では絶対に見られない戦いをこの目で見ることが出来るのだから。

「す、すごいですね、、」

その試合を見ていた、魔法技術研究部のみんなは、はっきりいってひいていた。

さあ、次の試合が始まるかな、と思っていると会場にアナウンスが響いた。

「えー、先ほど、美術部と体術部から連絡があり、両チームともに棄権するとのことです。」

(え?なんで?)

会場にどよめきがはしる。

「おい、なぜだ。」

「そうだそうだ、試合をしろ!」

会場から文句が飛び交っている。

「一体どうして、、、」


待機室にて

「パロラ生徒会長、美術部と体術部が棄権したそうです。いかがいたしましょう。」

身長170㎝くらいのクールな青髪の男の子

カーミラはパロラに問いかけた。

「いかがいたしましょう、ってどうすることもないわ。これはこの魔法武術祭が終わり次第、剣術部を調べる必要がありそうね。」

そういうパロラは苦虫をかみつぶしたような顔をしている。

「そろそろ、私たちの番ですよ。魔法技術研究部との試合、楽しみです。」

大事な試合の前なのに緊張のかけらもないロマリアは、自身の剣を磨いていた。

「皆様、そろそろお時間です。準備を、お願いします。」

使用人にそう言われ準備を始める。

「さあ、始めようか。」



一方、魔法技術研究部はと言うと

「ラーナ、テネレッツァ。準備できてるわね?」

「ええ。」

「もちろんです、アローナ様」

各々の準備を終え、いつでも試合が始められるようにしていた。


「では、魔法技術研究部対生徒会の試合を行います!選手の入場です。」

「さあ、見せてもらうぞ。パロラよ。」

観客席にはパロラの母と父の姿が見える。

パロラに期待を寄せているようだった。

「平民風情に負けるなどあってはならんからな」

その視線に気が付いたパロラは誰にも聞こえないような声でつぶやいた。

「分かっていますよ。父上。」


「それでは、魔法技術研究部対生徒会、はじめ!」

試合開始の合図とともに、アローナが盛大に魔法をぶっ放した。

「氷魔法、アイシクル・マジック(氷棘大地)!」

地面を伝う様にして相手に氷のとげが伸びていく。

「支援魔法、マジックブースト(魔法強化)。」

「物質魔法、土石流。」

対するロマリア達も負けじと魔法を放ち相殺しようとした。

「フィードバーニア。ラインドラ。」

後ろから、追い打ちをかけるようにパロラが魔法を飛ばしてくる。

「まだまだいきますわよ。創造せよ、応用せよ、トーレント・フルゴル(雷嵐)!」

上空に雷嵐が巻き起こる。しかしこれもまた、会場だけであった。

「なんなのよもう。さっきから天候ばっかりいじってきて。」

アローナはお怒りの御様子である。

「ロマリア、行ってきていいわよ。あの人たち魔法しか使えないし、アローナは私たちが止めるから。」

「りょーかい。」

ロマリアは一振りの剣を出すと構えをとった。

「ふう、風神一閃。」

ものすごい速度で、ラーナ達の方へと走り、切ろうとする。アローナがカバーに入ろうとするが、

「フィード、3連」

横から、魔法を放たれ、横槍を入れられた。

「あら、あなたの相手は私たちですわよ。」

「うーわ、めんどくさ。」

(まあ、ラーナいるし、大丈夫でしょ。)

一方、ラーナ達は

「応用せよ。炎魔法、炎壁」

「ぐっ。」

ロマリアの斬撃をぎりぎりでかわせている状況だった。

「テネレッツァ、ちょっと時間を作って。」

「わかりました。」

テネレッツァは懐から一冊の魔書を取り出した。

「魔書に刻まれし魔法よ、発動!マギア・パリエース(魔法壁)」

テネレッツァとラーナの周りに魔法陣が四つ展開され、ドームのような壁を作り出した。

(ありがとう。これで、発動できる)

「さあ、暴れましょう。」

ラーナの髪の毛を結んでいた二つの輪が剣へと変わっていく。

「は?ど、どこから。というか、その姿は。」

ラーナのその姿を見て段々とロマリアの顔が青ざめていく。

「し、執行人。」

会場にどよめきが走る。

そして私もその名前に聞き覚えがあった。


 時は少し遡る

私が学園の帰りに王都冒険者ギルドに行った時のこと。

 どんな依頼があるのかと気になって掲示板を見た時、そこにその名前はあった。

「捜索願、執行人、年齢15歳前後、身長160~170cm、二刀流剣術の使い手。」

「この人って誰ですか?」

私はその人が気になって、カレラさんに聞いてみた。

「ああ、その人はね、いろんな人の悪事を暴いては断罪してきた人なのよ。だから、執行人。私たちも探しているのよ。大方、ギルドマスターがうちに欲しいんでしょうけど。」


「まさか、ラーナ先輩が執行人だったとは。」

さすがのテネレッツァも言葉が出なかった。

「さっさと終わらせましょ。」

双剣を構え、魔法を唱える。

「炎魔法、応用せよ。炎速」

私の目の前から消え、気づいたときにはロマリアの後ろにいた。

「は?ぐふっ。」

背中に二撃入れられ、そのまま倒れた。

「わーお、やっぱりみんな強いですね。」

「ちょっとそんなこと言ってないで、こっちを助けてよ。めっちゃきついんですけど。」

アローナはひたすらにパロラとカーミラに魔法を打たれていた。

「ウィンド、5連」

「アクアラ、7連」

二人がひたすらに魔法を打っているがアローナは間一髪でよけたり、うちけしたりしていた。

「な、なんで、なんで倒れないのよ、あなた不死身になの?」

「はいはい、今行きますよ。炎速」

後ろに回り、二人まとめて倒そうとしたとき、「パロラ様!」

ディーゼがパロラを庇い、ラーナの攻撃をもろに受けた。

「ウィンド。」

パロラがラーナを吹き飛ばし、態勢を立て直した。

「やってあげましょう。最高の一撃を。フィードバーニア。」

パロラがいきなり自身の足元に魔法を放ち、空中に飛び上がった。

「我求、我は雷となりて敵を討ち滅ぼさん。ラインドバースト。」

「ほお、この年で、超級魔法を扱える者がおるとは。」

クロノアは感嘆の声を上げた、だがその横にいたアクアは顔を引きつらせている。

「この国って、こんな化け物しかいないんですか?」

「化け物とはなんだ、化け物とは。優秀な子といってくれんかのお。」

同じように、感心し、期待の目を向けている者が観客席にいた。

「そうだ、それでこそ、我が娘。貴族が平民に負けるなどあってはならんことなのだから。」

無数の雷が槍となり、アローナ達を襲う。

「おいおい、あんな力を隠してたっていうの?」

パロラの魔法にだんだんと押されていく。

(この子を、テネレッツァだけでも守らないと)

「相打ち覚悟で行くわよ。ラーナ!」

「おっけー」

二人は覚悟をきめ、ゆっくりと前へと歩み始める。

私も同じように前へと行こうとすると、なにか硬いものに当たった。

「いったーい、って氷の壁?まさかこの魔法って、、、」

パロラの魔法は止まることなく勢いを増していく。

「はやく、はやく倒れなさいよ!」

魔法の力を強め、倒そうとするが、アローナ達の歩みは止まらない。

「氷魔法、氷鳥の舞」

「二刀流剣術、乱斬桜華」

アローナの魔法により、パロラの魔法がかき消され、そこにラーナの一撃が入った。

だが、パロラは倒れなかった。

「ま、まだです。まだ倒れるわけにはいきません。我求、我は風となりて敵を吹き飛ばし敵を切り刻まん。ウィンドバースト」

そう唱えるといきなり暴風が発生した。観客すらも吹き飛ばしそうなほどの勢いの風魔法である。

「こっちこそ、負けてられないわよ。氷魔法奥義、氷竜、アイシクル・バースト」

なんと、氷の竜を作り出し、そこから、超級魔法級の魔法をぶっ放した。

「今年は過去一番で面白いかもしれんかのう。」

観客席から見ていたクロノアは笑いながら言った。それに同調するようにエリカも言葉を重ねる。

「確かに、でもこうなってくると死人が出ないか心配ですよ。」

確かに、ここまでの魔法と剣術のぶつかり合いになってくると、本当に死人が出そうで怖い。一体、本当に死人が出たら、どうするのだろう、とアクアは二人の話を聞きながら思っていた。

「大丈夫ですよ、私の結界魔法が張ってあるので、死にかけることはあっても死ぬことはありませんので。」

サーニャは胸を張りながら、みんなに説明をしていた。

(やっぱりこの国の人て化け物しかいないのかな)

そして二人の魔法が最高潮に達したとき、大爆発が起きた。

そして、煙が晴れると、立っていたのはたった一人だけであった。

「しょ、勝者、魔法技術研究部!」

会場に歓声が巻き起こり続けてアナウンスがされた。

「えー、決勝戦は昼休憩をはさんだ2時ごろに行います。」

すると、観客たちは各々ご飯を食べにいったりし始めた。

一方、待機室にて

「大丈夫ですか?アローナ様、ラーナ様。」

私は、横になっている二人の介抱をしていた。

「はは、だいじょばないみたい。あの試合の後から、力が出ないんだよね。」

アローナは悔しそうな顔をしながら手をパーにしたりグーにしたりしていた。

そして、ラーナは返事を返す余裕すらないようだった。

「ねえ、テネレッツァ。お願いがあるのだけど」

アローナは疲れ切ったその顔でこちらを見て言ってきた。

「何ですか?」

「次の試合、棄権してくれないかな?あなたがいくら強いといっても、あの三人には多分勝てない。だから、あなたがけがをする前に棄権してほしいの。」

アローナはそれだけ言うと目を閉じてしまった。

そして、テネレッツァはボロボロの二人の姿を見て思った。

(勝って、勝って見せる。この二人の努力を私は無駄にしない。)

私は「あの武器」を背負い、決勝戦の準備を始めた。


「この調子なら、決勝戦も余裕だな。」

待機室で飯を食べていたスパーナはクガンからの報告を受けて、二人に言った。

「はい、あいつらをボコボコにして、二度と立ち上がれないようにしてやりましょう。」

クガンのその一言にスクードも同調するように頷く。

「そろそろ、準備をお願いします。」

使用人にそう言われ三人は準備を始めた。

今回の章はいかがでしたか?

面白かったり改善点等があればぜひ感想欄で教えてください。

今後ともよろしくお願いします。

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