凶星
~フェンリル王国・ジンハウス〜昼
アン「はい!昨日もこんな感じでジンに謝られて・・・僕も出てきます!」
ビリー「あっあぁ・・・」
~フェンリル王国・ジンハウス・周辺〜昼
アン「咄嗟に出てきてしまった・・・ビリーさんには悪い事したな」
アンは立ち止まり思いに耽た。
アン「みんな謝ってばっかり誰も悪くないのに・・・はぁ・・・でも」
ジンは書斎のデスクから立ち上がり、アンの唇を人差し指で抑えた
『それ以上言わなくてもアンの気持ちは分かっているよ』
アン「ジンさんに人差し指で抑えられるとは!」
アンは昨晩のことを思い出し少しにこやかになった。
アン「って俺は何を考えてるんだ・・・こんな時は修行をして気を紛らわせよう。あの時も魔術は使えなかったけど心術は使えたし、もしかしたら心術の時代が来るかも知れないからな!」
アンが移動していると後ろから目を細めて眺めている人物がいた。
???「みーつけた」
~フェンリル王国・郊外〜昼
アン「よし今日はこの辺で修行するか」
アンは竹林の中で数時間修行した。昨日の事を思い出す事もあったが、全てを無にし修行に打ち込んだ。
アン「」
アン「刃断」ドサッ
竹は綺麗に半分に割れた。
アン「よし多少は板について来たかな、でもまだまだ体力が持たないや」
アンは地べたに座り混み、休憩していると後ろからこちらに歩いてくる男性に声をかけられた。
???「お久しぶりですね。こんな所で修行とは威勢が出ますね」
アン「あなたは!!!フリーズ副団長」
フリーズ「覚えてくれていたのですね。嬉しい限りです」
アン「な、何のようですか」
フリーズ「そんなに怖がらないで下さい。私と同じ騎士団の仲間じゃないですか。まぁ確かに色々とありましたが」
アン「怖がってなんか」
フリーズ「フフまぁいいでしょう、じつは修行のお手伝いをしようと思いましてね」
アン「修行のお手伝いですか?」
フリーズ「えぇ、どうやらあなたはジンさんと同じ心術を使いになられていると噂を耳にしましてね。私も心術に関して恥ずかしながら知識がないもので、修行のお手伝いをする中で心術について勉強をしたいと思いまして・・・ぜひとも前回のお詫びも含めて」
アン「そ、そうだったんですね、ありがとうございます」
アンは少し気味が悪がったがフリーズの提案を受け入れた。
アンが立とうとするとフリーズが手を差し伸べてくれた。アンがその手を握ろうとするとフリーズは呟いた。
フリーズ「では早速心術の力を拝借」
アン「え・・・」
フリーズは握ったアンの手首を一瞬で凍らせた。
フリーズ「フフフそれを心術の力で溶かしてみて下さい」
アン「な、何するんですか!?」
フリーズ「心術を使いこなせれば、怪我も治癒出来ると聞いたことがありまして」
アン「まだ僕はそんなこと出来ないです!」
フリーズ「あらーそれは残念ですね。それなら仕方ありません」
フリーズが一間をおいて言った。
フリーズ「それなら一層手首ごと切り落としてしまう方がいい」
フリーズは腰に携えていたレイピアを抜いた。
アン「な、なにを!」
フリーズ「自分でも自惚れてしまいますよ、この魔術の完成度。手首を凍らせても痛みが生じないなんて。完全に手首部分つまり神経まで凍りついて痛みすら忘却しているなんて。感動です」
フリーズはレイピアの刃を手首に近づけた。
フリーズ「でも流石に砕けた時は痛いので我慢して下さいね」
フリーズはレイピアをアンの凍った手首に突いた。
アンは凍っていない手で剣を抜き、レイピアの攻撃を受け止めた。
フリーズ「ほぅーやりますね。流石ジン小隊の一員」
アン「今すぐやめて下さい」
フリーズ「やめる訳ないじゃないですか。私を侮辱した罪に対して」
アン「罪?」
フリーズ「それすらお忘れですか!?なんと腹立たしい・・・いいでしょう。手首だけで許そうかと思っていましたが、ここで貴方を殺めましょう」
フリーズとアンの周りの温度が急激に下がり始めた。
フリーズ「寒いですか?」
アン「・・・」
フリーズ「言っていませんでしたね、私は魔素の氷に長けていましてね。氷の魔術は何でも出来るのです。すなわちこの様に・・・」
アン「なっ!足が」
アンの両足はフリーズに触れられていないのにも関わらず一瞬で凍りついた。
フリーズ「この様に私の周囲は変幻自在ということですよ」
アン『流石にまずい!このままじゃ!』
アン「フリーズふくぅ・・・」
フリーズはアンの口元を凍らせ喋れない様にした。
フリーズ「この場に及んで命乞いは美しいない」
フリーズはレイピアをアンの心臓に突き立てた。
フリーズ「死ぬのは一瞬怖くありませんよ、僕の痛みに比べたらね」
アン「!?」
フリーズ「ではチェックメイトですっ」
アン「!!!」
フリーズは寸前でレイピアを止めた。
また瞬間にアンを凍らせた氷は溶け始めた。
???「どうしたフリーズ」
フリーズ「・・・これは奇遇ですね」
???「そのままやらないのか?」
フリーズ「まさか、これは修行の一環ですよアンのね、そうだよねアン」
アン「バレット団長・・・」
バレット「まぁいい」
フリーズ「じゃあ僕はこれで」
フリーズが去り際バレットが呟いた。
バレット「あまり図に乗るなよ」
フリーズ「僕のストーカーをしているあなたに言われたくないです」
フリーズは立ち去った。
バレット「大丈夫かアン」
アン「バレット団長、すみません助けてくれて」
バレット「怪我はないか?」
アン「はい何とか、でも何故ここに」
バレット「たまたま・・・という訳には行かないな。ここ最近フリーズをつけていたんだ」
アン「フリーズ副団長を」
バレット「アンは自分が入隊したときのことを覚えてるか?」
アン「はい、フリーズ副団長に嫌味を言われてジンさんに助けてもらって・・・あっまさか」
バレット「過剰な妬みと言った所だな」
アン「僕とフリーズ副団長が実際に戦って僕が勝ったっていうあの噂が原因ですか!?」
バレット「そうだ、今その噂は無くなったがあいつは今でもそのことを恨んでいてな」
アン「そんな・・・」
バレット「昔から噂に敏感だったからな、そうやって罪もない人を殺めてきた」
アン「ひどすぎますよ・・・何でそんな人が副団長なんかを」
バレット「あえてだ」
アン「あえて?」
バレット「一定の役を与えれば人は行動が制限される。ある程度真面目なやつに限るがな」
バレット「あいつは性根は腐ってるが実務はそつなくこなす。腫れ物は目に届く範囲においておくのに限る」
アン「たしかに」
バレット「それにあいつがアロンダの孫だからな」
アン「えっええええ!」
バレット「今すぐにでも追放したいのは山々なんだが・・・そういう訳もなく・・・だからこうして側近としておいているんだ」
バレットは一間おいて言った。
バレット「すまないな」
アン「え?」
フリーズ「フリーズをまだ野放しのままで危険な目に合わせて」
アン「いえだってアロンダさんのお孫さんは・・・それは無理ですよ」
アンは笑いながら言った。
フリーズ「そう言ってもらえると助かるよ」
アン「なんかバレット団長もジンさんの似ていますね」
バレット「私がか?」
アン「ジンさんに謝られた事があったんですけど、バレット団長みたいな感じで悪くないのに一方的に謝って・・・」
バレット「やっぱり昔からの付き合いだから似ているんだろうな」
アン「ジンさんとは長いんですか?」
バレット「幼少期からだなジンとは、一時期離れ離れになったが、また偶然ここで再開したんだ」
アン「幼少期からの付き合いだったんですね」
バレット「そうだな、再開して付き合って今に至ると思うと長いな」
アン「腐れ縁ってやつですね・・・ん?」
バレット「どうしたんだ?」
アン「今付き合ってるって!」
バレット「ジンから聞いてなかったのか」
アン「ぜんぜん!」
バレット「てっきり知っているもんだと思っていたよ」
アン「・・・」
バレット「アンどうしたんだ、突然魚が死んだ様な目になったりして」
アン「あっおめでとうございます!めでたい限りです!めで鯛なんちゃって!」
バレット「なんかアン変だぞ」
アン「そんなことないですよ!」
バレット「面白いやつだな、じゃあ俺はそろそろ宮殿に戻る」
アン「はい!今日はありがとうございました!」
バレット「恐らくフリーズはお前に先の件で因縁を付けることはないはずだ。言い方は悪いが一度が痛めつけた相手、何度も陰湿に付け回すことはないだろ。この国の改革にはもう少し時間が必要だが必ず成し遂げみせる」
アン「僕もお手伝い出来るように強くなります!」
バレット「頼もしい限りだアン」
バレットは立ち去った。
アン「・・・・・」
アンは落ち込んだ。
アン「ジンさんとバレット団長が付き合ってるなんて・・・フリーズ副団長のことなんてもう遠い過去のようだ・・・はぁ・・・」
アン『なんでこんなに落ち込んだろう・・・まさかこれって・・・』
アン「そっか俺ジンさんのことが」
~フェンリル王国・郊外〜夕方
バレット「・・・」
バレットは宮殿に戻る途中、先の事を思い出していた。
アン『ジンさんに似ていますね』
バレットは立ち止まり言った。
バレット「・・・アンチェイン何の用だ」
アンチェイン「流石ご名答」
バレット「何の用だ、帰ったんじゃないのか」
アンチェイン「そう剣幕を立るってことはないだろう、たまたまあの子を見つけて面白そうだから見ていたんだ」
バレット「アンのことか?面識があるのか?」
アンチェイン「少しね、それより君も怖いね」
バレット「・・・」
アンチェイン「もう少し”やり方”ってもんがあるでしょう」
バレット「それは愚問過ぎない。これが私の至った境地だから」
アンチェイン「ほぉ・・・」
バレット「犠牲がないに越したことはない。だが変化には否が応にも犠牲は付きまとうだろう。以下にしてその犠牲を荒波を立てずに行うか、花道を携えることだ」
バレット「花道を作り送り出す事で周りは錯覚する。あたかも栄光ある犠牲だったと。そして栄光な犠牲に上にあるものとは自ら命を立ったという真実に移り変わる」
アンチェイン「まさに虚空だね」
バレット「虚空でその先をも見てはいないよ」
バレット「先の助言や協力には感謝するが私には関係ないことだ。そのような事が起ころうと変わりはしない。国を救い変革を起こすというのは不変の事実にはな」
アンチェイン「なら安心だ」
バレット「さらばだ」
バレットは立ち去った。
アンチェインが後ろを振り返ると黒服が立っていた。
???「アンチェイン様」
アンチェイン「あーもうそんな時間か」
???「はい」
アンチェイン「・・・僕はここに残るよ」
???「承知しました」
アンチェイン「伝えてといて、想像以上に絡み合っているって」




