遠い真実
~フェンリル王国・ジンハウス〜昼
ビリー「じゃあ出かけてくるわ」
アン「買い出しですか?」
ビリー「いや」
アン「珍しいですねビリーさんが買い出し以外で出かけるなんて」
ビリー「俺だってたまには用があるよ」
アン「たまにはなんですね!」
ビリー「うるせぇ」
ビリーはジンハウスを後にする際にアンに尋ねた。
ビリーは「ナナミは?」
アン「ナナミはフーラの所に遊びに行きましたよ」
ビリー「そうか・・・アン昨日は、」
アン「もう!!!」
ビリー「!?」
アン「ビリーさんも自分を責めないで下さい!ジンさんにも同じこと言いましたよ!」
ビリー「ジンにもか。そ、そうか」
アン「はい!昨日もこんな感じでジンに謝られて・・・僕も出てきます!」
ビリー「あっあぁ・・・」
ビリーより先にアンが出て行った。
〜フェンリル王国郊外・ナナの家〜昼
ビリー「すまんないつも」
ナナ「はいはい」
ナナは扉のない小屋に魔法陣を描き扉を作った。
ビリー「ありがとよ」
ビリーは中に入り、少しすると出てきた。
その間ナナはハーブティーを入れ、テラスで飲んでいた。
ナナ「ハーブティー入れてますね」
ビリー「悪いな」
ナナ「いえいえ、それより貯まりました?」
ビリー「まぁな」
ナナ「夢の為に貯めているわけでもなく、遊興に耽ることもしない。私には理解出来ません」
ビリー「何でもいいだろう」
ナナ「教えてくれたっていいじゃないですか。元々フェンリル山の盗賊が入り込んでも可笑しくない小屋に隠していたのを、この私の敷地内で預かってるというのに」
ビリー「感謝してるよ」
ビリーは一間あけて言った。
ビリー「贖罪だ」
ナナ「そうきましたか」
ビリー「お前のことだ、勘付いてるんじゃないか」
ナナ「流石に人の心情まで詮索しませんから安心してください」
ビリー「どうだか、」
ナナ「ですが人の一生なんて一瞬、それなのに贖罪の糧を貯める。あなたが贖罪をこうときお相手は亡くなっているんじゃないですか」
ビリー「そうだなお前の言う通りだな」
ナナ「ならどうですか?少しすつ贖罪を果たしていけば」
ビリー「・・・だが俺はもう少し今のままでいたいんだ」
ナナ「そうですか、まぁビリーが贖罪を果たすまで私が責任を持って預かるので安心して下さい。それとハーブティーのおかわりいりますか?」
ビリー「助かるよ、じゃあもう一杯頼むよ」
ナナはハーブティーを淹れた。
ナナ「では本題ってところですかね、今日は聞きたいことがあって来たんじゃないですか?尋ねて来た時も顔が優れてなかったですよ」
ビリー「流石だな」
ビリーは昨日起こったことを話した。
ナナ「やはり起こりましたか」
ビリー「やはりってお前何か知ってるのか」
ナナ「直観ですよ」
ビリ「はぁ?」
ナナ「ここ最近平和だったのでそろそろ何か起こると思いましてね」
ビリー「もうお前の直観に対してツッコむ気も起きねーよ」
ナナ「先に言っておきますが私はジンから相談は受けていませんよ」
ビリー「だから何で分かるんだよ」
ナナ「ツッコまないと言ったじゃないですか」
ビリー「揚げ足を取るなって」
ナナ「取ってません、真実を言っただけです」
ビリー「あぁーもういいよ」
ナナ「それに昨日の事で流石のジンも私の所まで相談なんて出来ませんよ」
ビリーはハーブティーを一気に飲んだ。
ビリー「一本いいか?」
ナナ「えぇ、やめたと聞きましたが」
ビリー「ナナミがいるからジンハウスでは吸ってないからな、もう嗜好品って感じだ」
ナナ「そうだったんですね、まぁ一服でもして落ち着いて下さい」
ビリーは一服しながら、ナナと他愛のない話をした。
ビリー「本題に戻るが、この魔術が使えなくなる現象は知っているか?」
ナナ「大前提魔術自体がこの世界において不確定要素が多いのは知っていますね」
ビリー「あぁ魔術が使える理屈が存在していないからな」
ナナ「その通りです、理屈が確立されていないのに私たち人間は使っている。それが世界にどのような影響を起こしているかも知らずに。私自身魔術が使えなくなる現象に遭遇したことはおろか聞いた事もないですね」
ビリー「じゃあジンは儀式って言ってたんだが知らねーのか。お前ほどの博識がジンの言ってた儀式を知らねーはずがないだが」
ナナは少し笑みを浮かべながら言った。
ナナ「ビリーさん私の事を買いかぶりすぎですよ。確かに貴方より知識は多いと思います。"が"私もこの地域に移り住んだ身、地域の伝統などもまだ知り尽くしていません」
ビリー「そうか・・・隠してないのか」
ナナ「えぇ」
ビリー「っなら最近お前とジンが何か口論していたのはなんだ!?お前とジンが口論するなんて普通に考えられない!!そしてこの事件・・・何を隠してる?」
ナナ「流石の観察眼ですね」
ナナは真剣な顔をして言った。
ナナ「例え私が真実を知っていたと仮定して、貴方に伝えても問題は解決しない」
ビリー「俺じゃあ事態を収集出来ないって言ってるのか!?」
ナナ「えぇ」
ビリー「ふざけんな!」
ビリーは腰に携えていたピストルを抜こうとしたが、ナナも自身の後ろの魔法陣を展開した。
ナナ「ビリー少し落ち着て下さい」
ビリーは咄嗟に我に返り、ピストルを直した。
ビリー「すまなかったナナ」
ナナ「いーえ」
ビリー「・・・時が来ればか・・・」
ナナ「えぇ」
ビリー「そうか、じゃあ今日は帰るぜ」
ビリーは席から腰を上げた。
ビリー「今日出て行く前にアンにジンに似ているって言われたんだ、やっぱりあそこにずっといると似てくるもんなのかな」
ビリーは背をナナに向けて言った。
ビリー「俺はさあの大切な場所を守りたいんだ、もしその時は手遅れだったら俺はお前を殺すかもしれない」
ナナ「安心して下さい、その時は全力であなたを生け捕りにしますから」
ビリー「流石だな」
ビリーはナナの家を後にした。
ナナはハーブティーを口にする。
私はただの傍観者。
傍観者は世界の事に関して探求していいが干渉してはいけない。私は知りすぎてしまったからだ。それは私の贖罪と言ってもいいだろう。
しかしあの子と会い、あの者たちを知り、少し私も変わったのかも知れない。
『悲しませたら私は貴方を許さない』
贖罪を背負う過程で少しでも隙を見せるとそれは更なる罪という名の苦しみを背負う。
あなたと一緒ですね
ビリー




