幻の男
~フェンリル王国・ジンハウス~昼
ビリー「アン暇か?」
アン「えぇ」
ビリー「悪いが買い出しに付き合ってくれねーか、魔鉱石の予備がもうないんだ」
アン「手伝います!」
ビリー「サンキュー」
~フェンリル王国・市街地~昼
アン「魔鉱石ってやっぱり便利ですよね」
ビリー「ファスト村には魔鉱石はなかったのか」
アン「はい、ファスト村は魔鉱石なしで生活していましたね」
ビリー「夜とかやっぱり便利悪くねーか、明かりもないし」
アン「まぁそうでしたけどそれが当たり前だったので何も思わなかったです」
ビリー「たしかにそれもそうか」
アン「でも実家に戻れば不十分に感じますね、魔鉱石がない生活なんて絶対に」
ビリー「魔鉱石1つで水も火も明かりも賄えるんだから、あるに越したことないしな」
アン「でも魔鉱石ってどういう仕組みなんですかね、エネルギーの塊って聞いたことありますが・・・」
ビリー「俺も詳しく知らんが、最初西の大国が魔鉱石に可能性を見出して魔鉱石産業を始めたのが発端らしい」
アン「初めて知りました、ビリーさんって所々物知りですよね」
ビリー「まぁアンよりかは長く生きてるからな」
~フェンリル王国・王国街・魔鉱石商店~昼
ビリー「魔鉱石を頼みたいんだが」
店主「在籍場所は」
ビリー「えーフェンリル騎士団のジンハウスだ」
店主「ん?最近1人追加になった所か」
ビリー「あぁそうだ」
店主「・・・ほら魔鉱石だ」
ビリー「ってなんか前回より減ってないか?1人追加になったんだが」
店主「文句あるのか?」
ビリー「いや、ありがとござんした」
店主「用が済んだらとっといけ」
~フェンリル王国・王国街~昼
アン「なんか感じの悪い店でしたね」
ビリー「そりゃあウルフ教団パキングの直々の商店なんだからな」
アン「そうだったんですね」
ビリー「王国でパキングが魔鉱石を管理しているからな、魔鉱石の売買や住民の供給まで」
アン「管理していても魔鉱石の供給が減るってことは上手く購入が出来ていないんでしょうか」
ビリー「俺もどこから魔鉱石を購入しているのか知らんがそんな所だろうな」
王国街を後にする2人を歯ぎしりしながら見ている人物がいた。
???「アン・ビナーシャス・・・許せない・・・私をコケにして・・・」
~フェンリル王国・市街地~昼
ビリー「そういえばアンってウルフ教団の事は聞いたか?」
アン「いや詳しくは・・・ウルフ教団族長アロンダさんの事は前にジンさんから聞きましたけど、それとさっき聞いたパキングさん」
ビリー「ウルフ教団自体が表舞台に立つ人物じゃないが、騎士団に入隊しているんだし一応幹部の名前ぐらい覚えておけ」
アン「はい!」
ビリー「えーとな、族長アロンダを筆頭に幹部が4人パキング、カクセス、ナラシュー、サルヘンってやつらと副幹部が1人バレットだ」
アン「バレットってバレット団長のことですか!?」
ビリー「そうだ全くよくやるぜ、この国を変えるためにフェンリル騎士団団長になったあげくにウルフ教団副幹部になるんだからよ」
アン「本当に凄いです・・・」
ビリー「まぁウルフ教団幹部の中にも変革派がいるみたいだからな、バレットを副幹部に仕立て上げたと思うぜ」
アン「誰なんですか?」
ビリー「恐らく外交兼軍事力担当サルヘンってやつだ」
アン「軍事力ってことはフェンリル騎士団の・・・」
ビリー「そうつまりバレットの直上の上司に当たるよな・・・まぁそいつなら副幹部の座にバレットを仕向けるのも出来るってわけよ」
アン「なるほど」
ビリー「流石にこの国の生まれでもないやつが騎士団団長になって教団副幹部になるなんて、内部に協力者がいないと無理だからな」
アン「ってバレット団長ここ生まれからじゃなかったんですか!」
ビリー「アンと同じで小さな村の生まれらしいぜ」
アン「それなのに本当に凄いです、バレット団長!」
ビリー「器が大きくないと出来ないよな、俺みたいに」
アン「それはお門違いです」
ビリー「冗談だよ冗談」
~フェンリル王国・市街地~夕方
ビリー「さてと夕飯の買い出しも終わったし帰るか、アン今日はありがとうな」
アン「いえいえ、それよりお店に狼の旗が吊るしてたりしますけどあれって?」
ビリー「あーもうすぐ祭りか」
アン「祭りって」
ビリー「フェンリル伝説って知っているか?」
アン「ジンさんから聞きました、昔フェンリル王国を守ったって」
ビリー「なら話が早いな、一年に一度フェンリルを讃える祭だな、それが開催されるから準備してるんだよ」
アン「へぇーそうなんですね」
ビリー「ナナミが一番好き行事だな、俺も年代物の狼酒が出るから好きなんだが」
アン「僕も楽しみになってきました」
ビリー「それと曰く話もあるんだが・・・」
アン「曰くつきの話・・・」
ビリー「・・・蘇ったフェンリルが生贄を食う話」
アン「なんですか、その安っぽいホラ話は」
ビリー「まぁまぁ詳しく聞けって」
ビリーは低いトーンで話した。
ビリー「フェンリルの魂は生きていて何千に一回、生贄を捧げないとフェンリルが怒りフェンリル王国一帯を更地に変えるんだって、生贄は美人の女性で赤服を着てフェンリル山から飛び降りるんだとか」
アン「赤服ですか…?」
ビリー「なんだ、その含みのある言い方は?」
アン「いや、たまたまジンさんの荷物にその赤服を見たので」
ビリー「ハハハ安心しろアンこれは迷信だ。それにジンがそんな迷信で安やすと死ぬような小さい魂じゃないだろう」
アン「それもそうですね、ホラ話にすっかり騙されました」
ビリー「それより美人でジンが出てくるとは、まさか・・・」
アン「違いますよ!!!」
〜フェンリル王国・ジンハウスまでの道のり〜夕方
アン「ビリーさん聞いてもいいですか?」
ビリー「ん?どうした?」
アン「アンチェインさんってどういう方だったんですか?」
ビリー「アンチェインか・・・前話したもんな」
アン「あっすみません、つい気になってしまって」
ビリー「何も謝る必要はないさ、あいつは元々ジン小隊の副隊長で・・・自由な男だったよ」
アン「自由?」
ビリー「あぁ副隊長になったのに副隊長会議にも出ない、任務中も突然いなくなったと思えば市場で女の子をナンパしている、しまいにはナナに決闘を挑む、本当に自由な男だったよ」
アン「あの少しビリーさんと似ている気が・・・」
ビリー「まぁ面白いやつだったからな」
アン「あっ濁した、ってナナさんと決闘したんですか!」
ビリー「流石にナナには勝てなかったらしいがいい線まで行ったらしいぞ、まぁお互い本気を出していなと思うがな」
アン「そのアンチェインさんって魔術が凄かったんですか?」
ビリー「いやアンチェインは天術使いなんだよ」
アン「天術ですか!限られたの人しか使えない術ですよね!」
ビリー「俺もあいつしか見た事がないな、アンチェインの天術は空間から自由自在に鎖を出し操る、攻撃・防御・移動ともに本当に凄かったな」
アン「別名神から与えられた力、実際に存在していたとは・・・でも何でそんな人がジン小隊に?」
ビリー「何でも騎士団に突然アンチェインが入隊したい言ってきたらしくて、そのまま合格ってわけよ、まぁ天術使いを断る理由もないしな。それでたまたま騎士団を通りかかったジンと目が合って、面白そうと理由でジン小隊に入隊したわけよ」
アン「本当に自由な人ですね、でもなんでそんなひとが・・・」
ビリー「ある日盗賊退治を騎士団で受けてきた俺たちジン小隊は遠方の村に向かった。アンチェイン先発、間にジンで、俺は後発で出発したんだ。その時ナナミは熱を出して任務に付かなかったんだったけな」
ビリーは少し寂しげな顔しながら続けた。
ビリー「俺が着いた時に村には火が放たれていて、ただ立ち尽くしているジンしかいなかった」
アン「一体何が・・・」
ビリー「俺にも分からないんだ」
アン「え?」
ビリー「俺より先に着いたジンですら、同じ状況だったらしい。そのあと騎士団宛にアンチェインから脱退する旨が書かれた手紙だ届いた」
アン「その村人と盗賊は・・・」
ビリー「行方不明だ、周辺探したが痕跡もなんもなかった。恐らく事情を知っているアンチェインも行方不明で、この事件は騎士団でも闇に葬られたよ」
アン「・・・」
ビリー「まぁ案の定ジンは単独で捜査していたんだがな・・・何も出てこなかった。ナナミには本当の事言えないからな旅に出たって嘘をついたんだ」
アン「そんなことが・・・」
ビリー「っていけっね狼酒の在庫切れたんだ。アン悪いが狼酒買って帰るからよ、先帰っててくれねーか?」
アン「わかりました・・・ビリーさん色々とすみません」
ビリー「なーに昔話に一つをしただけだ」
アンは帰路につく。
ビリー「ふぅ・・・アンチェインか・・・一杯飲んで帰るか」
〜フェンリル王国・ジンハウスまでの道のり〜夕方
アン「ビリーさんに悪い事したな・・・そんな事件があったなんて・・・」
アンが思い耽ていると突然後ろから声をかけられた。
???「君はジン小隊の隊員かい?」
アン「えっはいそうですけども」
???「みんなは元気かな」
アン「えーとあなたは」
???「昔ジン小隊に助けてもらってね、騎士団の制服を来た君がジンハウスに向かって歩いているのを見かけて声をかけたんだ」
アン「すみません・・・怪しんじゃって!」
???「いきなり声をかけられたら怪しむのは当然さ、皆が変わらず元気なら良かった」
アン「はい!あの良ければ顔出されますか?皆さん喜ぶと思いますよ」
???「みんな元気って知れたならそれだけで充分さ、じゃあ僕急いでいるからこれで。また時間がある時にゆっくり尋ねさせてもらうよ」
アン「分かりましたではまた」
アンはジンハウスの帰路に向くため後ろを振り向いたが名前を聞いていないことに気付き、再度振り向いたが人影は見当たらなかった。
アン「ってあれいない・・・どこに行ったんだ?」
アンは辺りを捜索したが人影らしき人物はいなかった。
そのアンの姿を木の上から見下ろしている人物がいた。
???「どうやら僕がいない間に色々変ったようだねジン、それにしてもあの子・・・面白そうだ」
???「君とはまたどこか合いそうだ」
〜フェンリル王国・ジンハウス〜夜
アン「そういえば今日ジン小隊にお世話になった人に出会いました」
ビリー「ん?俺と別れた後か?」
アン「はい」
ジン「どんな人だ?」
アン「身長が僕ぐらいで年的には僕より少し上ぐらいですかね」
ジン「うーん思い当たる人は多数いるが」
アン「その人と別れた後名前を聞こうと思って振り返ったんですけど、姿がどこにも見た当たらなくて・・・」
ビリー「・・・まぁそれだけ色んな人を助けたって事だな」
ナナミ「ナナミたちたくさんの人を助けたんだ!やったーん!」
ジン「ナナミの言うとおりだな、これからも人々の役に立つジン小隊でいよう!」
アン「はい!」
ナナミ「うん!」
ビリー『アンチェイン・・・いやまさかな・・・偶々だ』




