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毒を食らわば  作者: 紗羅
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2/7

 由良さんのハチャメチャな人生に一番影響を与えたのは行動力と人間関係だと思う。

 由良さんの友人も濃い人ばかりで、一時期はグループを組んでいた。

 狂人ハッカーの情報担当『ジン』、射撃の名手の暗殺担当『ルン』、見聞きしたものは全て覚えるIQ200の天才『ミヤ』、幸運ギャンブラーで株が大好き戦闘担当『ガン』、変態研究科の解剖担当『ハン』、運び屋の運搬担当『ケン』、暴力団3代目組長で旦那の『ミハヤ』(ちなみに殆どの旅費や遊び代はミハヤからぶんどっていた。強制スポンサーである)。彼らは由良さんの暴走に嬉々としてついてきた人間である。


 彼らは個々でも我が強く、そうそう仲間を求めるような人間ではない。だが、由良さんはそんな彼らを世界中から集めた。いや、集まったというほうが正しいのかな。

 由良さんは各国を旅し、仲良くなり、気に入られ、何故かついてくるという不思議。彼らは国籍も人種も考え方も違うが、お互いがお互いを初めての『仲間』として過ごした。由良さんは不思議な星の下に生まれたのだ。彼女は究極のトラブルメーカーだった。呼んでもいないのについてくると友人に言い訳をしては、利益を以て解決する。彼女の周りには常に変人であふれていた。ちなみにまともな人間はあまりいない。比較的まともといえるのはミヤくらいだろう。




 さて、私が何故こんな話しをしたかと言うと、私には友人と言える存在がいないことに気が付いたからだ。由良さんの過去を見て、知っていくなかで、私が友人と思っていた存在は対等の存在でないことに気が付いた。所謂取り巻きと言われる存在だ。


 前に記述した通り、私の家はそれなりの名家だ。元々華族と一般的に言われる旧家で、企業を成功させ、今では日本屈指と呼ばれる存在である。


 一族は異様に過保護な者が多く、友人と言われる存在と喧嘩することさえも叶わない。いついかなる時に敵になるかわからない存在を野放しにしない。近づく者全ての情報と弱みを得てから、初めて傍にいることが許される人物かどうか査定される。


 私は決められた人間以外と関わるのが恐ろしい。そして、私はそれを今まで普通だと思っていた私自身に悪寒がする。私は由良さんの記憶がなければ、なんて傲慢な人間になっていたのだろう。


 私を抜きにしたヒエラルキーで上位の者が近づいてくる。それ以外は取り巻きになる。そんな異様な光景を普通だと思っていた。しかし、由良さんの記憶がはっきりと蘇った今、この異常さに眩暈がする。


 友人が欲しいのに、一人になりたいと願う。一族も友人と自称するものも全てが嘘のように思えてしまう。私のバックばかりを欲して私を見てくれる人はいない。そう思うと、まるで私は床が抜けたように血の気が引いた。私の友人って誰?由良さんの様に喧嘩しあい、高め合い、親友だと、背中を任せてもいいと言える人間が現れることはあるのだろうか。



 それから、私は一人でひっそりと本を読む時間が増えた。本に没頭しているときは誰にも邪魔されない。私だけの時間。




「お前が綾小路椿か?」

 これが私の初めての友人との出会い。

 彼とはこれから長く付き合っていくことになるが、当時の私はそんなことになるなど全く思っていない。彼はとても優しく、傲慢な人間だった。





「お前だって他人は全て敵とか一人善がりな悲劇のヒロイン気分満載だったじゃねぇか。」

うるさいな。今は違うんだからいいじゃない。そういう事もあるよ。うむ。

「うむ、じゃねぇし」

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