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食事

 「小皿にミルクを入れてあげて」


 ダンボールの中にティーカップの下に置く受け皿があったので、人肌に温めた牛乳を注ぐ。まるのために買った牛乳だったんだ。

 さらに有梨香はバッグからキャットフードを取り出し、私の手のひらに5粒乗せる。でも、キャットフード用の皿はない。


 「これはどこに入れるの?」

 「細かく砕いて牛乳の中に浸すの。子猫だからふやかした方が食べやすいでしょ」


 全然思いつかなかった。有梨香は優しいから、子猫の気持ちになって考えつくんだろうな。


 「犬の散歩してるおじさんが教えてくれたの。子供のころに猫も飼ってたからわかるんだってさ」

 「そうなんだ……動物好きな人なのかな?」

 「そうみたい。けどもう犬がいるからまるは飼えないって言ってたわ。あたしも飼いたいけど、お母さんにダメって言われちゃった」


 私も無理だ。私なんかに生き物を育てられるわけがないし、まるだって私が飼い主なんて嫌だろう。それに、まるはカワイイから飼いたいって人がすぐ現れるはずだ。賢そうだから野良猫としてたくましく育っていくこともできそうだ。

 まるはハゲてるけど、ハゲた頭は欠点にならない。有梨香のようにハゲがカワイイって見方をする人もいるし、まる自身が全く気にしてないようだから。

 まるは牛乳の入った小皿に鼻を近づけ、匂いを確かめている。有梨香からもらったキャットフードを指先で砕き、小皿の端から滑り落とすと、食べ物だとわかったようで、あまり警戒せずに顔を寄せた。

 牛乳を小さな舌でなめるようにして飲み、キャットフードの欠片がふやけてやわらかくなると、小さな牙でかぶりつく。まるは余計なことを考えずに、食事に集中してるみたい。有梨香が頭から尻尾の先まで撫でても反応しなかった。



つづく

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