第36話:灰の中に灯った、最初の炎
本能寺の変(1575年〜1582年)の衝撃的な敗北から7年が経過した。
雑賀の火聖地と伊賀の隠れ里に身を隠した4人組は、これまでにない大いなる変貌を遂げていた:
* 立花雪姫: 必殺技「雷火剣舞」を創始した――右手には近接戦闘用のカタナを振るい、左手には中距離の点射用にポルトガルの短銃を抜き放ち、剣道に死角は一切ない。
* 黒田正智: 防湿火薬と連続する情報網の研究に成功した。
* 竜崎源之助: 合金重装甲と多層合板を組み合わせた鋳造に成功し、鉛の弾丸の貫通力を90%相殺した。
* 服部雀: 最上位の忍者の絶対的な透明化の領域に到達した。
1582年6月21日(天正10年)の早朝……。
京都・本能寺では激しい雨が降り注いでいた。明智光秀率いる1万3千人の反乱軍が外門を包囲したまさにその時、4つの黒い影が風を引き裂いて本堂へと真っ直ぐに突入した。
シュッ!バシッ!
源之助は鉄の棒を担いで衛兵を吹き飛ばし、雀はすべての援軍の導火線を断ち切り、正智は煙幕弾を投擲して廊下を封鎖した。
本堂の扉が勢いよく開いた!雪姫が稲妻のように滑り込み、カタナと短銃の二刀流を振るい、織田信長を堂内の隅へと追い詰め、きらめく剣先を魔王の喉元にぴったりと突きつけた!
カチャッ。
冷え切った刃は、信長の皮膚から正確に1ミリのところでピタリと止まった。
民衆を思いやる揺るぎない眼差しと、雪姫の並外れた進化を目の当たりにし、オリンはルシファーの教えにふさわしい満足の笑みを浮かべた。彼は折れた剣を床に落とした:
— 「見事だ、雪姫……歴史の車輪はもう準備できている。天下にもはや魔王は必要ない。この未来は、お前たちに託す!」
役柄を最もクールに締めくくるため、オリンは3歩下がり、高価な深紅のベルベットのマントの裾を整えた。彼は天井へと顔を向け、目を閉じて敦盛の舞を吟じた:
— 「人間五十年、下天の内をくらぶれば、夢幻の如くなり……」
最後のフレーズを吟じ終えると、オリンは超アーティスティックな円を描いて体を回転させ、肩越しに油のランプを後ろへと軽く弾き飛ばし、お約束の「魔王の炎の海」の演出を作り出そうとした。
ヒュン……ドォォン!
しかし、人生はアニメのようにはいかない。割れた窓からの風が逆風となって吹き返した!その残り火が、なんと彼自身の長さ2メートルのベルベットのマントの裾にダイレクトに引火した!
「魔王」のクールな表情は即座に180度塗り替えられた:
— 「熱っ!熱っ!熱っ!お尻が燃えてるぞ!誰か火を消してくれ!」
オリンは飛び上がり、両手でお尻をパタパタと必死に扇ぎながら、パニックになって本堂の周りをぐるぐると走り回った。大混乱の最中、彼のブーツのかかたが床に転がっていた千利休の黒楽の無上の茶碗を踏みつけてしまった。
シュッ……クソッ!
世紀の大スリップ!オリンはバランスを崩し、空中で3回転して、屏風の裏に隠されていたポルトガル製火薬5万樽が保管されている部屋へとまっすぐに頭から突っ込んだ!燃えているマントの裾がメインの導火線に完璧に擦れてしまった。
ジリジリジリ……
オリンは頭をもたげたが、顔はかまどの底のように真っ黒で、最後のセリフを言うのがやっとだった:
— 「おい……シナリオが違……」
ドカァァァァァァァン!
天地を揺るがす爆発が本能寺の屋根を吹き飛ばし、色鮮やかな花火のようなキノコ雲の煙へと変え、オリンの魂を空高くへと吹き飛ばした!
寺の境内の外で、4人はドカンと爆発する花火を見上げてポカンと口を開けていた:
正智は羽扇を落とした。
「……いま詩を吟じてから自分で自分のお尻に火をつけて爆死したのか?」
源之助は頭を掻いた。
「死闘の覚悟をしてたんだけどなぁ……」
雀は団子をモグモグと食べた。
「あの花火、すっごく高級そう……」
雪姫は口の端を引きつらせた。
「……死ぬ瞬間まで、やっぱり尾張のうつけ者のままだったわね!」
そしてこれこそが、後世の人々が本能寺で信長の遺体をいくら探しても絶対に見つからなかった真の理由である!
本能寺の変の後、4人組は裏方に身を引き、250年にわたる平和で繁栄した江戸時代の基礎を築くのを支え、満寿を全うした:剣聖・雪姫は82歳、大賢者・正智は85歳、名工・源之助は80歳、そして団子屋の女主人・雀は88歳で天寿を全うした。最後に目を閉じた時、4つの黄金の魂は一緒にエデンへと舞い戻った。
ヒュン!
エデンの間にて、オリンは大理石のソファで足を組んで座り、量子のタピオカミルクティーを手に持ち、システム通知を嬉しそうに読んでいた:
【逆境ディレクター任務評価結果】
【等級:A+ — 本能寺での前代未聞のギャグ自爆により、S+から1段階降格】
【報酬ポイント:+80,000 カルマ!】
【旧借金の相殺:-30,000 カルマ → 現在の残高:+50,000 潤沢なカルマ!】
— 「ハハハハ!A+に格下げされたけど、これで正式に借金完済だ!プラス5万カルマだぜ、これで余裕の暮らしだ!」オリンは顔を上げて得意げに笑った。
その傍らでは、ビロードのように滑らかな毛並みの黒猫の姿をした猫の女神バステトが大理石の足台の上で気だるそうに丸くなり、悠々と自分の脚の毛を舐めながら、意地悪そうな目で細めて言った:
— 「たった5万カルマでそんなに威張ってるのか?でも、茶碗を踏んで火薬樽に頭から飛び込んだお前のあのスリップ劇は、まさにマルチバースのドタバタ喜劇の傑作だったわね」
ボォーーーン!
鐘の音が鳴り響き、受付ゲートがまばゆく輝いた。4つの魂が歩み出ると、記憶の封印が100%粉々に砕け散った!アエリア、コール、オルロ、ジビーの本来の姿が即座に復元された。
記憶が蘇り、アエリアは全身からもうもうと煙を上げ、即座にオリンのボサボサ頭をターゲットに定めた。
— 「終わったな……」――オリンはタピオカミルクティーを投げ捨てて逃げ出そうとした。
— 「そこに直れ、戦犯織田ァァァ!」
ドンッ!バシッ!
アエリアは突進してミルクティーを蹴り飛ばし、足技で首をロックしてオリンを大理石の床に力任せに押さえつけた:
— 「このクソ魔王!あの時、私の胸の鎧に銃弾を浴びせやがって!そのあと自分で自分のケツに火をつけて爆発してここに逃げ帰ってきて、私は下界に置き去りにされて何十年も一人でチームを背負って桜を眺めてろって言うの?!」
— 「いててて……許してくれ!お前たちを伝説にするための踏み台になってやったんだろ!」――オリンは激しくもがいた。
コールは腕を組んで豪快に笑った:
— 「ハハッ!前世はマジで最高だったぜ!俺は鍛冶屋を開いて、毎日極上の牛肉を食い、80歳まで日本酒を飲みまくって天国へ昇ったんだからな!」
オルロは誇らしげに眼鏡を押し上げた:
— 「僕の兵法と経済の大巨書は、後世から『聖書』と称えられた。まさに万世に名を残す遺産さ!」
ジビーは満面の笑みを浮かべた:
— 「あたしの団子屋チェーンは64州すべてに広がって、金貨を数えすぎて手が疲れちゃったよ、オリンお兄ちゃん!」
バステトは足台の上で尻尾を揺らしながら、クスクスと笑って加勢した:
— 「ほら見ろ、みんな豊かに楽しく暮らしてるだろ?誰かさんみたいに、カッコつけようとしてスイカで滑って……じゃなくて、茶碗で滑って木端微塵に爆発した奴とは大違いだわね」
それを聞いたアエリアはオリンの首から手を離し、腕を組んで立ち上がり、口の端を皮肉な笑みに歪めた:
— 「その通りよ!敦盛を深遠でカッコいい顔で吟じておきながら、突然お尻に火がついて唐辛子を食べたサルのように飛び回り、最後は火薬樽に頭から突っ込んでドカン!魔王のくせに、最後の最後までお笑い担当から逃れられないんだから!」
オリンは這い上がり、首をさすりながら唇を尖らせた:
— 「ふん、ただの職業病のハプニングだよ!あの本能寺の花火爆発がなかったら、こんな完璧なフィナーレを飾れるわけないだろ!」
アエリアは彼のボロボロの姿を眺め、2秒ほど沈黙してから頭を傾け、思わず微かに微笑んだ:
— 「でもさ……本能寺の炎の海の中で背中を向けて詩を吟じていたあの場面……あれは確かに、なかなかサマになっていて、正直ちょっとカッコよかったわよ」
思わぬ褒め言葉を聞いて、オリンの目はパッと輝いた。彼は即座にボサボサの髪を整え、あごを突き出して得意げに鼻を鳴らした:
— 「当たり前だろ!この俺様は第六天魔王様だぞ!宇宙の鉄血の踏み台としてのレベルが、そこらの凡百とは違うんだよ!」
— 「もう、おだてたらすぐ調子に乗るんだから!」――アエリアはクスッと笑い、ついでにとばかりにオリンのお尻を軽く蹴り飛ばした。
長老ヴァエレンは執行の演壇に立ち、優しい笑みを浮かべて杖の頭を軽く叩いた:
— 「よくやった!逆境ディレクターの試験はこれにて完了だ。これまでの借金は完全に帳消しとなり、お前たちは共に理解し合い、大局を背負う術を学び取った」
ピロン!ピロン!ピロン!
中央の通知ボードが眩しく輝いた:
【逆境マスター訓練コースを完全に踏破!】 【潤沢なアカウント残高:+50,000 カルマ――新たな階級を制覇する準備完了!】 【移行ゲート開放:シーズン4――至高の大いなる旅路へ突入の準備中!】
バステトはリクライニングチェアで丸くなり、怠け者そうに尻尾を振った:――「道中気をつけてね、小僧ども。次も私が楽しめる面白い出し物をたくさん持ってきてちょうだいね」
5人のメンバー――オリン、アエリア、コール、オルロ、ジビー――は互いの肩に腕を回し、色鮮やかな時空のゲートへと歩みを進め、次なる幻想的な大冒険を迎える準備を整えた!




