第29話:天界の正義すら、真実の前に頭を垂れる時
高さ数百丈の百丈の滝の真っ白な水のカーテンの前に立つと、水しぶきがオリンの服の裾をずぶ濡れにした。苔に覆われた古代の石碑に黄金の文字で「花果山 — 福地」と刻まれているのを見て、オリンは深呼吸をし、猫の女神バステトの不老不死の桃(蟠桃)を胸にしっかりと抱きしめた。
「水簾洞に入るには、この水のカーテンを越えなきゃならない……東京のすり抜けコースを卒業したスペシャリストにとって、こんなの朝飯前だぜ!」
ヒュン!
オリンは助走のために5歩下がり、最高峰の床滑り反射神経をすべて使って苔むした岩を強く蹴った。彼は空中を飛び出し、360度回転して激しい滝の隙間をすり抜け、水滴一つ余分に浴びることなく、洞窟内の花崗岩の床にスムーズに着地した。
水簾洞の中は、まさに仙境のような素晴らしい場所だった。五色にきらめく鍾乳洞が垂れ下がり、天の草花が芳しい香りを放ち、天然の石のテーブルと椅子が非常に自由な感じで配置されていた。
トラの皮がかけられた一番高い石の椅子には、お馴染みの姿が足を組んで座り、如意金箍棒(如意棒)を手にして石の床を「トントン……トントン……」とリズミカルに叩いていた。燃えるような黄金のローブを羽織り、尻尾を揺らしている猿王は、首を後ろに反らせて、ひょうたんから落ちる最高級の酒のしずくを口で受けていた。
物音を聞くと、松明のように輝く彼の火眼金睛が、即座に洞窟の入り口に向けられた。
オリンの泥まみれの顔を見るや否や、孫悟空はピタリと動きを止め、手にした酒のひょうたんを危うく地面に落としそうになった。彼は2回まばたきをし、突然「ハハハ」と爆笑し、その豪快な笑い声が洞窟中に響き渡った。
「ハハハハハ!誰かと思えば?!昔、エデンの間でくしゃみをしてエジプト王朝を崩壊させた、あの戦犯村の黄金の顔、7秒ファラオの弟分じゃないか!」
斉天大聖は石の玉座から飛び降り、如意棒に寄りかかりながらオリンの周りを2周し、面白そうに顎を掻いた。
「老孫(俺様)が思い出すに、あの時、長老ヴァエレンに深淵の封印から『ワニのフン掃除の召使い』に減刑させて、50万カルマの借金を返させるために、俺やトールのガキ、アテナの小娘が口を酸っぱくして弁護してやったんだよな!真面目にコツコツ働いて借金を返すって言ってたのに、なんで今日は新しい真っ赤な3万カルマの借金ボードを背負って、こんな真っ青な顔で俺様の花果山までやって来たんだ?!」
孫悟空がこんなにも親しげで豪快な口調で即座に自分に気づいてくれたのを見て、オリンは嬉しくもあり、耳まで真っ赤になるほど恥ずかしくもあった。彼は慌てて不老不死の桃を両手で恭しく差し出し、地面に深く頭を下げた。
「孫大聖様にご報告いたします!あの時エデンの間で命を救っていただいたご恩は、今でも心に深く刻み込んでおります!今日、わざわざここへ参ってこの蟠桃を捧げたのは、大聖様に『真の悪役』になるための極意を教えていただきたいからなのです!」
「はあ?!悪役になるだと?!」悟空は不老不死の桃をひったくり、サクッと一口かじり、興味深げに眉を上げた。「お前さんみたいな小僧は、ずっとチームの足を引っ張る(戦犯になる)役立たずの専門家だったのに、なんで急に悪者をやりたいなんて言い出したんだ?」
オリンは泣きべそをかき、これまでの3回の暴君としての人生の悲劇のすべてを、鬱憤を晴らすように一気に語った。
「実は、長老がアエリアたちの意識を進化させるために、俺に『逆境のディレクター』の試験を課したんです。なのに、最初の人生では5万の軍隊を送って牛小屋を平らにして、ビルから飛び降りて自分のケツを槍に刺して死ぬし、2回目の人生では108の税金をかけて平民を丸裸にした後、500キロの金貨の下敷きになって死ぬし、3回目の人生では元老院の議員全員を膀胱が爆発し、ガスが爆発し、脳の血管が切れて全滅するまで72時間のライブショーを聞かせて拷問しちゃうし……。結果、長老から0点をつけられ、マイナス3万カルマの罰金と、7日間の試験禁止を食らいました!偉大な悪役が一体どう振る舞うべきなのか分からなくて八方塞がりなので、大聖様に教えを請いに来たんです!」
「自分のケツを刺す・金に押し潰される・排泄物で大虐殺」という一連の偉業を聞き終えると、孫悟空はお腹を抱えてヒステリックに笑い出し、石の床の上を転げ回り、ドンドンと地面を叩いた。
「おお神よ!ハハハハハ!老孫(俺様)は一生三界中の妖怪や悪魔と戦ってきたが、お前みたいに汚くてくだらない悪役は見たことがないぞ、小僧!人々にウンコとシッコを爆発するまで我慢させるなんて、骨の髄まで恨まれるだけで、一体何を学べるって言うんだ、このバカ!」
ひとしきり笑った後、悟空は如意棒を支えにしてまっすぐに立ち上がり、冗談めいた態度を引っ込めた。彼の目は突然カミソリのように鋭く、至高の威厳に満ち、かつて三界を荒らしまわった比類なき英雄の圧倒的なオーラが波のように広がった。
「よく聞け、小僧!偉大なカウンターウェイト(対極の存在)――宇宙の砥石――になりたいのなら、『汚い小物の戦犯』と『偉大なる反逆の力』の違いをはっきりと理解しなければならない!」
彼は如意棒を天に真っ直ぐ突き上げ、断固とした声で言った。
「小物の悪党は弱者をいじめることしか知らず、自分自身の利己心と恐怖を満たすために卑劣なトリックを使って他人の人生の首を絞める――まさにお前が、丸腰の子供4人を弾圧するために5万の軍隊を送ったり、脱税のために貧しい人々を丸裸にしたりしたのと同じようにな!そんなものはただの底辺のゴミだ!」
悟空は杖の頭でオリンの額を軽く叩き、彼の意識にまばゆい黄金の光を送り込んだ。
「では、『真の反逆』とは何か?昔、老孫が一本の杖で天宮で大暴れし、八卦炉を壊し、蟠桃会をひっくり返したのは、衆生を虐殺したかったからではない!俺が暴れたのは、空虚な教義を打ち砕き、高いところに座っている者たちの独裁的な秩序に挑戦し、天界に自らの過ちを認めさせて自らを変えさせるためだ!偉大な悪役とは、他者の限界を指摘するために対立の立場に立ち、相手をその力の前で震え上がらせる一方で、同時にその気骨に心から感服させる者のことだ!」
斉天大聖の説法は、巨大な鐘のようにオリンの心に響き渡り、これまでの彼の狭くくだらない考えを完全に吹き飛ばした。
なんと、彼はずっと負け犬の心理を使ってチームメイトをいじめていただけで、暗闇を導く光の気骨の火花など微塵も持っていなかったのだ!
悟りを開いて目が輝くオリンを見て、孫悟空は満足げに微かに頷いた。彼は後ろに手を伸ばし、首の後ろから産毛を一本引き抜き、軽く息を吹きかけた。
フッ!
その毛は、オリンの魂を包み込む守護の黄金の光に変わった。
「記念として、老孫からの命を救う毛を一本くれてやろう!『反逆の気骨』の教訓については、自分自身でじっくり考えるんだな。さあ、とっとと消えて修業を続けろ。これ以上、老孫の昼寝の邪魔をするな!」
そう言うと、孫悟空は袖を振り、極めて強力な空間の竜巻がオリンを巻き上げ、水簾洞の水のカーテンを真っ直ぐに通り抜けて彼を吹き飛ばし、特別パスのテレポートポータルへと彼を真っ直ぐに放り込んだ。
ヒュン!
ザザッ……ドスン!
オリンは一回転し、ネクサス・ヴォイドの広場のど真ん中に着地した。
石のベンチであぐらをかいて座り、オリンはお尻をさすりながら、斉天大聖の威厳に満ちた一つ一つの言葉を思い出していた。彼は小さなノートを取り出し、最初の教訓を丁寧に書き留めた。
教訓その1(孫悟空):真の悪役は弱者をいじめず、傲慢さと力を使って空虚な秩序を打ち砕き、相手に自らの限界を超えることを強いる!
ノートを閉じ、オリンはネクサス・ヴォイドの空中に浮かぶ空間マップを見上げた。彼は、リストに残っている二人の人物、シヴァ神とルシファーについての、猫の女神バステトの以前のアドバイスを思い出した。
「大聖からは『反逆の気骨』について学んだ……。次は第二の教訓、『破壊と再生の法則』だ。シヴァ神に会うために、ヒンドゥー教の領域にあるカイラス山への道を見つけなきゃな!」
オリンは立ち上がり、服の埃を払い、純白の聖地カイラスへの座標の起動方法を尋ねるために、ネクサス・ヴォイドの案内所の周りを大股で歩き始めた!




