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RETURN: EDEN  作者: Eishun
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第19話:砂漠の太陽を覆い尽くす飢えたイナゴの壁

真昼の砂漠の風は本来、うだるような熱気だけを運んでくるものだったが、今日は背筋が凍るような音を引き連れてきた。

ザワザワザワ……ジリジリジリ……。

西の地平線から、巨大な灰褐色の壁がまばゆい太陽さえも遮った。砂嵐ではない。それは、何億匹もの飢えた昆虫が空を覆い尽くして羽ばたいている音だった。砂漠のイナゴの大発生(大蝗害)――10年に一度降りかかる悪夢であり、飛行ルートにあるオアシスの若々しい緑の芽をすべて食い尽くすのだ。

まさにその千鈞一髪の瞬間、防衛の城壁のふもとで、砂利の上で青銅の車輪が激しくきしむ音が再び鳴り響いた。新興商業国家メンフィスの、ピカピカに青銅で装飾された30両の戦車が誇らしげに横一列に並んでいた。

先頭の戦車の上に立ち、深紅のシルクのマントを羽織ったマラス総督は、きれいに切りそろえられたヤギひげを撫で、黒いイナゴの雲を見上げてから、城壁に向かって嘲笑するように口角を上げた。

「おお、赤い砂の女王よ!元々、水源の税金を北方連邦に納めさせるために30両の戦車を持ってきたのだが。しかし、天の意志はすでに決まっているようだな!この黒いイナゴの群れは、3時間足らずでお前たちのオオムギを一本残らず食い尽くすだろう。お前たちの部族は自ずとひざまずいてメンフィスに這いつくばり、カビの生えたパンの欠片を乞うことになるのだ!」

マラスの脅しは、赤い砂のすべての人々の心にナイフのように突き刺さった。刺し殺すことに慣れていた元盗賊たちも、今や為す術もなくその場に立ち尽くし、女子供は抱き合ってすすり泣いていた。

アエリアは一番高い石の出っ張りに立ち、プラチナブロンドの髪を強風の中になびかせていた。彼女は湾曲した双剣の柄を、指の関節が真っ白になるほど強く握りしめ、紫色の目には究極の怒りが込み上げていた。

「まさか……水路を開拓するために流したあの汗も、芽吹いたばかりのヤシのベッドも……すべてこの虫ケラどもに荒らされるために捧げなければならないというの?!」

土嚢の後ろの隅で、オリンは両こめかみを強く抱え、顔面から血の気が完全に引いていた。

血と肉でできた18歳の少年の頭蓋骨の中で、何十もの古代の前世からの膨大なデータが深刻なボトルネック(処理渋滞)を引き起こしていた。ぐるぐると回るロードアイコンが、彼の網膜の中で高速回転しているかのようだった。

【前世の記憶1(氷河期)】:ぼやけた映像には、先史時代の部族が火を焚いて煙でマンモスを氷の穴に追い込むシーンが映し出された……。 【前世の記憶12(東アジア古代)】:煮えたぎる油の入った鍋と、黄金色に輝く昆虫の皿の横で塩を炒るパチパチという音がする、ぼやけた路地裏の居酒屋が現れた……。 【前世の記憶30(現代)】:「探検家向けのプレミアムプロテイン栄養バー」という広告のキャッチコピーが稲妻のように閃き、そして消えた!

「待てよ……加熱圧縮……塩炒り……辛い煙で方向を誘導……マジか、ロード完了したぞ!」

オリンはビクッと立ち上がり、両目はまばゆく輝いた。彼は土嚢を飛び越え、アエリアの真正面に立ちはだかり、咆哮する風の中で大声で叫んだ。

「アエリア!2時間だけ俺に全指揮権を預けてくれ!こいつらは滅亡の天災なんかじゃない、こいつらは……時空を超えたおつまみだ!」

アエリアは目を丸くし、驚きのあまり手にした革の鞭をわずかに震わせた。

「また何トチ狂ってんのよ、オリン?!オアシス全体を失おうとしてる時に、誰のためのおつまみになるって言うの?!」

「一度だけ俺を信じてくれ!もしオオムギ一粒でも失ったら、俺が自らカルマの借金を追加で背負って、毎日ワニの檻で寝てやる!」オリンのその断固とした目つきに、何年も前の獣狩りの戦士のどこか見覚えのある無謀さが混じっているのを見て、アエリアは息を呑んだ。彼女は歯を食いしばり、手を挙げて命令を下した。

「分かった!赤い砂の部族全員、この戦犯(bóp team)野郎の命令に従え!もし失敗したら、私が自らこいつの首をはねる!」

オリンはパッチワークのようにつなぎ合わせた知識を応用し始めたが、忘れっぽいため、実行プロセスは一連のドタバタ実戦コメディへと変わった。

【チームの足を引っ張る(戦犯)フェーズ1:味方の目を潰す激辛の煙の炉】

オリンは腰に手を当てて指差した。

「コール!赤唐辛子の粉30袋をラクダの脂肪と乾燥したフンに混ぜて、今すぐ18個の煙の山に火をつけろ!」

コールは意気揚々と火種を唐辛子の粉の山に投げ込んだ。真っ黒な煙がモクモクと空高く立ち上ったが、砂漠の風が突然方向を変え、目にしみる激辛の煙の波が味方の陣地に真っ直ぐに吹き付けた! 「ゴホッ、ゴホッ……いってぇ、目が痛すぎる、お母さーん!」防衛線全体が激しく咳き込み、涙と鼻水がとめどなく流れた。アエリアは目を拭きながら、オリンの尻に真っ直ぐ蹴りを入れた。

「あんたは虫を殺すために煙を焚いてるの、それとも私を暗殺するためなの、この役立たず!」

オリンは尻をさすりながら飛び跳ねて叫んだ。

「忘れてた……モンスーンの風角を計算するのを忘れてた!東の岩場に位置を変えて、風よけのために45度の角度で傾けたタープの壁を今すぐ立てろ!」

風よけの角度を変えると、激辛の煙の壁は即座に恐ろしい威力を発揮した。熱風と目にしみる唐辛子のガスの波が空高く立ち上り、熱の圧力障壁を作り出し、イナゴの雲全体がオオムギ畑に着陸するのを防ぎ、風に乗って谷の裏にある狭い峡谷へと真っ直ぐに押し流した。

【チームの足を引っ張る(戦犯)フェーズ2:巨大な野戦ローストパン】

峡谷の下では、オルロとジビーがすでに糖蜜でコーティングされた深い漏斗状の漁網を張っていた。 ザザーーーッ! 10トンものイナゴが大雨のように降り注ぎ、網の層を押し潰した。 オルロが走ってきて、顔中汗だくで言った。

「10トン全部受け止めましたよ、先輩!それで、塩を入れるんですか、それとも何を?!」

オリンは頭を掻き、目をグルグルと泳がせた。

「たしか……たしか岩塩で炒らなきゃならないんだ!そうだ、火をつけて50個の鋳鉄鍋をセットしろ!砂漠の岩塩を入れて均等にかき混ぜろ!」

500人の元盗賊たちはすぐに上半身裸になり、鍋をかき混ぜるために駆け込んだ。砂漠の火の熱と岩塩の濃厚な塩味の下で、最初のツンとした匂いはすぐに消え去り、代わりに香ばしく、サクサクとした、脂っこい香りが谷全体に圧倒的に広がった。 それだけにとどまらず、オリンは石臼を振り回し、サクサクに炒ったイナゴをすりつぶし、甘いデーツ(ナツメヤシ)の果肉と均等に混ぜ合わせ、木製のプレス機を使ってきれいで固い四角い乾パン(レーションバー)に圧縮するように指示した。 「完成!これは『高密度エネルギー乾パン』って呼ぶんだ!タンパク質が豊富で、甘くて香ばしい。砂漠の真ん中に3年置いといてもカビが生える心配はないぞ!」

城壁のふもとでは、マラス総督と30両のメンフィスの戦車が、唖然として口を開けていた。 赤い砂のオアシスがひざまずいて降伏するというシナリオは完全に消え去った。その代わりに、古代史上で最も恐ろしく大規模な料理の建設現場があったのだ。蜂蜜で炒ったイナゴの濃厚で脂っこい香りが戦車の列まで漂ってきて、マラスとメンフィスの兵士全員の胃袋が、真夏の真昼に鳴り響く雷のようにゴロゴロと鳴った。

オリンは黄金色に輝く2本の乾パンを持ち、悠々と城壁からスキップして降り、マラスの戦車へと真っ直ぐに向かった。彼は乾パンを半分に折り、総督の鼻先に半分を突き出した。 「総督、ちょっと嗅いでみてくださいよ!この1本には小麦3杯分のエネルギーが圧縮されていて、食べれば精力増強、腎臓の働きも良くなり、砂漠を7日7晩行軍しても疲れないんですよ!略奪しに軍隊を連れてきて餓死する代わりに、メンフィスの皆さんは、遠征のキャラバン隊のために、この最高級の乾パンの独占販売契約を結びませんか?」

マラスはゴクリと唾を飲み込み、震えながら手を伸ばして半分のバーを受け取り、小さく一口かじった。 カリッ! 舌の先でサクサク感が爆発し、イナゴの脂っこい塩味がデーツの深く上品な甘さと完璧に調和した。総督の目は大きく見開き、味覚のショックで顔の筋肉がピクピクと痙攣した。 「おお神よ……美味い……手足がとろけるほど美味い!その上、羽のように軽く、長期間保存できる……これこそ大陸全土が渇望している神の軍糧の秘薬だ!」

マラスは馬の鞭を放り捨て、戦車から飛び降りてオリンの泥まみれの両手をしっかりと握り、激しく揺さぶった。 「契約する!我々メンフィスは、この乾パン1万本を、1本につき銀1両の価格で買い取る契約を結ぶ!この水源は永遠にあなた方のものだ。今日から新興国家メンフィスと赤い砂の部族は、生死を共にする商業同盟国だ!」

エデンの間の展望台では、神々の笑い声が空の雲を揺るがすほど爆発していた。 ヘルメスはお腹を抱えて空中で転げ回り、ライブストリームカメラが激しく振動した。 「ハハハハ!パッチワークのデータでロードされた脳みそが味方の目を潰したけど、最終的には10トンの災害を輸出用のおやつに変えて大儲けしやがった!まさに時空ナンバーワンの世渡り上手だな!」

孫悟空は太ももを叩き、不老不死の桃を落とした。 「この料理はサクサクで脂っこい。老孫の千年の酒と合わせれば、三界の絶品だな!この小僧の小賢しい機転の才能は褒めてやらんとな!」

知恵の女神アテナは王笏を掲げ、微笑んで称賛した。 「定命の記憶は途切れ途切れでも、実戦での適応力と経済的思考は満点ね。生態系の危機を土地を保護する商業条約に変えるなんて、素晴らしいわ!」

ピロン!ピロン!ピロン! オリンの首にある奴隷の鉄の首輪が大きくひび割れ、温かい黄金の光が彼の全身を包み込んだ。 【実戦実績:イナゴの大発生を解決 — 独占的な軍糧源を創出】 【ロック解除された称号:時空ナンバーワンの商人(見習い)】 【功徳:収穫物を救い、商業保護条約を締結】 【最高功徳によるペナルティ軽減:+90,000 カルマポイント】 【残りの負債残高:-290,000 カルマ】

見事な黄金色に染まる砂漠の夕日の中、アエリアはオリンに近づいた。彼女は乾パンを一本手に取り、小さくかじった。彼女の優雅な眉はリラックスし、口角はめったに見せない輝くような笑顔にほころんだ。 彼女は刃の柄で奴隷の少年の肩を軽く叩いた。その声はからかうようだったが、愛情に溢れていた。 「あの唐辛子の煙で危うく私の目を潰すところだったけど……あんたのこのダークマジック(邪道)な料理が本当に美味しいことは認めざるを得ないわね。よくやったわ、借金持ち。今夜の報酬はメインのテントで寝ることよ。こっそりワニの檻に抜け出すのは禁止だからね、分かったわね!」

オリンは痛むお尻をさすりながら、オアシスの何千人もの人々の歓声が空に響き渡る中、満面の笑みを浮かべた!



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