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~さようならロン、またあう日まで~ (中学校編)  作者: 湖灯


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   ~修学旅行1(前日まで)~

 六月になり、いよいよ修学旅行も間近。

 でも、私にとってはロンと離れ離れになる三日間のことを思うと、正直つらい。


 里沙に誘われて修学旅行用の買い物に行ったとき、茂山さんの実家のカフェをベースにして交代でロンをみて買い物に行った。

 茂山さんにロンをみてもらって里沙と一緒に行ったときも、心の中ではロンを置いていくことに抵抗があった。

 私がいなくてロンが寂しがったりしないだろうかと。


 ところがロンときたらショートパンツから生足むき出しの里沙や、お店に来るきれいなお姉さんたちにもう夢中になってしまい、やせぎすで魅力のない私が買いものから持ってきてもおかまいなし。


『もー!しゃくにさわるわ。この浮気エロ犬!』


 茂山さんにみてもらって里沙と二人で買い物に出たときなんか、最初こそ「ロンなんて知るものか!」って勢いで買い物を楽しむ気まんまんだったのに、すぐにロンのことが心配になって、買い物を楽しんでいる里沙にはわるいけれどテキパキとまるで作業を進めるように買い物を済ませてあわてて帰った。


 でも、帰ってみると案の定ドッグランのところで若い女の人にまとわりついているロンがいて、私が帰ってきたことにもしばらく気がつかないありさまだった。


 買い物が終わって里沙とならんで帰る道のりもロンはなんとなくチノパンの私より、ショートパンツの里沙にスリスリするように歩いている気がしてならない。


 ……これが”懐疑心”っていうものなのだろうか?



 いよいよ修学旅行前日。

 やはり私は、ロンのことが心配でたまらない。


 ことし就職して公務員になった兄はまだ研修中で東京の官舎住まいだし、お父さんは仕事の帰りが遅い。


 そこに私が修学旅行に行ってしまうと、お母さんの負担が半端じゃなくなるし、家事で忙しいお母さんでは、甘えんぼうのロンはきっと退屈で仕方がないはず。

 もしも万が一、退屈で仕方がないロンが散歩のときに急にそれを発散させたらと思うと、気が気でない。

 またあのときのように急に走り出してリードが外れて事故にあったら……。


 私がこんなに心配しているのに、ロンときたら私が着替えの服を取りに行ったり、洗面用具を取りに行ったりで家の中を移動するたびに嬉しそうに私の顔を見上げて着いてくる。


『明日、どこに連れて行ってくれるの!』

 なんて能天気に考えて、うきうきしているのに違いない。


 夕ご飯の前にロンと散歩に行ったのに、夜にもう一度ロンを連れ出した。


『ちゃんとロンがわかるまで説明してあげなくては』と思ったから。


 朝とあわせて今日三回目の散歩にロンは大喜び。

 その笑顔が私には痛い。


 公園のベンチに腰掛けて一緒に星を見上げた。


 ニュージーランドに行く前の美樹さんと一緒に座ったベンチだ。

 一緒に星を見上げたのに、しばらくしてロンを見ると、いつものように私の顔を見上げている。

 私はベンチから腰を下ろしてロンと同じ顔の位置に向き直って打ち明けた。


「明日から、私は三日間お家を空けるのよ」

 ロンはお座りをしたまま、何かくれるのかと楽しそうにして聞いていた。


 私は、話しを続ける。


「明日はいつもより早く出かけなくてはいけないけど、ちゃんと早起きして一緒に散歩に行くけれど、そのあと家を出て行ったら夕方になっても夜になっても私は帰ってこないの」


 さとすように、ゆっくりと話す私の言葉がいつもと違うことに気付いたロンは少し首をかしげていた。


「そして二日目は朝も夜もいなくて、三日目の朝もいないの。やっと三日目の夜に帰ってくるけど、その間お母さんを困らせないようにおとなしくしていてね。お母さんは私と同じで力が弱いから散歩中に急に走ったりしちゃだめよ。ロンはおりこうさんだから我慢できるよね」


 ロンはじっと私の目を見て、私が話し終わるまでおとなしく話を聞いていてくれていた。

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