第五集
「当てはめる」
型に当てはめる。
この文を断片と当てはめる。
「芸術」
わたしは芸術を批判しているのではない。
芸術を作るぞ、と言いながら、何の変哲もない線を生み出しているばかりのその様を、わたしは芸術としてみているのだ。
「齧り付いた」
死にたくない。
わたしは林檎に齧り付いた。
わたしは栄養が足りず、死んだ。
「父の行動」
わたしは父に殴られた。
わたしが大きな失敗をしたからだ。
父はわたしを褒めた。
わたしが大きな成功をしたからだ。
では、わたしが何もしなければ?
父もまた、何もしない。
「木々の葉」
落ち葉を踏み締める。
木々の体から生み出された、一片。
こんなふうに切り捨てられたら、楽だろうに。
「木の幸せ」
動けない木は幸せだ。
常に動かないといけない人間が、幸せでないのだから。
「真似」
真似をしたがる。
これは、わたしの言葉だろうか?
「死んだ」
君は死んだ。
わたしには、どうしてもその事実がよくわからなかった。
「希望」
希望を抱け。
誰かの道標となれるように。
「遺言」
男には、三人の息子がいた。
男は死ぬ間際、遺言を残した。
三人とも、顔を見合わせた。
男の遺言は、たった一言だった。
「生きたい」
「人の心」
人の心を理解するのは難しい。
わたしの心を理解することは、もっと難しい。
「知らない」
君は何かを知っているか。
わたしは何も知らない。
わたしは世界に存在していない。




