王都から逃げる
121話 王都から逃げる
「騎士団長! ナオミ・スバラ副団長が」
「入れろ」
「ヨルダー。ターツローからの調査報告が来た」
「早いな」
「私をあまく見るな」
「いや、そういうわけでは」
「あんたの情報は、なってないな。ケンカ騒ぎの9人、まるで手配書と違う。あれでは捕まらんわけだ」
「そんなに違うのか」
「ああ、まず槍使いの男、オークどころか小男だ。鬼ババも違う。長身の美女と。しかもこの女は素手で武器を持った暴漢を相手にしていたそうだ。もっと面白い話しも、若造が虹色の光を放つ剣をぬいたとある」
「虹色の剣……そいつら冒険者か? それとも勇者か?」
「それはどうかな? 実際にあらくれどもとやり合ったのはあと、短棍棒を両手で振り回していた美貌の少女と短剣を使いこなしてた女の子だと。私は調査書見てナニコレと思ったわ」
「子供も居たのか……」
「キナリノ村の一件も調べたわ。あちらでは嫌われもの村長衆が痛めつけられて村の人間は誰もが感謝していたわ。どちらの件も彼らは一方的にからまれて事を起こしてるのよね。それにターツローでは、あんたの甥っ子、すこぶる評判悪いわよ。あんたの前で猫かぶってるんじゃない」
「ゴーガンがウソを……」
「昨夜、ヨルダーが見た槍を持った小男。すでに王都に入ってたのね」
「検問の報告書を見直すか」
「彼らを捕まえる意味あるかしら……ヨルダー」
「奴らは私の甥に怪我を」
「自業自得じゃないの……」
「団長、サンドラー隊が」
「どうした」
「王都外で不審な外国人一行に……」
「サンドラーか、ヤツは手が早いからな。で、どうしてる」
「城に戻りました」
「呼んでこい」
「ハッ!」
草原の街道を走る。
「アレは聖騎士団だよ。早く王都から離れないと」
「聖騎士団なんて、たいしたコトなかった」
「凄かったねぇティアが素手で甲冑を壊した」
「ロランが殺すなと言うから……」
馬車の横を走りながら会話するティアーナ。
反対側を走るグッピー。
オレは馬車の荷台から。
「グッピーその腕は」
「おっと、忘れてた」
グッピーは布を取ると腕をまわし、変な音とともに上下した。
「自分でやった。怪我して大会をあきらめるコトにした。包帯してたらあっさり出られたぜ」
「あの大刀のオヤジにやられたのかと思ったぞ」
「あんなのにはやられねーよ」
「あいつ弱そうだったなグルドン!」
「ああ、アニタでも勝てただろう」
「ロラン、二又よ」
「地図だと左の道の方が近いが……ナニか書いてあるメラルダ読めるか」
「どれどれ。ジャングルは怪物多しだって」
「左は怪物が居るのか……」
「怪物なんか、金と食料だ。近い方に行こう」
「あたし、怪物なんか食べたくなーい」
「金にして町で美味いもん食えばいいー」
「よし、左へ行こう」
それからしばらくして。白馬の一団が。
「止まれ!」
「奴らジャングル道へ行ったな。団長どうします」
「ここまでだ。ジャングル道は途中から領外だ。それにもうすぐ陽が落ちる」
「しかし、あのような危険な連中を……」
「危険なのはお前の方じゃないのかサンドラー。聞けば先に剣を抜いたのはお前だとか。しかも相手は素手だったと。見ろ甲冑の右胸には手あとがついてるアームは壊されてるんだ。胸は手をぬいたんだな。命びろいしたな。確かにあぶない」
「副団長……」
「ヨルダー、どうする?!」
「害のある連中とも思えん、追撃は終わりだ。引き上げるぞ」
つづく




