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手合わせ

120話 手合わせ


「昨日、どーもターツローで騒ぎを起こしたあらくれ者一行が王都に入った様子はないな」


「検問所の報告書を見たが、それらしい連中はない。ヨルダー、ターツローからの情報は確かなのか」


「私の甥からの情報だ。間違いあるまい。しかし、こちらの街道へ発ってるのは間違いない。街道の捜索もしたが……王都を通らず先に進むとしたら、山へ登るかジャングルへ入るかだ」


「鬼みたいな男女9人が動けば目立つだろう情報の誤りでは。ウチの方で調べてみるか」

「そうだなナオミ。頼む」



 王都の通り。


「しかし、昨日のミシェールの話、笑えるな。槍の使い手はオークのようなバケモノだって」


「バケモノとは言ってない」


「なんだかいい加減な話で助かった。オレたちがこんな風に歩いていたらそく捕まるかも。地図も手に入れたし。早く王都を出よう」


「ロラン、なんでアニタたち捕まる。ナニも悪いコトしていない」


「町中でケンカするのは悪いコトなのよアニタ。あんた、楽しんでたでしょう。ヤツらの足首斬りまくって。ティアーナの影響よね」


「だな、ティア。弟子には、技だけじゃなく、こっちも教えないとな」


 グッピーは胸を叩いた。


「グルドン、あたいは親から生きる技しか教わってない」


「人を生かす技もあると師匠が……で、ないと港町の兄弟子みたいのになっちまう」


「アニタもか」


「ああ、強くなればいいってもんじゃない」


「グッピーらしくないな」

「そうかぁ俺は真っ当な武術家だぞ」


「おお、やっと見つけた!」


 まずい役人か。

 いや、それらしくはない。背に大刀を背負ってる。


「ワシはあんたを検問所で見かけてな。話したかったんだ」

「見たところあんたは大会の参加者か?」


「そうだナナン・ガイロという」

「西方の言葉上手いな。この国のモンか?」

「ココは長いが、生まれはギュスターヴだ。あんたもか?」


「そうだが……ココに来たのは、初めてだ」


「大会に参加すると聞いてな。武術家だと知り久しぶりに西方の言葉で武術談がしたくてな昨夜から捜してたんだ」


 また、面倒くさい奴に捕まったなー。


「悪いな、先を急ぐんでな」


「そうか、もう大会の手続きはすましたのか? 明日が楽しみだ」


「いや、ここに来て気が変わった。大会には、出ない」

「ナニ、あんたほどの腕なら……。すまん、それならワシと手合わせをしてもらえないか」


 武術家の悪いクセだ。所かまわず。


「それは……いいだろ。ここではまずい。あの広場がいいな」


 グッピーがそばに来て耳うちした。


「先に町を出ろ、後から行く。人数も変ってた方がイイだろう。ソレにな、俺は大会前には出にくい。策があるんだ」



 街外れの広場。


「実はワシ、槍使いとやるのは、はめてでな」


「そうかい、俺も大刀は、はじめてだ」


   ウリャ、トオッ、ヘイッ


 二手、三手


 このおっさん力はあるが、たいして強くねー。大会だと一回戦落ちだな。


   ハッ、ホッ、ファ


 このへんでいいか。


「痛ててて!」


「どうした?!」


「急にやったもんだから腕が……」

「どれ、見せてみろ……コレは脱臼してるかもな……いや、すまんワシが手合わせなどと」


 おっさんは腰の手ぬぐいで俺の腕を首に吊るした。


「明日までに治るか?」

「いや、わからん」


「すまん!」


 おっさんは土下座した。


「頭を上げてくれ、コレは俺の鍛錬不足だ!」



 王都の裏門。


「あなたは、大会に出ると」


 出口の検問に入る時に西方語を話した女役人が居た。


「まだ、始まっていないのに怪我を」


「ちょっと運動不足がたたっちまってよ。このザマだ」

「奥さんは?」

「ああ、アレか。正式な嫁じゃねー。アレはアレで大会に。終わったら近くの親類の家で会う」

「残念だったわねお大事に」


 さて、連中。どこまで行ったのやら。門から出ても姿は見えず。


 しばらく歩くと草原地帯。


 目立つ連中が。白い馬の集団。

アレは。


                つづく

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