祭りの夜
117話 祭りの夜
町は祭りでにぎわっていた。
民族衣装で踊る男女。
妙な扮装してまったくめちゃくちゃなダンスをしているヤツ。
音楽もあっちこっちでしているが、皆、まるで揃ってない。好きな音を出しているだけだ。
騒がしいだけの祭りだ。
女神信教となんの関係もないんじゃないか。
あの巫女が配っていた御札を付けているヤツも一人も見ない。
『女神さまのお通りだ!』
なんだか、通りを大きな物が来る。
「女神さまが来るようよ、ホラあれ」
大きなのは巨大な女神像が乗った台車だ。
前を三頭の大きなカウカウが引っ張る。周りには白い服の男女が押す。皆、胸に例の御札を付けている。信者だろう。
「あの女神像は大きさのわりに軽そうだ」
「紙張りじゃないの」
足元の周り紙張りのランプが。女神の中でも火が灯されているようだ。ぼわっと光ってる。
『女神様に祈りを』
女神像の前に立つ巫女が御札をばらまいてる。
見物人がソレを拾う。
像がオレたちの前を通り過ぎる。台車の上の巫女は、昼間会った、あの巫女だ。
「車を引くカウカウ見るの久しぶりねルルカウ思い出すわ」
「ああ、お姫さんどうしてるかな」
そうだな北方の噂も届かないからな。こっちじゃ。
「あの像が祭りのホントの行事なんだろな。他のバカ騒ぎはなんなんだ」
太鼓や笛、なにかの打楽器の音で妙な踊りをする連中が通りを占領しなから近づいてくる。
踊る連中は皆若い。おそらく成人前の男女だ。
ちょっと見てると踊れそうだ。
「アニタ、エスタ、行くよ!」
ルルたちが踊りに交ざった。
「若いねぇあの子たち」
「あんたもまだ若いだろメラルダ」
「あたしゃもう……」
「おい、様子が変だぞ」
ルルたちの周りを男たちが囲み始めた。
「アレは昼間の」
「ティアーナたちを捜していた連中か、まずいな大勢だ、グッピー行くぞ」
「あ、またはじまるね。私も参加するか」
「あ、リンダさんも……。えーとミシェールさんでしたっけ。あなたは」
「私は行かない」
「ったく、バカはケガさせても来るんだね、いっそう殺っちまうか」
「ティアーナ、相手はまだ子供」
「あんなでっかいなりしてか。じゃ素手で行くか、久しぶりだ」
『見つけた。こいつらだ。おい、ロン通訳しろ。お楽しみはこれからだってよ!』
「これから、お楽しみだ!」
「だってさ。あそこの包帯巻いたの昼間のだよね」
「エスタ強い!」
エスタが棍棒を手にした。周りの男たちも手に武器を持ってる。
「接近戦、あたし苦手なのよね」
「ルルは真ん中にいな」
「ロラン、グッピー」
「コラッおまえら! 女の子相手に随分集めたな。言葉がわかる奴いるな、伝えな。多勢に無勢だ、オレは剣わぬくぞ!」
オレが剣をぬくとその七色の光にどよめきがわいた。
「あ、ロラン。剣ぬいちゃうんだ。じゃ」
「ティアーナはやめとけ殺しちまう。オレはよけるだけだ」
「あ〜めんどくさいなぁガキ相手は」
「ロラン、ティアは素手でも殺っちまうぜ」
「そいつらは運がないのさ」
リンダも拳をかまえた。
『男は、なんだ助っ人か? なんでもいいや、ヤローどもやっちまえ!』
おおおおお
町の食堂。
「ひと暴れしてからのメシは美味いなーティア」
「手刀であれだけ斬るのは久しぶりだった」
「ティアーナさん、ホントに斬ってたね。指を二、三本落としてた奴いたよ。あんたら絶対に敵にまわしたくないわ」
「やっぱりな、あれでみんな生きてたか?」
「わからんな、半殺しにしたのもいたからな。あっちも刃物持ってたのいたから」
ガタガタ
「あの追加注文の……」
「なに、あんた震えてんの」
「外の連中、みなさんが……」
「むこうが勝手にやってきたのよ。あたしたちはなにもしないわよ」
「あ、すみません」
「あんた西の言葉うまいね」
「私はあちらの生まれで」
「そうか、聞くけど、あの連中はなんだ。そのへんのあくたれにしちゃ人数多かった」
「ああ、よく見りゃ大人も交じってた」
「多分あの連中はカーマ家のご子息の一派だと、兵士さえ動くと」
「カーマ家!」
「メラルダ、知ってるのか」
「昼間行ったお屋敷だよ。母さんが働いてる」
「そこのボンボンか。大人は兵士なのか」
「そうとは限りません使用人や町のあらくれどもだと思います。兵を動かすとなると問題になりますから王都から役人が来たりと……」
つづく




