アポリナ3
107話 アポリナ3
「あの猫耳はネルだったの……」
「ネル・シーマルと名乗った」
「お姉ちゃんだ。シーマルはお兄ちゃんの名前だ」
「おい、キャサリンちょっと」
妹に聞かれないようにキャサリンと離れた。
「実は、娼館で話をしたのがネルなんだ。彼女も娼婦だ」
「え、ソレはモネには、言えないね」
「ねぇお兄さん、ネルと町で会ったって元気だった?」
「ああ、たまたま通りで会ってね、亜人が多いというこの村のコトを聞いただけなんだけど」
「へえぇなんでお姉ちゃんは名前を? 姓はお兄ちゃんの名前で生活しているんだ。なんでかなぁ」
「仕事するのに姓名はっきりしないと、雇ってくれないからね。今、思い出したよ。村に行ったら家族が居るからよろしく伝えてくれと名前を名のったんだ」
「良かったなモネ、ネルの話が聞けて」
「気になったんだけど森に鬼が出るって聞いたんだけど知ってるかい」
「ええ、だから森に入れないの山菜採りも狩りにも行けなくて困ってるわ」
「鬼はオークではないと聞いたが。どんな奴だい?」
「頭に角があり口には大きな牙があって毛皮の服を着てるわ」
「角があるのか、オークじゃないな」
「ロラン、奴らも退治して稼いで帰えろうよ」
「いいね、角が生えた鬼か。東方にそんなのが居ると聞いたことがあるよ」
「俺も師匠から聞いたことがある」
「みんなはどう思う?」
「鬼だか、なんだか知らないがあたいは殺る!」
「やるとしたらティアーナやグッピーが頼りだからな」
「あたしもいいと思うわ。食べ物が採れないのは可哀想だし」
「アニタもやる!」
「エスタもやる!」
「帰りが遅くならけど、やるか!」
村の周りの森に入った。
グッピーとキャサリンにリンダと。
ティアーナ、ルル、アニタ、と。
オレ、エスタ、ミシェール3組にわけた。
「グッピー、あたいは戦えなくてごめんよ」
「大丈夫だ、俺とリンダ姐さんがついてる」
「ティア、アニタ鬼に勝てるか?」
「鬼がどれだけ弱いかで決まる」
「それ、普通『強いか』じゃないティアーナ」
「あたいが基準。あたしより強いのはいない、ヒョォホ!」
「なに、なにか居たの?!」
「角ウサギだ」
「なんだ……そいつの鹿みたいな角、取って。高く売れるわ」
「ホイッ」
おや、エスタは森で拾った枝を両手に。まさか、ティアーナの技も使えるのか?
しかし枝では斬れない。
「ミシェール、剣を二本持ってないか?」
「ある。安物だけど」
「木枝よりマシだろうエスタに渡してくれ」
ミシェールは「なんでも袋」から細身の剣を二本取り出した、
受け取ったエスタは喜んで、双剣の型をやり始めた。ティアーナの技だ、やはりティアーナの双剣術を覚えている。
あの動き、オレより上かも。
「ミシェールは武器は」
「いらない」
だろうな、敵が群れで現れたらミシェールの魔法が頼りになる。
「キャアア」
あの声は、誰だ!
「エスタ、ミシェール!」
森の奥に進むと少女がクマに。
「ヒィヒォオ!」
オレより早くエスタがかけ走り、クマの頭を踏み後ろにまわって背中を斬り裂いた。
のけぞったクマの腹にオレは剣を突き刺し横に。
ググッ
エスタが後ろ首を斬るとクマの頭は皮一枚で前に垂れた。
その後、背を蹴り倒した。
たいしたもんだ。エスタ、オレが居なくてもクマは倒せた。
「キミ、大丈夫か?!」
「ありがとうお兄ちゃん」
「キミ一人で森に」
「うん。食べ物無くてお腹すいたからキノコを」
少女はキノコが入ったカゴを見せた。
「でも死んだら食べれないぞ」
こんな子が一人で森に入るんだ、ホントに食べ物がないのだろう。
キャサリンの育ての親が言っていた。
この子はあの家の子か?
「このクマを切り刻んで袋に入れて持ち帰ろう」
「少しわけて下さい」
「キミが持ち帰るんだ」
「いいんですか……あたしお金ありません」
「あげるから金はいらない」
「おーっ鬼だ! 鬼が出たぞー」
「アレはグッピーだ! ミシェール、この子を頼む。エスタ、ついて来い!」
「ヒャホー」
雄叫びもマネるんだな。
つづく




