番外編 その1 異世界帰りは私だけ?
番外編を書いてみました!その後の話をお楽しみいただければ幸いです(^^)
「静田課長、何かあると思いません?」
相沢さん、じゃなかった永瀬はるかさん(以下はるかさん)が、突然耳打ちしてきた。
「何かって、なんのこと?」
手を止めて、はるかさんを見る。
はるかさんは、周りを気にしながら話し始めた。
「この課のことですよ。まず、部長が入院しましたよね。つぎは、静田課長が、倒れて入院。そして、旦那さんが(注: 永瀬くんのこと)入院して記憶喪失になってます。」
「さすがに、みんな、体調を崩しすぎだと思いませんか?」
言われてみれば、そうだ。
この数年の間に、私の課だけで、三人も入院している。(私は、異世界に行っていたのだけど、さすがにそれは言えない。)
あ! もしかして言わないだけで、みんな異世界に行ってきたとか!?
そんな可能性を思いついてしまい、急にドキドキしてきた。
「どうしよう。次は、私が倒れてしまうかもしれないです!」
はるかさんが、不安な表情になった。
一人、二人ならまだしも、三人は確かに変かもしれない。
他の課に比べて、特別激務なわけでもないし、どうしてだろう??
「そうね。とりあえず、はるかさんは疲労を溜めないようにしてね。」
気休めにしかならないけど、今はこれぐらいしか言えなかった。
「うぅっ、それだけじゃ不安ですっ」
涙目になるはるかさん。
部下の不安を解消するためにも、私は入院した人にリサーチすることにした。
◇
「ただいま、ラスター」
「おかえりなさい、シーナ」
玄関を開けると、カレーのいい香りがした。
――私とラスターは、一緒に住み始めた。
ラスターは、永瀬さんと相沢さんが結婚式を挙げた教会で働いている。
早く帰ってきたほうが、晩ご飯を作ることになっていた。
「今日は、カレーね」
キッチンにいるラスターに声をかけた。
ラスターは、お皿にサラダを盛り付けていた。
「はい。あちらの世界では無かったのですが、この香辛料にはまってしまいました。」
そういえば、向こうにいた時は、カレーを見かけることがなかった。
私が作って以来、ラスターのお気に入りになったらしい。
自分で、スパイスをブレンドして、オリジナルのカレーまで作れるようになっていた。
席に着くと、揃ってカレーを食べ始める。
「うん、今日のカレーもおいしいわ」
「よかったです。今日は、スジ肉を使って、圧力鍋で作りました。」
ラスターが嬉しそうに笑った。
その笑顔に、私もつられて笑顔になる。
あ、そういえば……。
「今日、会社でこんなことを言われたの。」
私は、はるかさんとの会話をラスターに話した。
「それでね、私のほかにも、転移してきた人っていなかったかなって思ったの」
うーん、とラスターは首をひねった。
「私が知る限りでは、転移してきた人は、シスターになった方だけですね。」
「ただ、世界は広いですからね。他の場所に転移した可能性はありますよね。」
それはそうだ。
この世界は、転生、転移した話で溢れている。
「そっか……。じゃあ、本人に直接聞いてみる」
「それが、一番早いかもしれませんね」
カレーにソースをかけて味変しながら、ラスターが答えた。
明日、早速、聞いてみよう。




