第50話 エピローグ ずっと一緒に
――三年後――
美しい讃美歌が響きわたる。
タキシード姿が凛々しい、緊張した面持ちの永瀬くん。
フワッとしたウェディングドレスが、よく似合っている、笑顔の相沢さん。
今日は、同じ課の二人の結婚式だった。
……久しぶりの、教会。
村にいるときは、毎日出入りしていたのに、今は、懐かしい場所になっている。
幸せそうな二人を見てると、羨ましい気持ちになった。
でも。
私はこちらに帰ってきてから、誰とも付き合う気になれなかった。
村から帰ってきた私は、謎にモテ始めた。
告白もされたけど、お断りさせてもらった。
――あれから、三年も経ってしまった。
そろそろ、気持ちを切り替えられたらいいのに。
私は、意外と引きずってしまうタイプだったようだ。
式が始まり、神父さんが入ってきた。
「二人は、永遠の愛を誓いますか?」
……えっ?
まって。
この声、あの姿。
相沢さんたちには申し訳ないけど、私は、結婚式どころではなくなってしまった。
そっくりさんなの?
でも、こんなに似ていることってある??
式が終わると、私は、すぐに駆け出した。
「まってください!」
「……ラスター!!」
振り返ったその人は。
「……お久しぶりです、シスターシーナ」
やっぱり、ラスター、その人だった。
「どうして、ここに??」
声が、震える。
もう、二度と会えないと思っていた。
こんなに辛いなら、早く、忘れてしまいたいとも思った。
――それでも、忘れられなかった人が、今、ここにいる。
ラスターは、穏やかに話し始めた。
「シスターシーナがお帰りになって三年がたち、こちらの世界から新しい人が村に来ました。」
「でも、最後に長老がお話した通り、もうシスターになってもらうことはありません。」
「事情を説明して、すぐに元の世界に帰っていただくことにしました。」
「私は、この時を逃したくないと思い、無理をお願いして、一緒に連れてきてもらったのです。」
まさか本当に来れるとは、驚きましたけどね、とラスター。
その様子は、ぜんぜん変わっていなくて。
「ラスター。もう、村に戻れないのよ?いいの?」
気になったことを聞いてみる。
「はい。シスターシーナ。村は毎日平和で、みんな笑顔で暮らしています。」
「でも、私は、心に穴が空いたように感じてしまって……。以前は何も思わなかった一人での食事が、とても味気ないものになってしまいました。」
「あなたがいない毎日は、想像以上に淋しくて……。私には、やはり、あなたが必要なようです。」
「恋人(仮)から、恋人にしてもらえると嬉しいのですが……」
「もう、恋人がいらっしゃるのでしょうか?」
今日は、ラスターにもらった、ピンクの花の髪飾りをつけていたんだ。
心配するラスターに、私は言った。
「ラスター。私は、この髪飾りを、私に贈ってくれた人の恋人なのよ」
ラスターは、目を見開いた。
「それでは、私の恋人で、間違いないですね。」
「そうね、間違いないわ」
顔を見合わせて笑うと、ギュッと抱きしめ合った。
ここに、お互いがいることを確かめるかのように。
これからは、ずっと一緒にいよう。
その時。
――教会の鐘が、私たちを祝福するかのように、高らかに鳴り響いた――
――終――
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
なかなか筆が進まなく、作品ごと削除してしまおうかと思った日もありましたが、なんとか最後までたどり着くことができました。削除しなくてよかった……。スムーズには行かなかった作品ですが、完結できてホッとしています。
この作品を見つけて、お読みいただいた皆さんに、感謝の気持ちでいっぱいです。
この度は、本当にありがとうございました!!
※作品、少しでも気に入っていただけましたら、何かリアクションいただけると今後の励みになります(^^)




