第48話 最後のシスター
「みんな……。」
「シスターシーナ、すみません。
やはり、皆さんと最後にお別れをしたほうが、元の世界に戻られてから後悔しないのでは、と思ってしまいました。」
ラスターが、ずっと謝っている。
「ラスターさんは、悪くない。みんなで、決めて来たんだ。」
この声は、ベルグさんだ。
「そうよ。こんなに仲良くなったのに、さよならも言えなかったなんて、みんな後悔しちゃうわ」
ジュリアさんらしい言葉だった。
「そうですよ。私も、娘も、ちゃんと挨拶したいですからね。」
食堂の主人と、娘さんだ。
奥の方に、ニコライさんの姿も見える。
「みんな……、みんな、来てくれて、ありがとう。」
涙とともに、自然に言葉がこぼれた。
長老が、前に出てきた。
「シスターシーナ、この村のために、毎日尽くしてくれたことを、村人を代表して、お礼を申し上げます。」
「あなたのおかげで、村人は、自分の得意なことをいかせるようになりました。」
「村全体が活気づき、感謝しかありません。」
長老に、頭を下げられる。
「そんな……、これも、みなさんが進んで協力してくれたおかげですよ。」
そう、私一人が頑張ったのではない。
みんなのおかげで、今があるんだ。
「シスターシーナ。村人たちと話合って、あなたを、『最後のシスター』にすることになったんです。」
「『最後のシスター』?」
「はい。今までは、こちらの世界に来てくれた方に、シスターになってもらっていましたが、もう、それは辞めようと思います。」
「もう、シスターに頼らなくても、村は、村人だけで解決できるようになりました。」
「それに……、」
長老が言葉を切る。
「自分の意思とは関係なく、シスターにされてしまう。それは、シスターになった人には、理不尽で、大きな負担になっていたことでしょう。」
「シスターシーナ、あなたを縛ってしまい、本当に申し訳ありませんでした。」
そんなふうに、考えてくれていたなんて。
たしかに、最初は、負担に思ったり、やるせない気持ちになることもあった。
でも、私はここで、沢山のことを学ばせてもらったんだ。
「長老、そのように言っていただいて光栄です。」
「……最初は、確かに戸惑いました。でも、今はこの村に来られて良かったと思っています。」
「この村のみなさんが、本当に大好きです。みんな、ありがとうございました。どうぞ、お元気でいてくださいね。」
村人から、すすり泣く声が聞こえてきた。
口々に、ありがとう、元気でね、と声をかけられる。
一通り、挨拶が済むと、
「シスターシーナ、どうぞ、お元気で」
ラスターが近くに来た。
「うん、ラスターもね。」
もう、長い言葉はいらなかった。
私は、顔を上げると、大きな声で叫んだ。
「みなさん、本当に、ありがとうございました!」
「イーリナ・ストン・アルヒコ・ス・コスモ!(元の世界へもどれ!)」




