第47話 恋人(仮)のままで
ラスターは、一瞬、驚いた顔になった。
「……恋人(仮)は、今日で終わり、ですか?」
「確か、シスターシーナに恋人ができるまで、という条件でしたよね。」
「そうね。でも、私が帰ってしまうから、その条件は無くなるわね。」
ラスターは、少し考えると、やがて口を開いた。
「シスターシーナ、提案ですが、あちらの世界で恋人ができるまでは、私が恋人(仮)のままでいてはいけないでしょうか?」
――ラスターが、そんなことを言うなんて。
私は、とても驚いた。
「いいわよ。じゃあ、ラスターに恋人が出来るまでは、私が恋人(仮)のままね。」
顔を見合わせると、二人で、笑い合った。
ああ、本当に、離れたくないな。
このままだと、やっぱり帰らない、なんて言ってしまいそうだ。
私は、思いを振り切るように、
「じゃあ、ラスター、帰る準備をするから、また明日ね。」
とラスターに告げた。
ラスターも、きっと同じ気持ちだったのだろう。
私から、少し距離をとった。
「はい、シスターシーナ。」
「また、明日来ますね。ゆっくり休んでくださいね。」
――――――
私は、早くに目が覚めた。
どうしても、なかなか眠れなかったんだ。
荷物をまとめて、最後の確認をする。
ラスターと静かに朝食を食べ終えると、
私は、荷物を手に取った。
決意が揺らぐ前に帰ろうと思ったからだ。
――帰る呪文は、シスターミッチーが、日本語で書いてくれて、私は知っていたんだ。
すると、ラスターが、
「シスターシーナ。」
「……あなたの思いに、反することをしてしまって、申し訳ないのですが……、一度、外に出てもらえませんか?」
え、なんだろう?
「ラスター、どうして?」
「本当に、すみません。」
ラスターが、扉を開けると……、
そこには。
――大勢の村人が、広場に集まっていた。




