第38話 恋人(仮)
「シスターシーナ、ラスターがな、」
「『恋人がいない、シスターシーナに、ピンクの髪飾りをつけてしまいました。そのせいで、村人に誤解を与えてしまったようなので、責任を取りたいと思います。』
と、言っておる。」
で、どう責任をとるのか、聞いてみると、
『シスターシーナの恋人を、責任をもって探したいと思いますが、どなたか良い方はご存知ないですか?』
と、聞かれたんじゃ。」
「シスターシーナ、あなたは、この考えをどう思われるかな?」
長老の後ろにいた、ラスターが、前にでてきた。
「シスターシーナ、本当に申し訳ないことをしました。」
「責任をもって、お相手を探させていただきます。どうぞ、どんな方がよいのか、遠慮なく言ってください。」
ラスタ――!!!
そうじゃない。
やっぱり、想像の斜め上だった。
どうして、そんな考えになったのだろう?
眼の前で、ラスターがと長老が、私の言葉を待っている。
……ここは、穏便に済まさなければ。
私は、頭をフル回転させた。
「……ラスター。気持ちは嬉しいけれど、恋人は、本当に好きな人じゃないといけないと思うの。」
「だから、探してもらわなくて、大丈夫よ。」
ラスターが、ハッとした。
「シスターシーナ……。そうですよね。あなたの気持ちを考えていませんでした。」
「……でも、責任は、とらさせていただきたいです。」
ラスターが、ピシッと姿勢を正した。
「シスターシーナに恋人ができるまで、私が、恋人(仮)となり、全力でお守りいたします。」
恋人(仮)って何!?
ツッコミを入れる気力もなくして、私は呆然とするしかなかった。
――――――
見ている。
見られている。
ずっとラスターに見られている。
いや、そうじゃないよ、ラスター。
「ラスター、あまり見られると、落ち着かないわ。」
「そうですか?私、見守ることに徹しようと思ったのですが。」
「恋人の、定義がいまいちわからなくて、申しわけありません。」
どこまでも真面目なラスター。
……そういえば、お祭りの準備の時、村娘の一人が、
「守ってくれそう!」
なんて言っていたっけ。
うん。
見守ってはくれている。
「まあ、私もよくわからないし、仕方ないわよね。」
その言葉に、ラスターが、ハッとした。
「それでは、わかる人にお話を聞くのがいいかもしれないですね。」
「私、ちょっと出かけてきます。」
言うやいなや、ラスターは教会を飛び出していった。
「ラスター、ちょっと待ってよ!!」
ダメだ、もう姿が見えない。
引き止める間もなかった……。
いったい、誰に聞くつもり?
帰ってきたら、何が起こるのだろう。
もう、心配でしかなかった。
最近こんなのばっかりだ。
仕方ない、待つしかないか……。
諦めて、シスターミッチーが残した、日本語で書かれた呪文のノートを見ることにした。
――呪文を覚えたら、いつか役に立つかもしれない。
私は、こっそり勉強をしていた。
どこまで読んだっけ?
パラパラとページをめくると、
ヒラリ。
一枚の紙が落ちた。
なんだろう?
拾って見てみると、
『シスターになった人へ』
と書いてある。
これは…、
シスターミッチーからの手紙?
私の胸が、ドクン!と音をたてた。




