第35話 ラスターの手紙
ずぶ濡れになった私たち。
「そろそろ帰りましょうか」
お祭りの余韻を楽しみながら、帰ろうとした、その時。
「ラスター!!」
教会から、誰かでてきた。
あれは……ルシファーさんだ。
びっくりする私を横目に、ラスターに近づくと、クシャクシャになった紙を広げた。
「ラスター、この手紙は何!?」
手紙?
もしかして、あの時の手紙なの?
「ルシファー、前からお伝えしていた通りです。」
「私の気持ちは、変わらないということです。」
ラスターが、落ち着いた様子で言った。
「シスターシーナ、少し外してもらえますか?」
「う、うん」
離れて行こうとする私を見たルシファーさんが、ハッと目を見開いた。
「その髪飾りは……。」
「そういうことだったのね。」
「ラスター。……私は、あなたの大切な存在ではないのね?」
小さくため息をつく。
「そうではありません。」
ラスターは、はっきりと言った。
「ルシファー。あなたは、私にとって大切な存在です。」
「……昔と変わらず、幼馴染みとして、大切に思っています。」
ラスターはルシファーさんをまっすぐに見て言った。
「あなたのお気持ちに応えられず、謝るのは何か違う気がします。でも、どう言ったらいいのか、言葉が見つかりません。」
ルシファーさんの目に、涙が溢れた。
「まったく、いつも真面目なんだから。」
「もう少し、上手く断われないの?」
「すみません……。」
これが、ラスターの精一杯のようだった。
「さようなら、ラスター。もう、しばらく会わないわ。」
ルシファーさんは、クルッと後ろを向くと、振り返ることもなく行ってしまった。
その姿を見送り、なんとも言えない気持ちになった。
「ラスター、これでよかったの?」
私は、心配になって、ラスターに聞いた。
「はい。……よかったと思います。」
ラスターは、自分の気持ちに嘘がつけない人なのだろう。
ルシファーさんと同じ気持ちではないのに、期待を持たせてはいけない、と思ったのかもしれない。
きっと、よく考えた上での言葉だったんだろう。
軽い言葉で誤魔化さないのは、ラスターが、誠実だからだ。
何気なく、水で濡れた髪を整えようとした私の手に、ラスターがつけてくれた髪飾りが当たった。
とたんに、ルシファーさんが、言った言葉が思い出された。
お祭りでも、みんなが髪飾りを見ていた気がした。
「ねえ、ラスター。なんか、みんながこの髪飾りを気にしていたみたいなんだけど……。」
私は、ずっと気になっていたことを聞いてみた。
すると
ラスターの肩が、ビクッと震えた。




