第32話 じゃあ、行きましょう
教会の扉を開けると、キャーッと声が上がった。
中には、悲鳴のような声も混ざっている。
さすがラスター、大人気。
――広場は、村人でいっぱいになっていた。
ずらっと並ぶ屋台。
楽器を演奏しながら歩く人。
老人から子どもまで、みんなが笑顔だ。
いつもより、おめかしした村人たち。
ワンピース、着てきてよかった……。
自分だけ黒いシスターの服だと、ちょっと悲しくなっていたかもしれない。
女性は、私と同じ髪飾りをしている。
私と同じピンク色の人もいれば、赤い色、白い色の人もいた。
この村の習慣に合わせて、ラスターが私に用意してくれていたらしい。
そんな習慣、知らなかった。
色々用意してくれて、ありがとう、ラスター。
私は、広場の真ん中に出ると、シスターとして挨拶をする。
「今日のために、村のみなさんでご準備いただき、ありがとうございました。」
「皆さんのおかげで、盛大にお祭りを開催することができます。どうぞ、今日は楽しんでくださいね」
ワーッと拍手がおこり、クラッカーが鳴らされた。
それを合図に村人が、会場に散っていった。
通り過ぎる村人から、
「シスター、おめでとう」
「シスター、よかったね」
なぜか、祝福の声がかかった。
それが、この村の習慣なのかな?
とりあえず、
「ありがとうございます」
と、笑顔で返した。
「さて。」
「シスターシーナ、行きましょうか」
隣に来たラスターが、当然のように言った。
え、いいの?
今日は、ルシファーさんがお祭りに来ると言っていたはずだけど……。
「……ラスター、私と回っていいの?」
私の質問に、不思議そうに首をかしげるラスター。
「もちろんですよ。行きましょう」
もしかして、ルシファーさんは来れなくなったのかな?
わざわざ聞くのも変かもしれない。
「じゃあ、行きましょう。」
返事をすると、私はラスターと並んで、屋台を目指した。




