第30話 村娘の噂話
カフェを出た私たちは、村に帰ってきた。
「シスターシーナ、明日からは、お祭りの準備で忙しくなります。村の人たちと協力して、頑張りましょう」
お祭りの会場は、教会前の広場らしい。
年に一度のお祭りを、村人たちは、とても楽しみにしているそうだ。
「わかった。お祭り、成功させましょうね」
お祭りなんて、何年ぶりだろう。
私は、ちょっと、ワクワクした気持ちになっていた。
――――――
「ラスターさん、いいわよねえ」
女性が集まって、お祭り用の飾りを教会に飾っていた。
自然と世間話になり、村娘たちから、チラホラそんな声が聞こえてきた。
「かなりのイケメンよね。」
「でも、あの人、真面目で面白みに欠けるじゃない」
「そうねえ。でも、しっかりしていて、守ってくれそう!」
――そういえば、ラスターはイケメンだったっけ?
毎日見ていると、慣れてしまった。
面白みに欠けてはいない。
真面目すぎて、なんだかズレているのが面白い。
まあ、しっかりしているのは、否定しないけど。
守っては、くれる……かな?
聞き耳をたてながら、心の中でツッコミを続けた。
ふーん、ラスター、人気じゃない?
「でも、ルシファーがいるからね」
「そうね。お祭りにルシファーが来るみたいだし、何かあるんじゃない!?」
あ、ルシファーさん。
やっぱり、村でもラスターと噂になっていたんだ。
噂話を聞きながら、市場で見たルシファーさんを思いだしていた。
とても、華やかな人だったな。
ああいう人が、ラスターのタイプなんだろうか?
って、私、何を考えているの!
止まりそうになる手を動かして、私は作業に集中した。
――――
――夜。
ラスターが一生懸命、何か書いていた。
「何を書いているの?」
覗き込むと、サッと隠されてしまった。
「なんでもありません。」
あやしい。
ぜんぜん、なんでもない態度ではなさそうだ。
さては、ラブレター?
昼間の、村人の会話を思い出して、そんな気がしてしまった。
相手はルシファーさんかな?
聞くのもなんか、変だよね。
確かめることもできず、
「まあ、いいわ。おやすみなさい。」
と言うことしかできなかった。




