第22話 一人じゃない
「みなさんがご存知のとおり、
シスターがいなくなると、三年間は、次のシスターは現れませんよね?」
「その間、色々なことができなくなってしまいます。」
「シスターシーナは、そのことを心配されているのです。」
……ああ、ラスターだ。
そうだ、ここには、私を援護してくれる人がいる。
私は、一人で頑張らなくてもいいんだ。
――俯いている場合じゃない。
私は、はっとして顔を上げた。
……ラスター、
ありがとう。
ラスターが、振り返って私を見た。
私は頷くと、ラスターの横に並んだ。
「今、ラスターが言ってくれた通りです。」
「シスターの命も、永遠ではありません。いつ、皆さんとお別れすることになるか、わかりません。」
「その時に、『シスターがいてくれたら……』と、皆さんが思う場面を、できるだけ少なくしていきたいのです。」
――言えた。
考えを、言葉にすることができた。
静まりかえる村人たち。
その中で、スッと手を挙げた人がいた。
あれは……、
食堂の主人だ。
「シスターシーナは、私の娘を助けてくれました。」
食堂の主人に、一斉に視線が集まった。
「……いくら、魔法で守られているとはいえ、燃え盛る炎の中に入るのは、なかなかできることじゃない。勇気ある行動で、娘は命を救われました。」
「私は、シスターシーナが、楽をしたいと思っているなんて、思わないです。」
その言葉を聞いて、ベルグさんも、手を挙げた。
「畑を荒らしていた熊も、お願いして、すぐに退治してくれた。」
「オレも、シスターシーナは、仕事熱心なシスターだと思うぞ。」
そして、あちこちから、
「私も、助けてもらったわ」
「わたしもよ」
と言う声が聞こえてきた。
――みんな、覚えていてくれたんだ。
思いがけず、村人たちの言葉にふれて、胸が震えた。
私は、くるりと後ろを向いた。
流れる涙を隠すために……。
ラスターが、私と背中合わせに立った。
「村のみなさん。」
「どうか、みなさんのお力を、お借りできないでしょうか。」




