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第16話 忠犬ラスター


「もしかして、ラスター、一晩中そこで仕事してたの!?」


驚きを隠せず、大きな声になってしまった。


「はい。お声がかかるのを、お待ちしておりました。」


ラスターに、フサフサの尻尾がついていて、ブンブン振っているように見えてしまった。


忠犬ハチ公もびっくりだ。


「……ありがとう、ラスター。」

「今日は、一日お休みにしていいわよ。」


申し訳なく思った私からの、せめてもの罪滅ぼしだ。


「そうですか……。一晩中起きていたわけではないので大丈夫ですが。」


「では、自宅待機しておりますので、何かありましたら、お呼びくださいね」


ラスターの自宅は、教会の坂を下りたところにあった。


「わかったわ。ご苦労さま。」

「ゆっくり休んでね。」


一礼すると、ラスターが出ていった。


すごい忠誠心だ。


私だったら、すぐに「もう帰ります」と言ってしまう。


それとも……単に、気づかなかっただけ?


いや、ラスターなら本気で待っていたかもしれない。



ありがとう。

そして、声をかけなくて、ごめんねラスター。



心の中でラスターに謝ると、私は昨日からの課題を考え始めた。



そもそも、シスターの仕事って何があったっけ?


私は、今までの依頼を思い出していった。



グランベア退治、雨漏り、猫探し、車輪の修理……などなど。


水漏れや、猫探しは、ラスターが主にやってくれた。


こうして見ると、呪文を使わないですむ案件のほうが、使う案件より少ないみたいだ。



――そうだ。


主に、ラスターがやってくれた案件と、私が呪文を使った案件と、まずは分ければいいんだ。


私は、それを紙に書き出すことにした。


書いているうちに、呪文を使ったけど、使わなくても解決できたかもしれない案件があったかもしれないことに気づいた。


となると、三つに分類できることになる。


それぞれの案件を、


シスター案件、A


呪文を使わなくて、シスターでなくてもできそうな案件、B


ラスター案件、C


と分類していく。


地道な作業の末に、やがて表が出来上がった。


「書けた……。手書きだと、大変ね。」


改めて、PCの便利さを実感する。

作業の効率が、全然違う。


まあ、ここに無いものと比べても仕方ない。



この表から、何をどうするかよね……。


書き出したことに、満足していたけど、それだけではいけない。



私は、あらためて表を見た。



まずは、Aから。


シスターの呪文で、雨を降らせた火事の案件。


これは、将来的に、村人だけでなんとかできるようにしたい。


雨を降らせるのはできないけど、水を一気に放出できる物があるといい。


村の発明家に、依頼する?


私の頭に、村で有名な発明家の顔が浮かんだ。


あの人に、いずれお願いしてみたらどうだろう。


あと、グランベアの件。


グランベアは、呪文の効力が切れるのか、定期的に村に現れるらしい。


畑に、柵とかあるといいのかな……。


呪文を使った案件は、大掛かりになりそうで、すぐに解決するのが難しそうだった。


私は、先に、BとCの案件を考えることにした。







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